UKレゲエ界においても最も息の長いグループとされ君臨しているUB40はイギリス中部、バーミンガムにて‘80年に公式にデビュー、“UNEMPLOYMENT BENEFIT”これは“失業手当”にちなんだネーミングでリリースされたデビュー・アルバム“サイニング・オフ”には失業保険のカードのデザイン（失業手当ての支給が絶たれた事の証明書）が施されている。イギリス人にとっては無関心ではいられぬインパクトを持って登場したこのグループは当時イギリスのロンドンを中心に暴れまくっていたパンク、メタル、モッズ、2トーン系らのリスナー達をも振り向かせた。

【UKレゲエ】’70年代にイギリスにて起こったムーヴメントとしてUKレゲエがありパンクがあった。ASWAD、マキシ・プリ−スト、POLICE'も初期にはレゲエをやっていたし、90年にかけてはSOUL II SOUL、マッシヴ・アタックの定番シンガーにおいてはホレス・アンディーである、そして彼等に後々も影響を与えていた人物としてエイドリアン・シャーウッド及び彼のレーベル“PRESSURE SOUNDS”“On U"やマッド・プロフェッサーらの存在とイギリスにおいては様々な社会的背景を含んで人々の生活の中に浸透していたとも言える。そんなUKレゲエとはかつて大英帝国の植民地であったジャマイカからの移民問題等が反映された音楽として反体制的音楽のパンクとも繋がりがありレゲエと呼ばれながらもジャマイカ産とは違った趣の音楽である。

【UB40】さて、UB40はアリ(Vo.g)、ロビン(g.Vo)のキャンベル兄弟、JamesBrown(Dr.)、Earl Falconer(B.Vo.)、Norman Hassan(Per.Vo.)、Brian Travers（Sax、Horn Arrangements）、 Michael Virtue (Key.) 、Astro（Vo.Trumpet)現在も不動のメンバーによって今日に至っている。（ちなみにキャンベル兄弟の父親であるイアン・キャンベルという人物はフォーク・ソング・シンガー）

【ヒット・メイカー】社会派としてスタートを切ったUB40であるが、‘83年にリリースされたアルバム“レイバー・オブ・ラブ”からカヴァー曲中心のポップ路線へと移行して行くのであるがシングル・カットされたニール・ダイアモンドのカヴァー曲“レッド・レッド・ワイン”がその年の8月にUKチャート、全米のチャートにても1位を記録、世界的に大ヒット！同じくこのアルバムから“チェリー・オー・ベイビー”やクリフ・リチャードの曲“メニー・リヴァ−ズ・トゥ・クロス”もヒットしている。そして‘85年にもアルバム“バガリディム”からクリッシ−・ハインドとのデュエット“アイ・ゴット・ユー・ベイブ”も全英チャート1位、このこの曲はソニー＆シェールのヒット曲のカヴァー。またクリッシ−といえばザ・プリテンダーズのベスト・アルバムにも収録されている“ブレックファースト・イン・ベッド”もクリッシ−とのデュエットでヒットした。これらの楽曲は今日においても色褪せる事なく聴き継がれているナンバーであるが他にも“レッド・レッド・ワイン”と並びかれらの代表曲となった“好きにならずにいられない”この曲はエルヴィス・プレスリーのカヴァーで‘93年にリリースされたアルバム“プロミセス・アンド・ライズ”からのシングル・ヒット。どの曲もまたどんな曲を歌ってもアリ・キャンベルのヴォーカルにより哀愁に溢れたナンバーに生まれ変わってしまう、あのコブシまわしと掠れ具合にはたまらないものがある。

【アリ･キャンベル】メイン・ヴォーカルのアリ・キャンベル‘95年に自身のソロ･アルバム“ビッグ・ラヴ”をリリース。これはジャマイカにあるプライベート・スタジオ“KUFF"にて録音されたもので、彼自身のコダワリも伺える調味深い内容の作品。

【来日公演】’99年、10月には実に5年振りの来日公演が行われた。

【Speed 2】'97年のアメリカ映画「スピード2」にてUB40の同年にリリースされたアルバム“ガンズ・イン・ザ・ゲットー”から“テルミー・イズ・イット・トゥルー”が使用されている。

通算するとアルバムだけでも20枚、活動のキャリアも約20年となった2000年の終わりにリリースされたベスト・アルバム“1980-2000”でもその歴史を知る事ができるだろう。