1977年、前作イディオット(Idiot)と同年にリリースという早さでリリースされたソロ・セカンド・アルバム、ラスト・フォー・ライフ(Lust For Life)は前作同様にデヴィッド・ボウイがプロデュースしている。死の淵から甦ったイギーは前作以上にシンプルでソリッドな表現でロック美学を追求していった。後に90年代に入りドラッグから抜け出せずに悩む若者たちを描いた映画『トレインスポッティング』のサントラに”ラスト・フォー・ライフ”が使用されこのアルバムが見直された。
このアルバムでの評価の高さが彼をまた一回り大きくさせた。’93年リリースのアメリカン・シーザー(American Caesar)ではオーバーダブやミスの手直しを一切加えないスタジオ・ライヴ録音されたもので、前作の世界とは異なるヘヴィでイギー的パンクが前面に押し出されている作品となった。その後’96年にリリースのノーティー・リトル・ドギー(Naughty Little Doggie)をはさみ’99年アベニューB(Avenue B)を発表。’90年代初めの転機作をもたらしてくれたプロデューサ、ドン・ウォズと手を組み、ノイズに頼らないで感情を揺さぶる人間的な触れ合いを持つ音楽を作り出すことに成功した作品に仕上がった。こんなに内省的でしっとりしたアルバムをつくるとは誰が想像しただろうか。