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懐かしい年への手紙

Kenzaburo Oe

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784061961968
ISBN 10 : 4061961969
Format
Books
Publisher
Release Date
October/1992
Japan

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • Vakira

    あれ?Kさんまた地元の伝説の話?「同時代ゲーム」「M/Tと森のフシギの物語」の次に執筆された作品なのでそう思う。違いました。懐かしい年とはKさんの青春時代、手紙とは書に残す事とすれば、それは半自叙伝小説となる。青春してます。どうやってKという人物は成りえたのか。あるいは自分の青春期を記録する試み。執筆当時、Kさん52歳、自分の青春時代を回想してみたくなる年頃だったのでしょう。毎度の変態合格人間の登場は今回封印。おかげで自叙伝がリアリティを帯びてきます。タルコフスキー監督の映画「ノスタルジア」感。

  • Gotoran

    四国の森の中の谷間の村出身の(著者自身とおぼしき)作家K。谷間の村の在の富裕な家に生まれ故郷にとどまって独学でダンテの研究をしている、Kの師匠のギー兄さん。Kちゃんとギー兄さんの交歓を中心にストーリーが展開していく、その過程で繰り返されるダンテの「神曲」とイェーツの引用などでストーリーに奥行きを加えて、読み手を大江ワールドへ誘っていく。読み応え十分だった。逝去された大江健三郎氏のご冥福をお祈り致します。

  • ドン•マルロー

    大江氏はこれまでの仕事や半生を振り返らねばならぬ時期にさしかかっていたのだろう。作品を深化させ、新たなるステージへと前進するために。自らの主要な作品をギー兄さんなる架空の存在の目を通して批評し、半生を振り返るその語り口は、あくまでも未来に向けられたものだ。とりわけ”懐かしい年”への唯一の通路を見出す結末の数行は感動的で、並列世界のイメージを用い続けた作家のひとつの結論ともとれ得る。本作においてもラテンアメリカ文学のような、現実と虚構、四国の森の伝承や神話とが並行して語られるというスタイルはあいかわらずだ。

  • ちぇけら

    これだから大江健三郎を読むのをやめられないのだ、そう思って本を閉じる。谷間と「在」、Kちゃんとギー兄さんをめぐる物語、ぼくはこれを読むために、これまで大江健三郎を読んできたのだ、という感動と疲労が混淆した酩酊にも似た感情に包まれる。イエーツやダンテの詩句にみちびかれて、Kちゃんとギー兄さんはそれぞれの道を進んでゆく。生きてゆくということは、幾許かの寂しさを伴ってみな歳を重ねるということ。生きること、そしてやがては死にゆくこと、それらの意味が、ダンテの詩句と共鳴して体の底で鳴り止まないカタルシスとなるのだ。

  • zumi

    半自伝的小説の傑作。虚構と現実、物語と批評は、ここで融け合う。何度でも作品世界を書き換え、再構築し、拡大していくことを突き詰めていく。「私の小説が自分とその周囲のことばかり書きながら、それが私小説の枠組みを超えたものであるなら、それは私が社会で生きている人間だということを忘れていないから」といった、大江先生の言葉が思い浮かんだ。1月に読んだ、ラウリー『火山の下』がついに繋がった。

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