リヒャルト・シュトラウス 作曲家 人と作品

岡田暁生

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784276221956
ISBN 10 : 4276221951
フォーマット
出版社
発行年月
2014年04月
日本
追加情報
:
18

商品説明

作曲家◎人と作品 リヒャルト・シュトラウス
岡田暁生 著


高校生から研究者までを対象とした伝記シリーズの決定版。著者は、デビュー作『バラの騎士の夢』(1997春秋社)の後、数々のセンセーショナルな著書を生み出している気鋭の音楽学者、岡田暁生。
「19世紀ヨーロッパ市民の時代」の黄金期に生まれ、その最後の幕を引いた超人シュトラウス。世紀転換期の作曲家の中でも抜きんでた音楽技法を持ち、最晩年になってなお、比類のない作品を生み出した。このことは、シュトラウスの生きた「時代」においてどのような意味を持ったのか。当時の社会や音楽界の様相を絡めて描いた生涯篇では、《最後の四つの歌》の内面性など、著者独自の視点も読みどころのひとつ。作品篇では、シュトラウスの作曲技法が浮き彫りとなる緻密な楽曲分析を堪能できる。

【目次】
■生涯篇■
「リヒャルト・シュトラウス 1864〜1949」という意味
音楽史の1860年世代について/「帝国の時代」の作曲家/市民音楽の時代の幕を引いた人

市民にしてブルジョワ、そしてバイエルン人 ― シュトラウスの気質をめぐって
職人であり楽師であり芸術家―フランツ・シュトラウス/職人であり商人であり市民―ヨゼファ・プショール

幼少時代からさすらう若人の時代まで (1864〜1884)
音楽環境―家庭/ロマン主義の時代の古典主義の街ミュンヘン/子ども時代のシュトラウス/旅立ちとビューローとの出会い/初恋、母の入院、指揮デビュー

若きカペルマイスターの修行時代 (1885〜1894)
マイニンゲンでの日々/教育パパとの愉快な関係/イタリア紀行/ミュンヘンでの第三楽長時代/アレクサンダー・リッターとショーペンハウアー形而上学/広がっていく活動とパウリーネとの出会い/1889年―ワイマール時代の始まりと《ドン・ファン》/エジプトでの病気療養/バイロイトの呪縛/若き吟遊の騎士グントラムここに眠る

第二次ミュンヘン時代 (1894〜1898)
ミュンヘンは耀いていた/生涯最大の屈辱/哄笑と力への意志/指揮者としてのシュトラウス/シュトラウスとモーツァルト・オペラ

疾風怒濤のベルリン時代 (1898〜1904)
ベルリンでの生活/ある英雄の生涯/ミュンヘンへの復讐/巨大管弦楽の夢とマンモス・コンサート/著作権のための戦いか金の亡者か/ホームドラマ交響曲/パパはスター

《サロメ》から第一次世界大戦、そして《ヨゼフ伝説》 (1904〜1914)
サロメ・シンドローム/《エレクトラ》と前衛オペラの極北/シュトラウスとシェーンベルク/《ばらの騎士》と一つの世界の終焉/《ナクソス島のアリアドネ》の余韻/老化の始まり?

時代からの転落 (1914〜1918)
第一次世界大戦とシュトラウスの時代錯誤/ベッカーの《アルプス交響曲》批判/終戦の混乱/苦悩するシュトラウス/石になった皇帝

戦間期の停滞 (1919〜1933)
ベルリンからウィーンへ/若い作曲家との関係/再びアメリカへ/マンネリ化する作曲/アラベラの青春

ナチス台頭 ― 楽天家の悲劇的晩年 (1933〜1945)
帝国音楽院総裁/ツヴァイク事件/《カプリッチョ》の遺言/《メタモルフォーゼン》

戦後 (1945〜1949)
私はこの世に忘れられ/音楽史上の意味はない作品/最後の歌 または ドーラの面影

■作品篇■

作曲技法
響き/和声法/終止カデンツ/無調/複調/フォルム/引用と歴史主義/作曲プロセス/自己評価

創作時期
初期作品とイミテーションの才覚/シュトラウスとメンデルスゾーン/《イタリアから》と世界苦の交響詩/官能の発見と《ドン・ファン》/第二次ミュンヘン時代の交響詩とリート/楽劇の時代/モーツァルトへ/停滞期のオペラ/新しい様式の模索とリート/1920年代の総決算―《アラベラ》/晩年様式と遊戯/晩年様式と諦念/《メタモルフォーゼン》の変容とオスティナート/《最後の四つの歌》の内面性

あとがき

■資料編■
リヒャルト・シュトラウス年譜/ジャンル別作品一覧/主要参考文献/人名索引

内容詳細

目次 : ■【生涯篇】 / 「リヒャルト・シュトラウス 1864〜1949」という意味 / 市民にしてブルジョワ、そしてバイエルン人 / −−シュトラウスの気質をめぐって / 幼少時代からさすらう若人の時代まで 1864〜1884 / 若きカペルマイスターの修行時代 1885〜1894 / 第二次ミュンヘン時代 1894〜1898 / 疾風怒涛のベルリン時代 1898〜1904 / ≪サロメ≫から第1次世界大戦、 / そして≪ヨゼフ伝説≫ 1904〜1914 / 時代からの転落 1914〜1918 / 戦間期の停滞 1919〜1933 / ナチス台頭−−楽天家の悲劇的晩年 1933〜1945 / 戦後 1945〜1949 / ■【作品篇】 / 作曲技法 / 創作時期 / ■【資料篇】 / リヒャルト・シュトラウス年譜 / ジャンル別作品一覧 / 主要参考文献 / 人名索引 / ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ / 〜≪英雄の生涯≫≪ドン・フアン≫≪サロメ≫≪ばらの騎士≫・・・。 / 常に話題作として世に登場した作品たちは、クラシック音楽史上、 / 何を意味したか? 音楽史を新たな視点で読み直してきた / 岡田暁生による最新の書下ろし!〜

【著者紹介】
岡田暁生 : 1960年京都生まれ。大阪大学、神戸大学を経て、京都大学人文科学研究所教授。博士論文をもとにしたデビュー作『バラの騎士の夢』(1997年、春秋社)は改訂され『オペラの終焉』(ちくま学芸文庫)として2013年に再版される。著書に『音楽の聴き方』(2009年、中公新書、吉田秀和賞)、『オペラの運命』(2001年、中公新書、サントリー学芸賞)、『ピアニストになりたい!』(2008年、春秋社、芸術選奨新人賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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 意外にリヒャルト・シュトラウスについて...

投稿日:2021/04/09 (金)

 意外にリヒャルト・シュトラウスについて書かれた本は少ないです。最後のドイツ保守本流の作曲家として、いわゆる「後期ロマン派」に属する交響詩やオペラを数多く残し、交響詩や「ばらの騎士」などのオペラはヨーロッパでは定番中の定番で演奏頻度も非常に多いですが、その生涯や生き様が体系的に書かれたものはほとんどありません。その意味で、この岡田暁生氏の著作は貴重です。  リヒャルト・シュトラウスは、前半生の19世紀中にほとんどの交響詩や管弦楽曲を書き終え、後半生の20世紀になってからはもっぱらオペラを作曲しました。  そして、晩年にはナチスから「帝国音楽院総裁」にまつりあげられ、1940年には日本の「皇紀2600年奉祝曲」まで作曲しています(この曲、ほとんど演奏も録音もされません)。第2次大戦後の1949年まで生きていて、最後まで作曲を続けていました。絶筆の「4つの最後の歌」なんて実に感動的です。  いわゆる「職人的芸術家肌」の政治音痴だったのですね。  そんな人間・人生を知ることで、ほんの少し音楽が深く味わえるかもしれません。  「西洋音楽史〜「クラシック」の黄昏」(中公新書)などの優れた著作の多い岡田氏のそもそもの研究対象がリヒャルト・シュトラウスだったということからも、充実した内容になっています。

Tan2 さん | 神奈川県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ジョンノレン さん

    著者3冊目、11月にウィーンフィルのツァラを聴く予定もあり。生涯編は19世紀後半から世紀末そして2つの世界大戦を経過する波乱の時代背景の中、往時の錚々たる面々とのやり取りや、諸作品の創作プロセスや曰く、交友・確執などが混じり合いお腹いっぱいに。ビューローに見込まれ20才そこそこでマイニンゲン宮廷オケの第二指揮者に就任した頃、聴きに来ていたブラームスに交響曲を褒められたり、8小節の平易な音節作りの勧めに加え、弱点の修正のアドバイスを得たという話や、相前後してブラ4がブラームス本人の指揮で行われたり。

  • 金城 雅大(きんじょう まさひろ) さん

    波乱万丈で数奇な人生は正にドラマ。ただ、それも圧倒的才能があったればこそ。 凡人は自分の人生に対してこれほどまでに苦悩できないということを痛感した。

  • ろべると さん

    我が偏愛のオペラ「ばらの騎士」の論考で世に出た岡田氏による、作曲家の生涯と作品論。トーマス・マンは「生涯同じ文化的・思想的基盤に過ごした人は幸せだ」と言ったそうだ。マーラーやドビュッシーらと同じ1860年代に生まれたR・シュトラウスは、他の作曲家たちと違って20世紀にも足を突っ込むどころか、第一次大戦で財産を失い、果てはナチスに取り込まれて第二次大戦後まで生きることになる。栄光の日々の末に彼を待っていたのは「過去の人」の烙印であった。古き良き時代の栄華に想いを馳せる彼の姿に「ばら」の元帥夫人の姿が被る。

  • kumoi さん

    18世紀の音楽はまだ王侯貴族の専有物であったが、教養のある彼らにとって音楽とは娯楽であると同時に芸術でもあった。その後、フランス革命が起き、上流ブルジョワが音楽の新しいパトロンになった。この時期に流行ったのは、心地よいサロン音楽である。後にサロン音楽はワーグナーの批判の的になったわけだが、この頃はまだ芸術と娯楽が止揚されることで、音楽の発展が見込めた。しかし、20世紀初頭にシェーンベルクの無調音楽が現れ、芸術と娯楽は後戻りできないほど乖離してしまう。大衆文化の流れに抗うのはもはや不可能なのだろうか。

  • 【みらいけん読書会】 さん

    #30 ほし

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岡田暁生

1960年、京都市生まれ。音楽学者。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。京都大学人文科学研究所教授。『オペラの運命』でサントリー学芸賞、『ピアニストになりたい!』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、『音楽の聴き方』で吉田秀和賞、『音楽の危機』で小林秀雄賞受賞

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