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曾国藩 「英雄」と中国史 岩波新書

岡本隆司

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784004319368
ISBN 10 : 4004319366
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2022
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

死者数千万人といわれる世界史上最悪の内戦、太平天国の乱を平定した文人にして軍人。稀代の名文家でアジテーター、その一方で、小心翼々とした謹直居士。地味でマジメな山出しの秀才が、激動する一九世紀世界で果たした画期的な役割と、身の丈を超えた「英雄」像が転変するメカニズムを描き、中国史の論理を剔抉する。

目次 : 1 生い立ち/ 2 北京/ 3 湘軍/ 4 長江/ 5 晩年/ 6 柩を覆って

【著者紹介】
岡本隆司 : 1965年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。現在、京都府立大学文学部教授。専攻、近代アジア史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • パトラッシュ

    太平天国の乱の鎮圧者として知られる曾国藩だが、実像は試験秀才の高級官僚だった。戦争を指揮すれば必ず負け、文才はあるが落ち込みがちな性格で何度も自死を図るなど、およそ英雄とは縁遠い話ばかり。なのに中央政府軍が事実上崩壊し匪賊の国と化していた当時の清朝で自ら軍団を組織して勝ち抜いたのは、私兵集団を最後まで維持できた実務能力と彼のためなら協力する郷紳や地主にも事欠かない人望もあったからこそなのだ。その意味では漢の宰相蕭何や後の周恩来のような輔弼の臣であり、上に立つ指導者の不在が不可解な英雄を生み出したのだろう。

  • skunk_c

    『李鴻章』『袁世凱』と評伝をものしてきた中国近代史家の3部作完結編とも言える評伝。一言で言えば「神経質なほど生真面目で、戦下手だが超一流のアジテーター」とでも言おうか。「匪賊」を残酷に殺し、戦乱で窮地に追い込まれることしばしばで、そのたびに非難を浴びながら、しかし清末期の政治的リーダーであり続けたのは、その文人としてのたぐいまれなる才能だったのだろう。つまり東アジアの文治政治をまさに地で行くような人物だったようだ。直筆の書が写真掲載されているが、几帳面で活字のような、大きさのそろった字を書く達筆だ。

  • 崩紫サロメ

    太平天国の平定、同治中興の英雄、と言われる曾国藩の毀誉褒貶について、本人の膨大な日記、後世の人々の著作から描き出す。日記に見られる曾国藩は、戦争も内政も駄目、ただ実直に人を殺し続けた結果「英雄」となった(p.210)。梁啓超や蒋介石のように清末の「腐敗」を弾劾する人々にとっては「英雄」「傑物」としてうつる。しかし、現代の中国は「第二の洪秀全」たる孫文の路線を組んでおり、「半植民地半封建」の張本人とされてきた。改革開放後、その「通説」は変わりつつあるが、完全に払拭されたとは言えない。

  • kk

    図書館本。清朝中興の名臣と言われる曽国藩の評伝。褒める者は「聖賢」と讃え、謗る者は「元凶」と断ずるなど、政治状況などの文脈のなか、称揚・誹謗の振幅が極端になりがちなこの人物。その毀誉褒貶を超えた先、彼は果たしてどのような素顔を覗かせるのか。そんな問題意識から曽国藩の事績と思想に迫っていく試み。併せて、人物の褒貶を軸とする中国的な歴史観・歴史叙述の特徴にも注目。実証的で明快な論旨には説得力を感じましたし、読み物としても十分に楽しめました。が、やはりちょっと、岡本先生ご自身の曽国藩評価も辛すぎはしないかな。

  • ジュンジュン

    同氏「李鴻章」を買ったとき、曾国藩も書いてくれないかなと期待していた。それから早10年、出た、遂に出た、うれしい〜。というのも、近藤秀樹「曽国藩」(1966年)ときたら…イデオロギー臭ふんぷん、おまけに、監修者とのいざこざが書かれていたりと、がっかりな内容だった(本書でも言及あり)。閑話休題。太平天国の乱を平定した最高の儒将から実像を抽出し、偶像が形成された過程と歴史的評価の変遷も追いかける。著者が描く素顔はマジメ。ごく保守的な田舎人にして良心的なインテリ(209p)。それが大乱を治めて「英雄」になる。

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