Books

個人的な体験

Kenzaburo Oe

User Review :3.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784101126104
ISBN 10 : 4101126100
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2007
Japan

Content Description

わが子が頭部に異常をそなえて生れてきたと知らされて、アフリカへの冒険旅行を夢みていた鳥は、深甚な恐怖感に囚われた。嬰児の死を願って火見子と性の逸楽に耽ける背徳と絶望の日々…。狂気の淵に瀕した現代人に、再生の希望はあるのか?暗澹たる地獄廻りの果てに自らの運命を引き受けるに至った青年の魂の遍歴を描破して、大江文学の新展開を告知した記念碑的な書下ろし長編。

【著者紹介】
大江健三郎 : 1935(昭和10)年、愛媛県生れ。東京大学仏文科卒業。在学中に「奇妙な仕事」で注目され、’58年「飼育」で芥川賞を受賞。以後、常に現代文学の最先端に位置して作品を発表する。’94(平成6)年、ノーベル文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

Customer Reviews

Comprehensive Evaluation

★
★
★
☆
☆

3.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
1
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
障害を持つ子供が生まれたことで、苦悩する...

投稿日:2009/05/08 (金)

障害を持つ子供が生まれたことで、苦悩する男の葛藤と成長を描いた作品。重いテーマであるにもかかわらず、どこか明るい青春小説的な印象を受けるのは、主人公である鳥(バード)の精神的な幼さのせいだろうか? 作者の大江健三郎氏は、自身も障害を持つ子の親であるが、この小説は、「障害者と社会の問題」よりも、鳥(バード)自身の「個人的な」問題を中心に書かれている。「障害者と健常者の社会問題」を考えるためではなく、「個人の成長物語」として読んだ方がしっくり来るし、共感できる。

M さん | 所在地 | 不明

0

Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • 遥かなる想い

    大江健三郎がわが子への思いを込めて書いた魂の作品。絶望感のようなものと、再生への希望のようなものが根底に流れているような気がしていた。

  • ヴェネツィア

    再読。鳥(バード)の苦闘―もっとも、それはひたすらな逃亡(赤ん坊からの、そして自己からの)に過ぎなかったのだが。大江自身にとってのイニシエーションは、まさしくこの作品を「書く」ことによってしかなされなかったのだろう。それは、文字通りに「個人的な体験」だったのであり、また大江の作品史の上でも、重要な転換点となった小説。

  • おれは寺

    「いつか読みたい」と口では言いながら、我ながら読む素振りも見せない作家というのが私には居る。その中の一人が大江健三郎だった。小谷野敦の『江藤淳と大江健三郎』は興味深く読んでいるのに。しかしこの度、畏友から本書を頂き、ようやく初大江健三郎に至った。まずこの表紙の絵が気に入った。この絵が物語を強く反映したものだと読書中に解らされる事になる。本書を読む寸前まで、回顧や日常茶飯事を扱った私小説ばかり読んでいたせいか、大江健三郎の翻訳の様な文章は読み辛いものに感じ、上手く組み合ってくるまで時間が要った。(つづく)

  • アナーキー靴下

    やはり大江健三郎は難しく、重い。難しいと感じるのは、鳥という一人の人間そのものであり、本人にしか理解し得ないものと思うからだろう。主人公と接触する人間、その接地面までが自己の一部として拡張されているようで、度の合わない眼鏡で周囲を見続けている感覚である。接地面として最も比重が高い存在が赤んぼうであり、重力を持った現実そのものに縛り付けられる重苦しさ。度々酸っぱさや吐き気が表現されるが、押し寄せてくる現実に対しての反応か。欺瞞から、欺瞞へと、逃れようとした時点で、引き受けることを予期していたようでもある。

  • かみぶくろ

    3.9/5.0 脳に障害を持って生まれてきた赤ん坊からの精神的逃避劇。衰弱死を企てたり愛人宅に逃げ込んだりと、卑しく葛藤しまくる主人公が人間臭くて良い。賛否あるラストの展開はたしかに物語的には突飛に感じたが、大江健三郎自身にとっての、息子との共生への希望の表現なのであれば、全面的に肯定したくなる感動のラストへと変わる。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

Recommend Items