生成AI革命 社会は根底から変わる

野口悠紀雄

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784296118953
ISBN 10 : 4296118951
フォーマット
出版社
発行年月
2024年01月
日本
追加情報
:
320p;19

内容詳細

ブロックチェーン、デジタル社会論などのITがもたらす変化に関する先駆的な解説で知られ、情報技術の動向に詳しい野口悠紀雄氏による本格的な生成AI論。

 本書の目的は、「生成AIがある社会とは、どのようなものか?」を予測することだ。そして、それは生成AIがなかった世界に比べてより良い社会なのか、それとも悪い世界なのかを評価することだ。つまり、生成AIが経済活動と社会にもたらす影響を分析することだ。

 AI(人工知能)が人間の自然言語を理解し、人間の質問や指示に対して自然言語で的確な答えを返せるChatGPT など「生成AI」と呼ばれる新しい技術の活用によって、人間の知的活動は、これまでとはまったく違うものになる。これは、人類の歴史における大きな区切り点となる変化だ。「生成AIのなかった世界」がこれで終わりになる。では、どこがこれまでのコンピュータや従来のAIと異なるのか。

 第一に、これまでの技術が主としてブルーカラーの仕事を自動化したのとは違い、生成AIの最も大きな影響は、ホワイトカラーの、それも知的に高度な仕事に及ぶ。

 第二に、生成AIは、特定のタスクだけを自動化するのではなく、さまざまな仕事を自動化する。一般的な用途を持つ技術をGPT(General Purpose Technology:一般汎用技術)と呼ぶが、ChatGPTは、まさしくGPTなのだ。
 
両極端のシナリオが考えられる。第一は、作業が自動化される結果、生産性が向上し、豊かな社会が実現されるケースだ。つまり、生成AIは、ユートピアを実現する可能性を持つ。 しかし、自動化は失業をもたらす可能性が高い。これが第二のケースだ。所得分配が平等化する可能性もあるが、格差が拡大する可能性もある。

問題は、ホワイトカラーの仕事だけではない。社会のあり方が根底から覆されてしまう可能性がある。生成AIの用途は、事務処理の効率化だけでなく、カスタマーサービスやマーケティング、研究開発、さらには企業の意思決定にまで及ぶ。企業がこれらの分野でどのように 生成AIを用いるかによって、人々の働き方は大きく変わる。

 生成AIによる自動化によって経済が拡大するか、それとも失業が増えるかは、需要が拡大するか否かに大きくかかっている。日本の場合には、全般的な経済停滞のために、需要が拡大しない可能性が高い。だが、このような問題があるからといって、変化を恐れて新しい技術を導入しなければ、日本は世界の進歩から決定的に立ち遅れてしまう。

 ところが、日本企業は、生成AIの影響を、文書処理の効率化程度としか捉えていないのではないか。政策担当者が適切な問題意識を持っているのかどうかも、大いに疑問だ。考えれば考えるほど、日本の将来に危機感を覚える。本書の目的は、こうした事態に対して警告を発することだ。

【著者紹介】
野口悠紀雄 : 1940年、東京に生まれる。63年、東京大学工学部卒業。64年、大蔵省入省。72年、イェール大学Ph.D.(経済学博士号)。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学教授などを経て、一橋大学名誉教授。専攻は日本経済論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 西嶋 さん

    さすが野口悠紀雄著作だけあって、トランスフォーマーの様な技術に対する理解と、自身の試行錯誤を踏まえたプロンプトのヒント、および生成AIの原理的な限界など、とても良い学びがあった。 最後に記された、OpenAIの秘密プロジェクトQなるものは、動画生成AIのsora のことだったのかな。

  • TadashiK さん

    ★★★☆☆独自の切り口で生成AIについての理解が深まる。自分もまだどの程度影響が出るのか想定できていないが、注視し続けていかないといけない点は再認識できた。

  • mm71 さん

    生成AI革命後の未来は、ユートピアかディストピアか。影響を受けるのは、ホワイトカラー、知的労働。盛りだくさんの内容。

  • リカレント1971 さん

    AIの仕組みから説明してくれている。ロシアやパレスチナのことを考えると、AIが政治をした方がよいのかもしれない。都知事選挙で「AI新党」とか作って「政治判断はAIで」とか公約にする人ももうすぐ出るのでは?当選した後の世界を見てみたい。

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野口悠紀雄

1940年、東京生まれ。63年東京大学工学部卒。64年大蔵省入省。72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学教授などを経て、一橋大学名誉教授。専攻は日本経済論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載さ

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