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浮遊霊ブラジル 文春文庫

Kikuko Tsumura

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784167914219
ISBN 10 : 4167914212
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2020
Japan

Content Description

定年退職し帰郷した男の静謐な日々を描く川端康成文学賞受賞作(「給水塔と亀」)。「物語消費しすぎ地獄」に落ちた女性小説家を待ち受ける試練(「地獄」)。初の海外旅行を前に急逝した私は幽霊となり旅人たちに憑いて念願の地を目指す(「浮遊霊ブラジル」)。自由で豊かな小説世界を堪能できる七篇を収録。

【著者紹介】
津村記久子 : 1978年(昭和53年)、大阪府生まれ。大谷大学文学部国際文化学科卒業。2005年「マンイーター」(単行本化にあたり『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞を受賞し、小説家デビュー。08年『ミュージック・ブレス・ユー!!』で第30回野間文芸新人賞、09年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、11年『ワーカーズ・ダイジェスト』で第28回織田作之助賞、13年「給水塔と亀」で第39回川端康成文学賞、16年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、17年『浮遊霊ブラジル』で第27回紫式部文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • こーた

    変幻自在。いや変幻というにはあまりに変わり映えのしない、圧倒的日常ではあるし、自在というには制約が多すぎる(幽霊なのに瞬間移動できない、とか)。日常からはちょっとだけ浮いていて、非現実のほうはぐぐっと地に足がついている(地獄の鬼の鼻毛が出ている、とか)。この世に(あの世にも?)ありふれたほんのわずかな奇異を見逃さず、些事をときに冷徹なまでの筆致でつき離し描く。隙間に覗く可笑しさは暗くて陽気で、そのまなざしはどこか優しい。生と死にゲラゲラ笑って不謹慎をかんじさせず、莫迦莫迦しさのなかに人間の本質が顕れる。⇒

  • さてさて

    『葬式や何やがあった後、私は灰にされてしまった』など、当たり前のことのように書かれた文章が、よくよく考えると疑問符がつきまくる中に展開していくこの作品。ひたすらに真面目に徹した文体に、いや、ここ笑いどころでしょう?というツッコミ感のある設定が自然に組み込まれている摩訶不思議感。シュールといった安っぽい言葉で言い表せない独特な世界観の中に展開される七つのかっ飛んだ物語からなるこの作品。それこそが面白い、それこそが楽しみどころ、そしてそれこそが津村さんの何よりもの魅力!そう感じたインパクト最大級の作品でした。

  • buchipanda3

    さらりと軽妙にかわすような語り口がやっぱり良いなあと思えた短編集。ふふっ、くくっ、んむむ、てな感じでするすると読んでいった。どの話もゆるい訳じゃない。日常のありそうな光景を奇妙な双眼鏡を通して見つめているようで、そこにあるのは現実の切なさや理不尽さ。自分ではどうすることも出来ない事や上手く立ち回れない事が世の中にはたくさんあるということに改めて気付かされるが、でもそういうのを受け入れてちょいと抗ってみても良いんじゃないと思わされる感じも。にしても物語消費し過ぎはああなるのかあ。サッカー小ネタもいい感じ。

  • (C17H26O4)

    うまいなあ、津村さん。よいです、これ。人生の悲哀の中に隠れている可笑しさが、ここだよって存在感を示してくれるみたいで慰められる。淀んだ空気の中に一陣の風が吹き込んだようなすがすがしさがある。気がつけば流れ着いていた寂しい現状や、突発的な出来事による理不尽な死に、突飛な設定がプラスされていることで、ゆるっとまたはピリッといい感じなのだ。他人の道案内ばかりしてしまう運命の主人公。落ちた地獄が「物語消費しすぎ地獄」だった小説家。アラン諸島に行きたいのになかなかなかなか行けない浮遊霊。とか。

  • kei302

    短編が7作で、死とか霊とかが出てくるのが4作。 非現実感がにじまないところが津村記久子さんの凄さだと思う。『地獄』は鬼も含めてやたら事務的で冷静な感じが面白い。去年出た『サキの忘れ物』が自分の中では不完全燃焼。ツムラ世界観をもっと味わいたいと再読。「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」「アイトール・ベラスコの新しい妻」さらっと厳しいことが書いてあって好み。 解説は戌井昭人氏「おっさんが主人公の話が抜群に面白いのでこれ自分じゃないかと思う」解説もよかった。

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