CD 輸入盤

Orch.works Vol.3-synaphai: Tamayo / Luxembourg.po, 大井浩明(P)

クセナキス(1922-2001)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
1C1068
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
France
フォーマット
:
CD

商品説明

伝説の秘曲 《シナファイ》 登場!
クセナキス管弦楽作品全集 vol.V / タマヨ
 この世に秘曲伝説というものがあるとするなら、クセナキスのピアノ協奏曲《シナファイ》こそ、まぎれもなく現代音楽史上の伝説といえるものでしょう。
 クセナキスがこの曲のピアノ・パートを10段楽譜(!)に書き記したのはあまりにも有名。
 おまけにクセナキスの書法そのものも複雑極まりなく、相当ピアノ譜に精通した人でも、譜面を見ただけでは、出てくる音を想像するのはとても無理と言われているほど。
 まるでクセナキスが凡百のピアニストの試し弾きをとことん拒否したかのように見えるこの作品、1969年に完成したのち、フランスのサラベール社から出版され、1971年4月6日には、ロワイヤン音楽祭で、プリュデルマシェ(最近、ベートーヴェンのソナタ全集が話題になりました)のピアノ、タバシュニクの指揮によって世界初演がおこなわれています。
 日本では世界初演から遅れること2年 ── 1973年3月に東京文化会館で日本初演がおこなわれています。演奏者はクセナキスの愛弟子、高橋悠治と、岩城宏之が指揮する東京交響楽団。あまりにも並はずれた技巧と、猛スピードの激しい打鍵アクションを要求されるこの曲を弾いた高橋悠治は、爪の付け根が割れ、流血したと伝えられています。文字通り鍵盤上に「血しぶきが飛び散る」壮絶な演奏として伝説の1ページに加えられたのです。  そうした話題性に富む作品にも関わらず、レコーディングにはあまり恵まれておらず、これまでに1種類しか市場に出回っていないというのは少し意外な気もします。
 その1種類の録音とは、1975年にDECCAによっておこなわれており、ピアニストには、パパドプーロスのファシスト政権崩壊後に盛大におこなわれたクセナキス・フェスティヴァル(1975)で大活躍したオーストラリアのピアニスト、ジェフリー・ダグラス・マッジ(Geoffrey Douglas Madge)が起用され、指揮はエルガー・ハワースが担当したというものです。
 マッジはブゾーニ全集やソラブジ、ヴォルペの録音でも名高い現代物を得意としたアーティストですが、残念ながらその録音は現在もまだCD化されていません。
 マッジはその後も、タバシュニクやアルフテル、ポルセリーンなどといった指揮者たちとコンサートでもこの作品をとりあげており、その意味では、マッジのこの作品への貢献には絶大なものがあったと言えるでしょう。
 大井浩明もまた現代音楽の世界において、次々と伝説を生み出している新世代の旗手です。彼は1968年、京都に生まれ、まったくの独学でピアノを学んだという異色の経歴の持ち主で、京都大学卒業後すぐに頭角を表し、1993年には、第3回朝日現代音楽賞を受賞したのも人並みはずれていますが、その3年後の1996年には、いきなり新日本フィルハーモニー、京都市交響楽団の両定期演奏会に連続出演。しかも定期デビューの世話をしたのはあの井上道義。井上は大井に《シナファイ》を弾くことを勧め、それが実現してしまうのです。このとき大井はまだ28歳でした。
 その演奏が話題になり、演奏会の録音テープは、まだ存命していたクセナキスのもとに届けられたのです。
 Timpaniレーベルのクセナキス・オーケストラル・プロジェクトはこのとき企画段階にありました。《シナファイ》のソロイストに誰を起用するか、その時点ではまだ白紙の状態だったのですが、老クセナキスは遠い日本から送られてきたテープを耳にするやいなや、「是非この男に《シナファイ》のソロをレコーディングでも弾いてもらいたい。」と告げたといいます。つまりクセナキス本人の「遺言」で大井が起用されたということになります。
 その後、大井は1996年からスイスのベルンに居を移し、スイス国立音楽院でブルーノ・カニーノのクラスに参加します。ほとんど独学だった大井ですが、カニーノに「何も教えることはない、君の考えた通りに弾けばいい」と言われたといいます。
 その後、2001年に出光音楽賞を受賞。この時の受賞演奏会で、クセナキスのもうひとつのピアノ協奏曲《エリフソン》を初演し、大井のコンテンポラリー・フィールドでの評価はますます上がることになりました。
 さらに今年は、ルクセンブルクでこのCDのレコーディングを終えた後の7月に帰国、アサヒビール・ロビー・コンサートと、同志社大学での2回にわたり、クセナキスのソロ作品や、金管楽器とのアンサンブル作品を体系的に弾くコンサートを開催。タン=ドゥンなどの同時代作品を織り交ぜつつ、クセナキス作品を時代順に追うプログラミングが芳醇で濃厚な大井の演奏ともども話題となって高い評価を獲得します。
 頭脳も、体格も、打鍵の力強さも、キャラクターも、すべてにおいて日本人離れしている大井浩明の実質的なデビュー・レコーディングとなる本アルバム。他のピアニストでいったい誰がこれほどの衝撃的なデビューを飾ることができたでしょうか。世界屈指、空前絶後、悪魔の如き難曲が、誕生から三十有余年を経て、クセナキスが指名した「日本人ソロイスト」の手によって音盤上に収められたのです。


ヤニス・クセナキス(1922−2001):
@シナファイ ―― ピアノと86人の奏者のための
Aホロス ── 89人の奏者のための
Bエリダノス ── 68人の奏者のための
Cキアニア(暗い瑠璃色の国) ── 90人の奏者のための
大井浩明(ピアノ@)
アルトゥーロ・タマヨ 指揮 ルクセンブルク・フィルハーモニー

収録曲   

  • 01. Ooi, Hiroaki - Synaphai
  • 02. Ooi, Hiroaki - Horostrack 02
  • 03. Ooi, Hiroaki - Eridanos
  • 04. Ooi, Hiroaki - Kyania

ユーザーレビュー

総合評価

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CDの音はきれいにきこえるけれど、ただそれ...

投稿日:2007/02/18 (日)

CDの音はきれいにきこえるけれど、ただそれだけのことで、このピアニストの独自の考え方がさっぱりきこえてこない。サウンドイメージで評価しようというのなら、このCDは、音がきれいなBGMといいうところか。

HN さん | 東京 | 不明

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何といってもメインは「シナファイ」です。...

投稿日:2005/05/14 (土)

何といってもメインは「シナファイ」です。とにかくピアノを担当する大井浩明氏の神業とも言えるピアノ演奏は聴きもの!壮絶なことになっています。他の3曲も激しい音響で、独自の世界を作り出していて良いです。

悠治 さん | 岡山 | 不明

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フジテレビの「とくダネ!」でも紹介され、...

投稿日:2004/06/21 (月)

フジテレビの「とくダネ!」でも紹介され、クラシック音楽という範疇でみても、かなりの好セールスを記録したCD。このCDでの聴き所は、やはり10段譜でソロパートが記譜された「シナファイ」につきる。難曲をここまで丁寧に弾き込んだ大井浩明には、ただただ脱帽。しかしながら、併録の3曲が大傑作と太鼓判が押せるような曲ではないため、1点減点。このCDでクセナキスの興味をもった方には、同シリーズの第2集をお勧めしよう。

トゥラケムス さん | 東京 | 不明

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