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夏目漱石論 講談社文芸文庫

Shigehiko Hasumi

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784062901758
ISBN 10 : 4062901757
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2012
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「則天去私」「低回趣味」などの符牒から離れ、神話的肖像を脱し、「きわめて物質的な言葉の実践家」へと捉えなおしてまったく新しい漱石像を提示した、画期的文芸評論。

目次 : 読むことと不意撃ち/ 横たわる漱石/ 鏡と反復/ 報告者漱石/ 近さの誘惑/ 劈痕と遠さ/ 明暗の翳り/ 雨と遭遇の予兆/ 濡れた風景/ 縦の構図/ 『三四郎』を読む/ 漱石的「作品」

【著者紹介】
蓮實重彦 : 1936・4・29‐。フランス文学者、映画批評家。東京都生まれ。東京大学仏文学科卒業。パリ大学にて博士号取得。東京大学教授を経て、東京大学第26代総長。著書に『反=日本語論』(読売文学賞)『凡庸な芸術家の肖像』(芸術選奨文部大臣賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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蓮實重彦による夏目漱石論。 蓮實重彦とい...

投稿日:2021/04/16 (金)

蓮實重彦による夏目漱石論。 蓮實重彦といえば、映画批評の人といったイメージだが、この夏目漱石論もなかなか。 批評のスタイル自体は文学作品であろうと映画であろうとあまり変わらないような感じ。 横たわっている人物から物語が動き出すという読みは、刺激的かつ示唆的だ。

カーク さん | 東京都 | 不明

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Book Meter Reviews

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  • 風に吹かれて

    嫂とどうだったとか胃弱だったとか、そういう漱石の影を払拭し漱石の名さえ念頭から振り払い作品の表層に現れているもののみから「漱石的」作品を読む。苦沙弥先生や広田先生は昼寝をし、津田は療養生活で横になり、先生と「私」は海で仰臥する。そこでは様々な会話や仕草が行われ、妻や妹やらがやってきて様々に、いってみれば、挑発する。また『抗夫』『二百十日』『草枕』で漱石的「存在」は粒子の層のような雨で覆われ、『彼岸過迄』でも雨は物語が動く際の重要表層だ。雨は他の作品でも降っている。『行人』の大雨が有名な場面を現出させる。➡

  • Ecriture

    伝記・社会背景・批評史といった重みや深みに縛られるあまり、夏目漱石の偶像を信奉することになった先人たちをひらりと躱し、「横臥」・「鏡」・「水」などの細部(それはテーマ批評ですらない表層の戯れである)に漱石的「作品」や漱石的「存在」を見出していく。漱石を本当に読みたいのなら、漱石ではない漱石的「作品」を、読者自身も自分ではない何者かに変化しつつ、これまでに辿り着いたことのないどこでもない場所にて読まなければならない。それが漱石を、その果てに自分自身を「不意打ち」するということ。

  • しゅん

    再読。なのだが、途中で飽きてしまった。動作に劇を演じさせるという構造があからさまだからだろうか。というか、蓮實重彦の批評はすべて動詞をキャラクターへと変貌させた「群像劇」だ。すでに指摘している人も多く見受けられるが、日本小説においてこの型を適応させると、どこか伸び伸びとした力動を欠くこととなる。映画とフランス小説だと俄然いけるのに。なんでだろ。年表が一番面白い。

  • swshght

    本書は78年に書かれた。『表層批評宣言』はこの翌年だ。だが、蓮實はこの『夏目漱石論』ですでに「表層批評」を実践している。それは「声明」じみた序章に表れている。「漱石をそしらぬ顔でやりすごすこと」。「漱石と呼ばれる人影との遭遇をひたすら回避すること」。漱石にまとわりつく時代背景や思想。蓮實はそうしたものから「遠く離れて」、記号の戯れと言葉の磁場によって形成される表層へと接近し、主題論的統一と説話的機能を浮上させる。そこには極めてラディカルな意志が感じられる。方法の徹底ぶりと容赦ない文体の勢いに圧倒される。

  • 6 - hey

    かなりがっつりした文章で、初学者を受け付けていませんでした(笑)

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