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谷崎潤一郎 犯罪小説集 集英社文庫

Junichiro Tanizaki

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784087462494
ISBN 10 : 4087462498
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2007
Japan

Content Description

仏陀の死せる夜、デイアナの死する時、ネプチューンの北に一片の鱗あり…。偶然手にした不思議な暗号文を解読した園村。殺人事件が必ず起こると、彼は友人・高橋に断言する。そして、その現場に立ち会おうと誘うのだが…。懐かしき大正の東京を舞台に、禍々しき精神の歪みを描き出した「白昼鬼語」など、日本における犯罪小説の原点となる、知る人ぞ知る秀作4編を収録。

【著者紹介】
谷崎潤一郎 : 1886年7月24日東京・日本橋生まれ。東京帝国大学国文科中退。既成の倫理観に縛られることなく悪魔的な美と大胆なエロスを追求、独自の耽美的な世界を構築した。1965年7月30日、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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 大正時代の谷崎潤一郎は、秘密を謎をテー...

投稿日:2009/11/24 (火)

 大正時代の谷崎潤一郎は、秘密を謎をテーマに帝都東京の闇の部分に妖しい光を当てた作品が多かった。  その多くの作品は、後の江戸川乱歩が得意としたエロ・グロ・ナンセンス趣味の作品が多かったが、「途上」という作品はプロパビリティの犯罪(可能性の犯罪)を扱った当時海外の作品の中でも画期的な本格探偵小説として仕上がっている。  この後作者は関東大震災を機に関西へ移住。直接的な秘密と謎を主題にした作品は徐々に影を潜め、日本文化の琴線に触れるような後世に残る名作を連発していくが、それでも要所要所でその名作のなかに謎解きに類する味付けをしたものが散見できる。  戦後作者自身を投影したような高齢者を主人公にした名作があったが、その作品のクライマックス、主人公の死因について探偵小説的謎の提示をする件がある。(あえて作品名は伏せる。判る人には判ると思う。)  後の、江戸川乱歩はプロパビリティの犯罪(可能性の犯罪)をとり扱った「赤い密室」という作品を発表しているが、本作品は谷崎のこの時代の文学に触れたことがない人に、「江戸川乱歩の未発表作品集」と銘打って発表しても納得してしまうくらい、江戸川乱歩の作品とクロスオーヴァーしているし、正当に判断するのであれば、江戸川乱歩は谷崎潤一郎の後継者であったことを確認できる作品集である。

白塗りのサル さん | 神奈川県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア

    モダニスト谷崎の面目躍如たる1冊。乱歩が憧れたのも無理はない。今からすれば、むしろ古色蒼然たる趣きのように見えなくもないが、当時は時代の先陣を切っていたことだろう。早々にポーの『黄金虫』の暗号を取り入れるなど、探偵小説としての面白さもさることながら、そこには濃密なまでの耽美性が漂っている。4つの短篇を収めるが、白眉はやはり「白昼鬼語」だろう。読者に何か変だなと思わせつつ(それも実は作者の術中なのだが)、最後は見事に読者をも得体の知れない恐怖の余韻の中に連れて行ってしまうのだから。

  • ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

    他人の謎をあばくのは、さぞや胸のすくことでしょう。秘密はひみつのまま。あやしさは妖艶をつくります。 湯気にまぎれて夜気にまぎれて。 大量の人の足蹴にされる彼女の死骸は湯船の底に沈み、助けを求めてか私の脚を握るのです。紫水晶は澄んでペパアミントに玲瓏と輝くエメラルド。ふたつの美しい宝石は屍肉と骨を溶かしてさえ冷然と美しいままで。 欲を叶えて殺めるのは彼のヒロイン。死骸を胸にホトグラフィを一枚、艶然とにっこり。ああ、「恐ろしい物はすべて美しく、悪魔は神様と同じように荘厳」恐ろしさに、陶酔。

  • nobby

    犯罪に至る過程や心情は実に哀しくも美しく何よりも耽美…そんな気持ちの数々、全く器質の無い僕には分からない♬だって里芋やオクラのぬらぬら嫌いじゃないけど、それよりナタデココのつるつるの方が好き。暗号謎解きは大好きで、もちろん紫ぶどうジュースよく飲むし気分リフレッシュ時の青フリスクはペパアミントってあれ!?いやいや、仕事での怠惰多いって訪問先近くに書店あれば寄り道するのは必然でなくあくまで偶然でしょ…「最低限やることはやってる」とか「いつでも携帯とれる」など私のようなビビりの心中の思いも信じて欲しいな…(笑)

  • ehirano1

    犯罪小説集というよりは怪奇犯罪小説で、怖いというよりも「気味悪い」といった印象なのですが、読み入ってしまいました。雰囲気が凄いんですよね。だからその雰囲気に飲み込まれながら読み続けざるを得なかった、という感じでした。

  • 黒瀬 木綿希(ゆうき)

    日本の推理小説の発展に著しく貢献されたとする谷崎潤一郎氏の短・中編を四本収録。なかでも特筆すべきはやはり『白昼鬼語』だろう。手にした暗号文を元にこれから起こりうる殺人事件を見に行こうと宣う園村とそれに付き合わされる高橋。存分に語彙力を発揮しながらも軽妙洒脱なこの二人のやり取りだけでも永遠に読んでいられそうだ。しかし氏の本領は若かりし頃に至高の域に達していただろう艶めかしさ。特にp.142の「蛇がするするのた打ってでもいるような滑らかな波が這っているのである」という文は絵や写真よりも官能的な表現だ。

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