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ドビュッシー 想念のエクトプラズム Debussy

Izumiko Aoyagi

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784122050020
ISBN 10 : 4122050022
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2008
Japan

Content Description

神秘思想・同性愛・二重人格・近親相姦・オカルティズム…。印象主義という仮面の下に覗くデカダンスの黒い影。従来のドビュッシー観を覆し、その悪魔的な素顔に斬り込んだ、一線のピアニストによる画期的評伝―没後90年。頽廃の作曲家の光と闇。

目次 : 一八七一年秋/ ヴァニエ夫人と艶なる宴/ 「黒猫」/ 一八八四年春―デカダン元年/ レッテルとしての印象主義/ 悪い冒険/ “牧神の午後への前奏曲”/ “ペレアスとメリザンド”/ ピエール・ルイスとルネ・ペテール/ リヒャルト・シュトラウスとロマン・ロラン/ ポーにもとづくオペラ/ ドビュッシーの二律背反/ 色彩の選択/ ジキルとハイドのドビュッシー/ ドビュッシーとオカルティズム

【著者紹介】
青柳いづみこ : ピアニスト・文筆家。安川加壽子、ピエール・バルビゼの両氏に師事。フランス国立マルセイユ音楽院首席卒業。東京芸術大学大学院博士課程修了。1989年、論文「ドビュッシーと世紀末の美学」により、フランス音楽の分野で初の学術博士号を受ける。90年、文化庁芸術祭賞受賞。演奏と執筆を両立させ、著書には『翼のはえた指 評伝安川加壽子』(吉田秀和賞)、『青柳瑞穂の生涯』(日本エッセイストクラブ賞)などがある。大阪音楽大学教授、日本ショパン協会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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ピアニストで優れた物書きでもある青柳いづ...

投稿日:2021/04/13 (火)

ピアニストで優れた物書きでもある青柳いづみこさんによるドビュッシーの評伝です。学者でも評論家でもない、まさしく「演奏家」の立場から(といってもかなり「学者」的視点ではある)、ドビュッシーという人間とその作品に切り込んでいる名著だと思います。青柳さんの「ドビュッシー愛」がにじみ出ています。  ドビュッシーについては、一般向けの評伝として松橋麻利さんの著作(音楽之友社の「人と作品シリーズ」)があり、こういった「客観的評伝」と併せて読むと、ドビュッシーに対する「立体的」なイメージが出来上がると思います。その意味で両方をお読みになることをお勧めします。  特に、晩年のドビュッシーが意欲を持っていたエドガー・アラン・ポーの原作に基づくオペラ「アッシャー家の崩壊」については、ほとんど手付かずなので松橋さんの著作ではほとんど触れられませんが、この青柳さんの著作では結構執念深く追跡されています。そういった「ドビュッシーの内なる意欲」や「執念」にこだわって迫っているのがこの本の特徴と言えるかもしれません(この本の副題はそんな意図で付けられているのでしょう)。

Tan2 さん | 神奈川県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 胆石の騒めき

    (★★★☆☆)世紀末デカダンスの美学に生きた作曲家。本書からは、彼が生きた時代の雰囲気が伝わってくるが、残念なことにドビュッシー自身は受動的な主体性のない人物に感じられてしまう。彼は作曲家よりも詩人になりたかったけど、才能は音楽に偏っていたのだろう。この本を読むと、彼の曲が明確なクライマックスに乏しい理由がわかる気がした。それにしても、彼の音楽には不思議なほどに影の部分が反映されていない。写真をみると、いつも虚空に漂う「何か」を見つめているようなのだけど…。没後100年目にドビュッシーに思いを馳せる。

  • Wataru Hoshii

    「印象主義」と呼ばれるドビュッシーの芸術が、美術における印象派とは何の関係もなく、むしろ世紀末の象徴主義文学から大きく影響を受けたものであることを、その人的交流や、文学的テクストを伴う舞台音楽作品(そのほとんどが実現しなかった)から丁寧に裏付けた論考。しかしなぜその音楽がおどろおどろしいデカダンスではなく、淡い色彩にまとめられているのかという理由も推測している。評伝というよりは、「裏の顔」にのみ注目した議論だが、労働者階級出身で、上昇志向が強く、オカルティストで、全く友人にしたくないドビュッシー像が新鮮。

  • やま

    オペラに対する情熱については知らないことだらけだった。オペラというか、文学に対するドビュッシーのこだわりが理解できる一冊。 それと、ドビュッシー、ルドン、ポー、ターナー等のつながり。印象派ではないと言う意味がよくわかる。

  • ろべると

    ピアニストにして文筆家である著者が、芸大の博士論文をもとにドビュッシーの知られざる一面に光を当てた労作。ドビュッシーといえば同時代の印象派絵画との親近感が強かったが、実はギュスターヴ・モローなどの超自然的なオカルティズムの世界に身を置いていたとは知らなかった(「ダヴィンチ・コード」に登場するシオン修道会とも関係があるらしい)。またドビュッシーは文学に極度に没入して音楽との一体化を図るあまり、未完の作品を数多く残していたそうだ。人間的には複雑な人だったようだが、多少なりとも作曲家に対する理解が深まった。

  • ことよん

    暗かった!人間単純では無いので、あの素晴らしい音楽のイメージと違う性格が有ってもおかしくないのですが...。

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