SACD 輸入盤

『ボルジア(ボルハ)一族〜ルネサンス期の教会と権力』 サヴァール&エスペリオンXXI(3SACD)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
AVSA9874
組み枚数
:
3
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
SACD
その他
:
ハイブリッド,輸入盤

商品説明

ゴヤ:悔悛しない瀕死の病人に付き添う聖フランシスコ・ボルハボルジア(ボルハ)一族〜ルネサンス期の教会と権力
宗教的栄光に至るまで!
サヴァール&エスペリオンXXI


年1回のペースで続くブックCDも6巻目。ボルジア一族が主題となっている今回は、ローマ教皇と関係があるという点において前作とつながり、スペインが絡むという点において、今までのブックCDの流れともつながる内容となっています。
 日本ではボルジア一族というと、その華やかさや魅力からか、塩野七生のイタリア・ルネサンスを主題とした諸作や惣領冬実の「チェーザレ」など、メディアを問わず、チェーザレ・ボルジアに主題が集中しがちです。対照的に、この録音では、スペインを源流とするボルジア一族の起源(ローマ教皇カリストゥス3世)から宗教的栄光(ゴヤの絵でも有名な第3代イエズス会総長聖フランシスコ・デ・ボルハ)に至る約300年が取り上げらています。
 特に、死後、列聖されるという、一族唯一の宗教的栄光を得た、聖フランシスコ・デ・ボルハは、教皇や王たちの個人的アドバイザーを勤め、イエズス会の宣教師教育養成機関などをはじめとする組織を整備し、第5代総長アクアヴィヴァの頃に迎える、イエズス会の興隆期を準備したことで、後世の史家から、創立者・第1代総長ロヨラと同等の高い評価を与えられています。
 前作を時間的に引き継ぐ形となった今回は、1492年に至るまでのスペインの国土回復への動き、カール5世の世界帝国、から、レパントの海戦、サン・バルテルミの虐殺を扱っており、音楽も、デュファイからジョスカン・デ・プレまでというルネサンス音楽の王道、および、当時、耳にしたであろう、中近東・イスラムの音楽(音)が収録されています。
 美麗図版多数、英伊西カタルーニャ語による詳細な解説付。(キングインターナショナル)

【収録情報】
DISC1 第1部:権力への径/家門の起源と伸長(1238頃−1492年) [70:58]

I. 「ボルジア一族の起源と勃興」
 1063年 ムスリム治下のバレンシア。
・作曲者不詳:ムーワッシャハ(宮廷詩)「神、安住の地としてグラナダを守護せられ」(アル・アンダルスの器楽曲)

 1238年 アラゴン王ハイメ1世によるバレンシア征服。
・作曲者不詳:ドゥクツィア(CSM123、「聖母マリアのカンティガ集」より)(器楽曲)

 1378年 未来の教皇カリストゥス3世、アルフォンソ・デ・ボルハ誕生。
・デュファイ/サヴァール:サルタレッロ

 1417年 西方教会の大分裂(シスマ)終結。
・バンショワ:「ダ・パーチェム」

 1423年 アラゴン王アルフォンソ5世寛大王軍、ナポリ遠征。
・ジョルディ・デ・サン・ジョルディ:「友もなく、富もなく、主もなく」(「囚人」より)(朗誦)

 1431年 ロドリーゴ・ボルジア誕生。
・デュファイ/サヴァール:ロンド「この日」(器楽曲)

 1438/42年 アルフォンソ5世王イタリアへ:ナポリ征服へ。
・作曲者不詳:ストランボット=カッチャ「猟犬どもよ行け」(モンテカッシーノ歌集)

 1442年 ナポリ:アラゴン王権下の中心地。
・作曲者不詳:「野を耕せ」(モンテカッシーノ歌集)(器楽曲)

 1444年 アルフォンソ・デ・ボルハ、枢機卿に任命される。
・デュファイ:「めでたし、海の星(アヴェ・マリス・ステッラ)」

 1453年 コンスタンティノープル陥落。
・マカーム・ムハッイェル・「キュメ」・ウスル・デュイェク=アチェムレール(トルコ軍楽行進曲)

II. 「3つの文化の終焉と権力の獲得:ヴァチカン」
 1455年 アルフォンソ・デ・ボルハが教皇カリストゥス3世となる。彼はトルコへの十字軍を宣言する。
・作曲者不詳:「天は称賛にわき立ち」(モンテカッシーノ歌集)

 1456年 カリストゥス3世、1431年の裁判におけるジャンヌ・ダルクの有罪判決を破棄する。
・作曲者不詳:「アドラムス・テ(我ら汝を拝み)」(モンテカッシーノ歌集)

 1455-58年 ナポリ王フェランテ1世。
・作曲者不詳:「万歳、万歳、フェルナンド王」(モンテカッシーノ歌集)

 1458年 6月27日アルフォンソ5世王死去、8月6日教皇カリストゥス3世死去。
・作曲者不詳:「ミゼレーレ・ノストリ(我らを哀れみたまえ)/ヴェクシラ・レジス(王の御旗)」(モンテカッシーノ歌集)

 1459年 バレンシアの高名な詩人アウシアス・マルク死去。
・アウシアス・マルク:「大いなる悲しみ」( 朗誦)

 1474年 チェーザレ・ボルジア誕生。
・作曲者不詳:「頭がいいんだ、俺さまは」[ 器楽曲]

 1478年 シクストゥス6世、ロレンツォ・メディチ・「イル・マニーフィコ」を破門する。
・コルナーゴ:「我らの先祖は罪を犯した」

 1480年 ルクレツィア・ボルジア誕生。
・ヒゼヘム/ジョスカン・デ・プレ:「僕の彼女はいいところばかり」

 1489年 バヤズィト2世の兄弟であり競争者のジェム王子、バチカンの人質となる。
・作曲者不詳(オスマントルコ):タクシームと舞曲

 1492年1月 グラナダ王国終焉。
・ヴェラルディ:「万歳、フェルナンド大王」
 1492年4月 ロレンツォ・メディチ・「イル・マニーフィコ」、死去。
・イザーク:ロレンツォ・イル・マニーフィコの死への哀歌(ラメント)

 1492年7月 ユダヤ人がスペインから追い出される。
・作曲者不詳(セファルディ):ロマンセ「5月にバラが咲くと」

DISC2 第2部:栄華を極めることは儚く/絶頂と夢の終焉(1492年−1509年) [75:54]

III. 「絶頂と夢の終焉」
 1492年8月 ロドリーゴ・ボルジアは教皇に選出され、アレクサンデル6世の名を得る。
・マルブリアーノ・デ・オルト:「サルヴェ・レジス・マーテル(めでたし、王の母)/ヒク・サチェルドス(この司祭は)」

 1493年 アレクサンデル6世がセファルディのユダヤ人たちをかくまう。
・作曲者不詳:ヘブライの平和の歌「主よ」(シナゴーグでの歌)

 1493年 ルクレツィア・ボルジアとジョヴァンニ・スフォルツァの結婚。
・B.アッコルティ:「ルクレツィア賛」(朗誦)

 1495年 ジェム王子とオケゲムの死。
・ジョスカン・デ・プレ:「オケゲムの死を悼む挽歌」
 1496年 ナポリ副王の降伏。
・作曲者不詳:「絶望を司る運命の女神よ」

 1497年 ガンディア公ジョヴァンニ・ボルジアの暗殺。
・ジョスカン・デ・プレ:「わが子、アブサロン」

 1498年 ルクレツィア、アルフォンソ・ダラゴーナと結婚する。
・作曲者不詳:「スペインの騎士」

 1498年5月23日 サヴォナローラの拷問と処刑
・太鼓と鐘

 1498年 ルクレツィアとアルフォンソの息子、ロドリーゴ誕生。
・ジョスカン・デ・プレ:「バスクの娘」(器楽曲)

 1499年 チェーザレ・ボルジア、シャルロット・ダルブレと結婚。
・フィリップス・デ・ルラーノ:「お嬢さん、私の意志に反して」

 1501年10月31日 ローマへの牧歌。黒い伝説。
・フアン・デル・エンシーナ:ビリャンシーコ「この皮は、3 人分の全ての袖を作るのに十分でしょうか?」

 1503年7月 ルクレツィア、詩人にして人文主義者ピエトロ・ベンボに出会う。
・アルカデルト/ベンボ:ソネット「汝の美徳たる愛は」

 1503年8月18日 アレクサンデル6世の致命的な病と死。
・ジョスカン・デ・プレ:レクイエム

IV. 「社会変動と人文主義の時代: シビラ(巫女)と黙示録の預言」
 1505年 フェラーラ公妃ルクレツィア。
・ダルツァ:フェラーラ風パヴァーヌ

 1506年 フェラーラ宮廷におけるルクレツィア。
・フォンドラリア:「フェラーラ公賛」(朗誦)

 1507年 ビアナ包囲中のヴァレンティーノ公爵(チェーザレ・ボルジア)の死
・アントニオ・デ・ゲバラ:チェーザレ・ボルジアへの墓碑銘「かつて全世界を震撼させた者がこの狭き土地に横たわる」&ゴンサロ・フェルナンデス・デ・オビエド:墓碑銘のパロディ

 チェーザレの死への哀歌。
・エルコーレ・ストロッツィ:「葬儀の場にカスタリアの泉の水が撒かれ」(朗誦)

 1508年 ルクレツィアの腹心の友、エルコーレ・ストロッツィの暗殺。
・ジョスカン・デ・プレ:「アニュス・デイ」(ミサ「エルクレス・レクス」より)

 ヨハネの黙示録のラッパ。
・ジョルディ・サヴァール:ファンファリア
・作曲者不詳:バレンシアのシビラ(巫女)の歌(ガンディア歌集)&アロンソとバルトロメウ・カルセレス:ルフラン
 「審判の日に」
 「処女マリアの誕生は」
 ルフラン「15の兆しが現れ」(アロンソ)
 ルフラン「高き天より」(バルトロメウ・カルセレス)
 ルフラン「各々が書いて」(アロンソ)
 ルフラン「永遠の喜びから」(バルトロメウ・カルセレス)
 ルフラン「神の母よ」(アロンソ)
 ルフラン「私について聴いて戴いたこと全てを」(バルトロメウ・カルセレス)

DISC3 第3部:アレクサンデル6世の騒然とした治世から聖フランシスコ・デ・ボルハの宗教的勝利まで(1510年−1572(1671)年)」 [75:35]

V. 「交戦と休戦/軍事的及び政治的責任」
 1510年 フランシスコ・デ・ボルハ誕生。
・ルイス・デ・ミラン:ファンタジア第1番(ハープ)

 1515年 フランス王フランソワ1世。マリニャーノの戦いにおける勝利。
・ジャヌカン/スザート:「ラ・バタッリャ(戦争)」(器楽曲)

 1519年 ルクレツィアの死。神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の死。
・ジョスカン・デ・プレ:モテット「ああ、悲しみよ」

 1520年 ギルド同盟の反乱(カタルーニャ)。
・マテオ・フレーチャ:「戦い:全ての良き兵士たちへ」

 1526年 (カラブリア公)フェルディナンド・デ・アラゴン、バレンシア副王とされる。
・ルイス・デ・ミラン:ファンタジア第2番(ハープ)

 カラブリア公爵の宮廷。
・バルトロメウ・カルセレス:「なんてかわいい赤ん坊でしょ、ドゥルンデーナ、ドゥルンド」

 1529年 フランシスコ・デ・ボルハの、レオノール・デ・カストロ・メロ・エ・メネゼス
との結婚。
・作曲者不詳(ポルトガル):「我が目は海上を彷徨い」

 1536年 スペインを代表する抒情詩人、ガルシラソ・デ・ベガ、フランシスコ・デ・ボルハの腕の中で戦死する。
・ガルシラソ・デ・ベガ:牧歌4(1536年)「正直で純粋な」(朗誦)

 1538年 フランソワ1世とカール5世(カルロス1世)のニースの和約。
・クリストバル・デ・モラレス:「全地よ、神をたたえよ」

 1539年 フランシスコ・デ・ボルハ、カタルーニャ副王に任命される。
・フアン・ロマン(C.M.パラシオ):パヴァーヌ「または」

VI. 「断念(放棄)と宗教的変容」
 1549年 信仰告白。
・伝フランシスコ・デ・ボルハ:「クレド・イン・ウヌム・デウム」

 1550年 ガンディアからの出発。
・ベネガス・デ・エネストローサ:キリエ第1番(ハープ)

 1555年 アビラのテレサとの邂逅。
・テレサ・デ・ヘスス:「魂は、汝を求むるものが我が中に、我自身を求むるものが汝の中に」

 1555年 フランシスコ・デ・ボルハ、狂女王フアナの死に立ち会う。(トルデシーリャスにて)
・クリストバル・デ・モラレス:「ラクリモーサ・ディエス・イッラ」

 1556年 カール5世(カルロス1世)の退位。
・ジョスカン・デ・プレ/ルイス・ナルバエス:「千々の悲しみ」

VII. 「最後の年月、フランシスコ・デ・ボルハの死と列聖」
 1565年 オスマン・トルコ、マルタ島を攻撃。
・作曲者不詳(トルコ伝統音楽): 即興と踊り

 1571年 レパントの海戦の勝利。
・作曲者不詳:ファンファーレ

 1572年8月24日 パリへの旅。サン・バルテルミの虐殺。
・グディメル:詩篇第35 番「主は、私を非難するものから私を守り」

 1572年9月30日 フランシスコ・デ・ボルハの死。
・クリストバル・デ・モラレス:「ピエ・イェズ・ドミネ」(「レクイエム」より)

 1609年9月22日 ムーア人(モーロ、モリスコ)追放の布告。
・国王陛下および、ルイス・カリリョ(・イ・ソトマヨル)殿下による、34ページ(バレンシア、1611年刊)(朗誦)

 ムーア人追放への哀歌。
・即興(ムーア風哀歌)

 1671年 フランシスコ・デ・ボルハ列聖。
・作曲者不詳:「パンジェ・リングァ・グロリオージ」(グレゴリオ聖歌)/カバニーリェス:「パンジェ・リングァ」よりティエント第17番

 ラ・カペッリャ・レイアル・デ・カタルーニャ
 エスペリオンXXI
 ジョルディ・サヴァール(指揮)

 録音時期:2009年9月20,21日、10月11-14,25-29日、11月8,9日、11月13,14日
 録音場所:スペイン、カタルーニャ自治州カルドーナ城参事会教会 ベルギー、フランク・ヴァレット教会
 録音方式:DSD(セッション)
 SACD Hybrid
 CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD SURROUND

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圧倒的な歌唱力と演奏テクニック。そして構...

投稿日:2011/03/07 (月)

圧倒的な歌唱力と演奏テクニック。そして構成バランスによって 絢爛豪華な響きに目を見張る演奏です。ただし、サバールのこの シリーズは演奏主体ではなく、歴史的事件に主眼をおいて音楽が 紡がれていく展開ですので、どっぷりと音楽芸術にひたれるという 物ではありません。  素人の私の見解ですのであくまでも参考まで。 ボルジア一族の歴史と題された今回のシリーズですが、先に書きま したように音楽は絢爛豪華な大理石のような肌合い、あるいは黄金の 肌合いといっても良いような壮麗な世界が広がります。きっとこの時代を 生きた人々は、壮麗な教会や王宮でこの音楽を聞くことで、神の偉大さ、 王の権威を感じづにはいられなかったことでしょう。しかしながら、音楽を 離れた政治や権力の世界では想像を絶するような権謀術数と人間のエゴの 渦巻く世界が繰り広げられています。このギャップがあまりにも激しい 事に驚かされ、改めて歴史の本を買って勉強しようと、などと思わずには いられなくなりました。  音楽については、ジョスカンなどの作品が多く取り上げられ、ヒリアード の演奏とは違った、合唱とブロークンコンソートの響きが好ましくこれはこ れで魅力が沢山あります。 ただ、「5月のバラが咲く頃」などのセファルデ ィーなどの曲は、絢爛豪華な王宮で演奏されるものではなく、吟遊詩人や ジプシーが演奏しただろう曲ですのでもっと土着的に例えばこのCDの最後の 方に入っているムーア人の追放をテーマにした即興音楽のように演奏して欲し かったなあと思います。 このCDはサバールにとっては渾身のリリースと言えるかとは思いますが、歴 史に興味がなく、学問的に音楽を聞くでもなく、単に音楽を聞き流す方にはつ まらなく、そのような方には推薦できないかもしれません。

j70515 さん | 東京都 | 不明

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