その2年後の96年、Herbertは3つの作品をリリースで、シーンに衝撃を与えるとともにその人気を不動なものとする。まずはWishmaountain名義(現Radio Boy)の作品。Global Communicationのレーベル、「Universal Language」からリリースされた「Radio」(テクノ)で、アグレッシブなまでの実験性とダンストラックが見事に融合した衝撃的なサウンドで当時のテクノシーンを震撼。そして、Doctor Rockit名義で、当時「Warp」と並ぶインテリジェントなエレクトロニカレーベルとして注目されていた「Clear」から「Ready To Rock It」(ジャジー・エレクトロニカ)をリリース。さらに、Herbert名義での活動の拠点を置いていたレーベル、「Phono」からは500枚限定リリースのハウスシリーズをリリース。Herbertはこの1年でテクノ、エレクトロニカ、ハウスと作風の違ったプロジェクトを同時進行でスタートし、またそれぞれにおいて成功を収めるといった偉業を成し遂げる。
翌97年には現在のパートナーである歌姫、Dani Sicilianoをフィーチャーした初のヴォーカルハウストラック「Going Around」を、98年にはアルバム「Around The House」をリリース(既に廃盤となったが、2002年に再リリース)。また、それまで作風ごとに活動レーベルを移行してきたHerbertだったが、2000年に入り、「ACCIDENTAL」,「LIFELIKE」そして「SOUNDSLIKE」とそれぞれの名義のコンセプトごとに自身がA&Rから運営までを手掛ける3つのレーベルを始動。それぞれのレーベルからRadio Boy名義でシングル「A Machine Drilling For Oil」、Doctor Rockit名義でアルバム「Indoor Fireworks」、Herbert名義でシングル「Leave Me Now」をリリース。 特に、Doctor Rockit名義の「Indoor Fireworks」は、様々なメディアやアーティストから絶賛され、2000年ベストディスクにも選出された。また、この年には初のDJ Mix CD「Letsalltakemistakes」がドイツの老舗テクノレーベル「Tresor」からリリースされた。
また、彼はオリジナル作品とともに他のアーティストのリミックス作品も多く、電気グルーヴ、MOLOKO、SUPER FURRY ANIMALS、HARDFLOOR、DJ FOOD、SVEN VATH、MR OIZO、THE ORB、CRISTIAN VOGEL、Blaze、コーネリアスなど数多く手掛け、ジャンルや概念の垣根など軽々と飛越えた唯一無二な音楽性は多くのリスナーの心を捉えて放さない。そんな中、なんとそのリミックス・ワークを、Herbert自らが選曲し纏めたコンピレーション「Second Hand Sounds」が2CD、そして3LPx2バージョンにてPeacefrogより2002年1月にリリース決定。
その他、Mouse On Marsのアルバム「Idiology」への参加や、現在Bjorkのアルバム「Vespertine」への参加、更に<SOUNDSLIKE>よりサンフランシスコのMATMOS、<LIFELIKE>よりRADIOHEADのストリング・アレンジャ−であり、本アルバムにもバイオリンで参加しているJOHN MATTHIASの作品(Tom Yorkも参加!)のリリースを予定するなど、自身のレーベルも本格的に始動。シーンのクロスオーヴァー化が進行する中、まさに全ての音楽ファンが注目する存在となるであろう。
※<PCCOMとは…?>
Personal Contract For The Composition Of Music - <音楽制作におけるハーバート一身上の契約書> [Incorporating The Manifesto Of MISTAKES] - <「誤り、手違い」への声明文を含む>