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ISBN 10 : 4062586002
Content Description
ハンナ・アーレントは『人間の条件』の中で、古代ギリシャの都市に触れて「私的なるものと公的なるものとの間にある一種の無人地帯」という奇妙な表現を使っている。ここで言われる「無人地帯」とは「ノー・マンズ・ランド(no man’s land)」の訳語である。そして、このノー・マンズ・ランドこそ、都市に暮らす人間にとっては決定的に重要だ、とアーレントは言う。
本書は、この表現に注目した世界的建築家が、アーレントの主著を読み解きながら、現代の都市と人々の生活が抱える問題をあぶり出し、われわれが未来を生き抜くために必要な都市の姿を提示する書である。
ノー・マンズ・ランドとは、日本家屋で喩えるなら、空間的な広がりをもった「敷居」のようなものだと著者は言う。古代の都市では、異なる機能をもつ複数の部屋を隔てたり、家の内と外を隔てたり、私的な領域と公的な領域を隔てたりする「敷居」そのものが場所として成立していた。しかし、そのような場所は現代の都市からは完全に失われている。
それこそが人々の閉塞感を生み、人と人のつながりを破壊した原因であることに気づいた著者は、敢然と異議を唱える。その打開策として打ち出されるのが、インフラのレベルから構築される「地域社会圏」というヴィジョンである。そこでは、国家の官僚制的支配から自由になった人々が、それぞれの能力と条件に応じて協同し、住民の転入・転出があっても確固として存在し続ける都市が実現される。
誰も有効な処方箋を書けずにいる困難な日本で、幾多の都市にまなざしを向けてきた建築家が回答を示す必読の書。
[著者紹介]
1945年生まれ。1971年、東京芸術大学大学院美術研究科建築専攻修了。1973年、株式会社山本理顕設計工場設立。横浜国立大学大学院教授などを歴任。主な建築作品に、熊本県営保田窪第一団地、横須賀美術館ほか。主な著書に、『新編 住居論』(平凡社ライブラリー、2004年)、『建築の可能性、山本理顕的想像力』(王国社、2006年)、『地域社会圏主義』(共著、増補改訂版、LIXIL出版、2013年)ほか。
【著者紹介】
山本理顕 : 1945年生まれ。建築家。1971年東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修了。東京大学生産技術研究所原研究室研究生を経て、1973年一級建築士事務所山本理顕設計工場設立。2002‐07年工学院大学教授、2007‐11年横浜国立大学教授。代表作に、埼玉県立大学、公立はこだて未来大学、横須賀美術館、福生市役所など。天津、北京、ソウル、台北などでも公共建築、集合住宅を手掛ける。チューリッヒ国際空港複合施設は2018年完成予定(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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かんがく
読了日:2022/07/11
koji
読了日:2015/09/05
チャーリー
読了日:2016/10/20
アメヲトコ
読了日:2015/05/04
スズキパル
読了日:2018/02/18
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