Tadashi Isoyama

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ヨハネ受難曲

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    うーつん  |  東京都  |  不明  |  14/September/2020

      名著『マタイ受難曲』を読み終え、次なる山はヨハネ受難曲。実はまだ読了していませんが、他の方の目に少しでも触れて手に取ってもらいたく急きょレビューしておきます。   私自身、バッハの受難曲と言えば「マタイ」で「ヨハネ」はおまけというかその次…みたいな感じ方でいました。そんな中でこの本を読み始め、すぐさま夢中になり、CDラックに長らく眠っていたCDを取り出しつつ読んでみると、実に劇的で内容が充実していることに気づかされました。    本書ではバッハ以前のヨハネ受難曲の歴史に始まり、バッハによる複数の改訂バージョンについての論考や各曲のポイントや聴きどころ、テキストと音符の密接な連関への指摘など挙げるべき点は多いですが、それを次々に読ませる最大の要因は著者のバッハへの想いや曲への愛着と探求心ゆえでしょう。これを読んでいる時(2020年9月)に鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパンによる新盤のニュースも入り即購入しこれを聴きつつさらに読み進めるつもりですが、バッハが言葉の一節一音に至るまでイエスの劇的な「死へのドラマ」を音化していることに驚かされてしまいます。   コロナ禍で過去が消え去り、今日が不安に換わり、明日が見えなくなった2020年。不謹慎かもしれませんが、こんな今こそヨハネ受難曲のドラマは聴かれるべきではないかと思います。マタイ受難曲では静かにしかし厳粛に曲が始まりますが、ヨハネ受難曲ではいきなり悲劇の中に鷲掴みで連れていかれるような切実な曲で幕開けします。まるで遠いところにあると思い込んでいたコロナウィルスがいきなり自分の身の回りに襲いかかる今日の状態に近いとも感じてしまいます。「ヨハネ受難曲」で綴られる悲劇は聖書の中や音楽の中だけのものでなく、読んで聴いて今の自分たちと重ね合わせて「実感」するものであるということを痛切に感じます。   もちろん著者はコロナとの関連などは意図していません(コロナ禍以前に逝去されているわけですから)が、バッハの音楽が長い間「普遍」として存在しているのはそれなりの「力」を持っているからで、その力は2020年の現在にもなお「力」と「存在意義」を持ち続けていると言えるかもしれません。いずれにせよ、この著作を通じてヨハネ受難曲を知り、親しみ、そしてバッハの精神世界に思いを馳せてみたくなるでしょう。礒山氏の道案内でヨハネ受難曲の世界に入ってみたい方にぜひ読んでいただきたいです。   

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