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熱源

川越宗一

User Review :4.5
(3)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784163910413
ISBN 10 : 4163910417
Format
Books
Publisher
Release Date
Japan

Content Description

樺太アイヌの戦いと冒険を描く前代未聞の傑作巨篇!

樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。
一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。
日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。
文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。
樺太の厳しい風土やアイヌの風俗が鮮やかに描き出され、国家や民族、思想を超え、人と人が共に生きる姿が示される。
金田一京助がその半生を『あいぬ物語』としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた、読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作。


重たい題材を、ときにユーモラスに、ときにスリリングに語って、読者を離さない。
時代の中で、私たちは多くを失い、変化させざるを得ないが、何かをとどまらせる意思を持つのも、人間だけなのだと小説は熱く訴えてくる。
――中島京子氏(「毎日新聞」2019年10月13日より)

日本とロシアという二つの帝国に翻弄され、同胞と引き裂かれた二人の男。遠く離れた地で生まれた彼らの人生が国境の島で交錯し、読み手の心に静かな熱を生む。
――梯久美子氏(「文藝春秋」2019年12月号より)


川越宗一(かわごえ・そういち)
1978年鹿児島県生まれ、大阪市出身。京都市在住。龍谷大学文学部史学科中退。2018年『天地に燦たり』で第25回松本清張賞を受賞しデビュー。短篇「海神の子」(「オール讀物」12月号掲載)が日本文藝家協会の選ぶ『時代小説 ザ・ベスト2019』(集英社文庫)に収録。19年8月刊行の『熱源』で第10回山田風太郎賞候補、第9回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞、第162回直木賞候補、第22回大藪春彦賞候補に。

【著者紹介】
川越宗一 : 1978年、大阪府生まれ。龍谷大学文学部史学科中退。2018年、「天地に燦たり」で第25回松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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本とともに長い長い旅をしてきたようです。...

投稿日:2021/06/26 (土)

本とともに長い長い旅をしてきたようです。熱い作品でした。フィクションだからこそ知ることができる真実を感じたような気がします。私が知らなかった歴史やアイヌのことが描かれていました。面白くて、優しい素敵な人たちが印象的でした。読後にも、彼らと一緒に生きたような感覚が自分にあるのが不思議です。

はれ さん | 不明 | 不明

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戦前から戦後の樺太(サハリン)を舞台にし...

投稿日:2021/04/18 (日)

戦前から戦後の樺太(サハリン)を舞台にした史実を基にしたフィクション。この島が日本とロシア(ソ連)の間で揺れ動いた中で、翻弄される少数民族の葛藤を浮き彫りにしている。この時代は戦争や疫病などもあり人の寿命も短いし、登場人物の死もあっけない。 そんな物語を紡いでいくのは、この島に関わることになった多くの民族の視点である。それぞれの立場から見る真実を様々な角度で表現することで事実に迫ろうという手法は一見、全編を通した主人公の不在によるストーリーの一貫性を欠く危険も孕んでいるが、事実を中心に回すことで、見事にテーマを成立させている。そのテーマは、この本を読んだ各自で確認して貰いたい。

Kooさん さん | 東京都 | 不明

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第一章の帰還は、わくわくして読みました。...

投稿日:2021/04/10 (土)

第一章の帰還は、わくわくして読みました。が、次第に読む速度が少しにぶりました。アイヌの人々の凜とした生き方には清々しさを感じました。アイヌの民族使用には興味がありましたが、その文化についても、もっと知りたくなりました。

xyz2005 さん | 愛知県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア

    失なわれゆくものへの限りない哀惜をこめて語られる物語。それはアイヌの人々の暮らしであり、言葉であり、楽器や音楽であり、そしてより根源的にはアイデンティティの在り様である。英雄こそ登場しないが、その語りはいわばアイヌ民族阿の叙事詩にほかならない。時間感覚、風土の空気感ともに雄大なスケールで語られるが、役どころからすれば、流刑者であり民族学者として再生するピウスツキがその叙事詩の語り部である。彼は2つの故郷を持ち、そしてその2つを共に喪失する。リトアニアが独立を回復するのは1990年であった。

  • starbro

    第162回直木賞受賞作(候補作を含め4/5)で、本屋大賞ノミネート(5/10)ということで、ようやく読めました。静かな熱量を感じる歴史冒険小説の秀作、船戸与一をソフトにしたようなテイストでした。直木賞受賞は、納得ですが、本屋大賞とは雰囲気が違うので、W受賞はないと断言できます。著者には、船戸与一の後継者として、冒険小説を書いて欲しいと思います。

  • ウッディ

    移り住んだ北海道の村で疫病で家族や仲間を失い、生まれた樺太に渡った一人のアイヌ、政治犯として樺太に収容され、土着民の生き方に魅せられたポーランド人を軸に、戦争を通じて、ロシアと日本に間で揺れ動く樺太を描いた物語。自然と共生し、独自の文化を築くアイヌの人々には、厳しい寒さの中で育まれた熱源があった。それは、土人と蔑まれながらも持ち続けていた民族の誇りと仲間を守りたいという情熱であったに違いない。歴史に翻弄された島と人の話はスケールが大きかったが、南極探検隊の話など、もう少し詳しく書いても良かったのでは・・。

  • ホッケうるふ

    序盤で怒る薩摩の永山大佐が骨を埋めた北海道の地から異文化の交わる樺太の地に飛翔して数多の濃い人々が活躍する東西の歴史と文化を掘り下げる世界観がディープでワイド。wikiを参照しながら読むと史実の裏に生命力とユーモアを吹き込む作者の手腕が分かり実在人物総動員でアイヌ民族を史料の中から浮かび上がらせる海外エンタメのような力業に感嘆する。多様性を豊かな心で認め合う登場人物たちが現代で素直に対峙できない我々に眩しく映る。フィクションだから当然だが作者はピウスツキについて省略や史実の改変をかなり施している。(続く)

  • Tadashi Tanohata

    北海道経験3年間、浅はかだった。先住民=アイヌぐらいの知識しかなく撫でるように巡ったにすぎない。そんな後悔を隆起させた一冊だった。「故郷」とは「民族」とは「教育」とは「国籍」とは「戦争」とは、そして「熱源」とは。レビューも憚れる壮大な物語。162回直木賞。興奮止まぬ。

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