「ベルリン・フィル・レコーディングス」
ラフマニノフ生誕150周年記念アルバム第1弾。2022年ヴァルトビューネで共演した
ペトレンコとゲルシュタインによるピアノ協奏曲第2番
そしてフィルハーモニー大ホールで特別に録音したゲルシュタインのソロを収録!
ラフマニノフ生誕150周年を記念して「ベルリン・フィル・レコーディングス」から特別なアルバムがリリースされます。第1弾はピアニスト、キリル・ゲルシュタインをフィーチャーした内容。これまでにもフランク・ペーター・ツィンマーマンなどソリストに焦点を当てたディスクがリリースされていますが、今回はゲルシュタインの独奏を含む構成となっています。
まずは、ベルリン・フィルが毎年シーズンの最後に野外で行うヴァルトビューネ・コンサートの2022年ライヴ録音。急病のダニール・トリフォノフに代わってキリル・ゲルシュタインが登場。2016年のベルリン・フィル・デビューと同じ演目ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏しました。ゲルシュタインは出演が決まった際に、指揮者キリル・ペトレンコと2時間半のミーティングを行ったといいます。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番のような有名な楽曲では、普通はそれほど打合せをすることはないそうですが、今回ペトレンコとゲルシュタインは互いの音楽観について徹底的に話し合ったそう。ゲルシュタインは、ペトレンコのどんなときも作品に敬意を払い、真摯に音楽作品と向き合い、再考する姿勢に感銘を受けたといいます。2022年のヴァルトビューネはオール・ロシアプログラムで組まれており、シーズンを鮮やかに締めくくるコンサートでもありながら、ペトレンコの世界情勢に対するメッセージ性も含んだ内容と言えるでしょう。そして本番。冒頭の鐘の音を模したピアノの和音、言わずと知れた10度の音程を、ゲルシュタインは大きな手で難なく弾きこなし、第2楽章の夢見るような美しい旋律、繊細なカデンツァ、第3楽章ではピアノの華麗な走句を展開しながら、ドラマティックなクライマックスへと突き進んでいきます。心の奥底まで響くラフマニノフの美しさ溢れる演奏となっています。
ゲルシュタインはこのアルバムに収録するソロ作品を考える際に、ピアノ協奏曲第2番という中期の傑作を核としながらも、初期から後期の作品を網羅した生誕150周年にふさわしい内容となるように選曲したといいます。まず、ポスト・チャイコフスキーを思わせる初期の傑作、幻想的小品集から『メロディ』。そして非常に親交の深かった20世紀前半を代表するヴァイオリニスト、フリッツ・クライスラーに関わる2曲を収録。クライスラーの名作『愛の悲しみ』のラフマニノフによるピアノ編曲版と、クライスラーに献呈した『コレッリの主題による変奏曲』です。最後は歌曲『6つの歌』より第3曲『夜の静けさに』をゲルシュタインによるピアノ編曲で収録しています。これらのソロ作品は、ベルリンのフィルハーモニー大ホールで特別に録音され、消え入るようなピアニッシモに至るまで美しく音を捉えています。
カバー写真:トーマス・シュトゥルート(輸入元情報)
【収録情報】
ラフマニノフ:
● ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.18 (31:07)
キリル・ゲルシュタイン(ピアノ)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
キリル・ペトレンコ(指揮)
録音時期:2022年6月25日
録音場所:ベルリン、ヴァルトビューネ
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
● メロディ〜幻想的小品集 Op.3より第3曲 (4:24)
● 愛の悲しみ(クライスラー/ラフマニノフ編) (4:24)
● コレッリの主題による変奏曲ニ短調 Op.42 (17:48)
● 夜の静けさに〜6つの歌 Op.4より第3曲 ニ長調(ゲルシュタイン編) (2:58)
キリル・ゲルシュタイン(ピアノ)
録音時期:2023年2月6日
録音場所:ベルリン、フィルハーモニー
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
SACD Hybrid
CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD 5.1 SURROUND
輸入盤・日本語帯・解説付き
キリル・ゲルシュタイン
1979年ロシアのヴォロネジ生まれ。両親が聴いていたレコードの影響でジャズを独学で学ぶ。ディジー・ガレスピーやオスカー・ピーターソンに大きな影響を受ける。選ばれし子供(「ギフト」)が入学できる音楽学校で教育を受け、14歳で渡米し、史上最年少でバークリー音楽大学の学生となる。はじめはジャズ、その後16歳からクラシックに集中するようになる。ニューヨークのマンハッタン音楽院でソロモン・ミコフスキーに師事、その後ドミトリー・バシキーロフ(マドリード)とフェレンツ・ラードシュ(ブダペスト)らに師事。
2001年、エイヴリー・フィッシャー・キャリア・グラントを受賞。同年第10回アルトゥール・ルービンシュタイン・コンクール優勝。2002年、第6回ギルモア・ヤング・アーティスト・アワードを受賞。その賞金をもとに、ティモ・アンドレス、チック・コリア、アレクサンダー・ゲール、オリヴァー・ナッセン、ブラッド・メルドーらに新曲の委嘱もしている。
また、音楽家にとって教育に携わることは不可欠と考え、2007年から2017年の間、シュトゥットガルト音楽大学でピアノ・クラスを指導した。2018年10月には、ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学でピアノの教授に就任。さらに、クロンベルク・アカデミーの新設の「サー・アンドラーシュ・シフ・パフォーマンス・プログラム・フォー・ヤング・アーティスツ」でも後進の指導にあたっている。(輸入元情報)
キリル・ペトレンコ
オペラ指揮者
飛躍のきっかけはマイニンゲン時代の2001年、29歳で取り組んだ「ニーベルングの指環」の成功で、以後、各国に客演することとなり、ドイツのオペラ誌「Opernwelt」では、2007、2009、2014、2015、2020年に年間最優秀指揮者に選ばれてもいました。
オペラの客演は、2000年のフィレンツェ5月音楽祭を皮切りに、ウィーン国立歌劇場、ザクセン州立歌劇場、リセウ大劇場、パリ・オペラ座、コヴェントガーデン王立歌劇場、バイエルン州立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、フランクフルト歌劇場、リヨン国立歌劇場、バイロイト音楽祭と続いています。
コンサート指揮者
オーケストラ・コンサートへの客演も盛んで、シカゴ響、クリーヴランド管、ロサンジェルス・フィル、コンセルトヘボウ管、バイエルン放送響、シュターツカペレ・ドレスデン、ハンブルク・フィル、NDR響(ハンブルク)、WDR響(ケルン)、MDR響(ライプツィヒ)、デュースブルク・フィル、ケルン・フィル、ウィーン放送響、ウィーン響、オスロ・フィル、ローマ聖チェチーリア管、RAI国立響(トリノ)、ロンドン・フィル、イスラエル・フィルなどを指揮。ベルリン・フィルへの初登場は2006年2月。
楽譜の研究と自分の音
ペトレンコはどんな作品でも必ず、頭の中で「自分の音」を響かせるまで楽譜を繰り返し研究するそうです。そしてリハーサルではその「自分の音」の実現に向けて、自分の考えとそのための要求を楽員に伝え、目標実現に向けて共に努力するというのが基本スタイルになっているのだとか。そのため、楽員や歌手の能力や集中力が常に維持されるような友好的な雰囲気の中で仕事をするのがペトレンコ流儀で、それが作品情報の伝達力や演奏の完成度の高さの秘訣にもなっています。
1972
◆ 2月11日、ソ連、西シベリアの大都市オムスクに誕生。父のガリー・ペトレンコはソ連、西ウクライナのリヴォフの生まれで、ヴォルガ・ドイツ人らも多く移住していたオムスクに移り住んだユダヤ系のヴァイオリニスト。母は音楽学者
1983
◆ ピアニストとして地元オムスクの交響楽団と共演
1990
◆ ペトレンコ家はオーストリアのフォアアールベルク州に移住。父が同地の音楽学校で働くことになったため。父は教職だけでなく、友人とアルペジョーネ・ホーエネムス室内管弦楽団を結成して活動
◆ フォアアールベルク州のフェルトキルヒ国立音楽院でフェレンツ・ポーグナーにピアノを師事
◆ ウィーン音楽大学に入学し、ウロシュ・ラヨヴィチらに指揮を師事
1995
◆ フォアアールベルクで、ブリテン「オペラを作ろう」で指揮者デビュー
1997
◆ ウィーン音楽大学を卒業
◆ ウィーン・フォルクスオーパーのカペルマイスターに就任
1998
◆ ウィーン・フォルクスオーパーのカペルマイスター
1999
◆ ウィーン・フォルクスオーパーのカペルマイスターを退任
◆ マイニンゲン歌劇場の音楽総監督に就任
2000
◆ マイニンゲン歌劇場音楽総監督
◆ フィレンツェ5月音楽祭に出演
2001
◆ マイニンゲン歌劇場音楽総監督
◆ 同劇場の「ニーベルングの指環」で成功
◆ 12月、ウィーン国立歌劇場に「魔笛」でデビュー
◆ ドレスデン州立歌劇場デビュー
2002
◆ マイニンゲン歌劇場の音楽総監督を退任
◆ 8月、ザルツブルク音楽祭、モーツァルテウム管弦楽団、モーツァルト34番、アリアーガ:交響曲第ニ長調、他
◆ ベルリン・コーミシェオーパーの音楽総監督に就任
2003
◆ ベルリン・コーミシェオーパー音楽総監督
◆ リセウ大劇場デビュー
◆ パリ国立歌劇場デビュー
◆ コヴェントガーデン王立歌劇場デビュー
2004
◆ ベルリン・コーミシェオーパー音楽総監督
◆ 9月、ウィーン国立歌劇場「リゴレット」
2005
◆ ベルリン・コーミシェオーパー音楽総監督
◆ フランクフルト歌劇場デビュー
2006
◆ ベルリン・コーミシェオーパー音楽総監督
◆ 2月、ベルリン・フィルに初客演
◆ リヨン国立歌劇場デビュー
2007
◆ ベルリン・コーミシェオーパー音楽総監督を退任
◆ 7月、ウィーン響、ショスタコーヴィチ:交響曲第14番、ブリテン:シンプル・シンフォニー
◆ リヨン国立歌劇場
◆ ドイツのオペラ誌「Opernwelt」で年間最優秀指揮者に選出
2008
◆ 9月、ウィーン国立歌劇場「ナクソス島のアリアドネ」
◆ リヨン国立歌劇場
2009
◆ 8月、ウィーン響、シマノフスキ:交響曲第4番、スクリャービン「法悦の詩」、他
◆ バイエルン州立歌劇場「イェヌーファ」
◆ リヨン国立歌劇場
◆ フランクフルト歌劇場「パレストリーナ」
◆ ドイツのオペラ誌「Opernwelt」で年間最優秀指揮者に選出
2010
◆ 5〜6月、ウィーン国立歌劇場「エフゲニー・オネーギン」
◆ リヨン国立歌劇場
2011
◆ 2月、ウィーン響、ツェムリンスキー:抒情交響曲、リャードフ:「魔法にかけられた湖」、スクリャービン:「法悦の詩」
◆ 8月、ウィーン響、シェーンベルク「ナポレオン・ボナパルトへの頌歌」、チャイコフスキー:マンフレッド交響曲、他
◆ フランクフルト歌劇場「トスカ」
2013
◆ 1月、コンセルトヘボウ管、R=コルサコフ:シェエラザード、他
◆ 3月、メトロポリタン歌劇場「ホヴァンシチナ」
◆ バイロイト音楽祭「ニーベルングの指環」
◆ 9月、バイエルン州立歌劇場の音楽総監督に就任
2014
◆ バイエルン州立歌劇場音楽総監督
◆ バイロイト音楽祭「ニーベルングの指環」
◆ 11月、ウィーン国立歌劇場「ばらの騎士」
◆ ドイツのオペラ誌「Opernwelt」で年間最優秀指揮者に選出
2015
◆ バイエルン州立歌劇場音楽総監督
◆ バイロイト音楽祭「ニーベルングの指環」
◆ ドイツのオペラ誌「Opernwelt」で年間最優秀指揮者に選出
2016
◆ バイエルン州立歌劇場音楽総監督
◆ 4月、ウィーン・フィル、メンデルスゾーン3番、マーラー:大地の歌
2017
◆ バイエルン州立歌劇場音楽総監督
2018
◆ バイエルン州立歌劇場音楽総監督
◆ 8月、ザルツブルク音楽祭、ベルリン・フィル、ドン・ファン、死と変容、ベートーヴェン7番、デュカス:ラ・ペリ、シュミット:交響曲第4番、他
◆ 12月、ウィーン・フィル、シュテファン:管弦楽の為の音楽、R.シュトラウス:メタモルフォーゼン、ブラームス4番
2019
◆ バイエルン州立歌劇場音楽総監督
◆ ベルリン・フィルの音楽監督に就任
2020
◆ バイエルン州立歌劇場音楽総監督
◆ ベルリン・フィル音楽監督
◆ ドイツのオペラ誌「Opernwelt」で年間最優秀指揮者に選出
2021
◆ ベルリン・フィル音楽監督
◆ バイエルン州立歌劇場音楽総監督を退任
◆ 12月、ウィーン・フィル、シュニトケ:ヴィオラ協奏曲、スクリャービン:交響曲第3番「神聖な詩」
2022
◆ ベルリン・フィル音楽監督
2023
◆ ベルリン・フィル音楽監督