極めてアコースティック。ニューイングランド地方の静かな秋を彷彿させる素敵なアルバムになった。

相変わらず美しいギターの響きである。個人的には４がもっとも美しい曲でギターをこする音までが音楽となっている。他の曲もいいが、ヴォーカルはむしろない方がよかったような気がする。ギターだけで充分！ アッカーマンのアルバムでは「イマジナリー・ロード」と双璧ではないか。とにかく素晴らしい。

ｼﾞｮｰｼﾞ･ｳｨﾝｽﾄﾝでお馴染みWindham Labelの創設者であるWilliam Ackermanのｱﾝｻﾝﾌﾞﾙ曲集｡ｱｺｰｽﾃｨｯｸ･ｷﾞﾀｰだけでなく､ﾋﾟｱﾉ､ｳﾞｧｲｵﾘﾝやﾁｪﾛ､柔らかい音調のｳｯﾄﾞﾍﾞｰｽ､都会にいても｢郷愁｣を誘う詩的なlyricnが清冽で透明感のある音を奏でる｡月､空､山の湖､砂浜などｱｳﾄﾄﾞｱの自然風景がﾀｲﾄﾙされるが､燦燦と暑い太陽光が降りそそぐ日なかというより､｢月に向かって｣とあるように､透徹した静かな夜や､すがすがしい高山､傾いて色づいた夕光をそよぐ風など､涼感ある夏､夏の終わり､気づかれ始めた秋の始まりのｲﾒｰｼﾞ｡