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Bach (1685-1750)

Hi Quality CD French Suites Nos.1-6 : Vladimir Ashkenazy(P)

French Suites Nos.1-6 : Vladimir Ashkenazy(P)

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    mimi  |  兵庫県  |  不明  |  30/July/2017

    つまらない前置きで申し訳ありませんが、ここに聴くAshkenazyのピアノ演奏は、おそらく70年代、80年代のものに較べると演奏の各所緩みが生じている可能性はあり、Ashkenazyの熱心なファンの方ほど、満足できない部分があるかもしれません(それでも80歳の演奏とはとても思えませんが)。それを正直に認め、レビューとしてはやや甘い点はあるかもしれませんが、それでも、このディスクはAshkenazyが単なる名ピアニストと格の違う、20世紀を代表する巨匠であることを証明する演奏と思います。平均律録音以来の、これまでのAshkenazyのBach演奏の流れと同じく、このフランス組曲も、決して歴史的奏法や解釈、チェンバロ演奏を意識したものでは(皆無ではないかもしれませんが)なく、全くモダン・ピアノとしてのBachにほかなりません。それでいてこの演奏は、自分のように常時ピリオド楽器を聴き続けている者にも、ほとんど違和感のない、紛れもない「真正な」フランス組曲です。この演奏の鍵となるのは、ライナーノーツに記されたAshkenazyの(少ない)言葉にあるようで、”I dont like to talk about mood...”, ”...where there are lower bass lines, and a more involved texture.” ーこの演奏は、ほとんどの現代ピアニストが足をすくわれているフランス組曲の美しい旋律や柔和な情緒には目もくれず、この曲集の低音部を中心とした強固な多声構造とそれを中心として構成された、曲全体の構築をあくまで主眼としています。4,5,6番の緩徐楽章など(最近ちょうど出たPerahiaなど、こういった部分は思い切り旋律を強調して際立たせてました)、おそれく聞き手によっては不満を持つかも知れないほどあっさりと全体の再現の中に埋没させて経過します。しかしながら曲を聞き通し、全体の複雑で深い音楽を実感した時の感動は量り知れません。モダン・ピアノでこのような厳格なフランス組曲演奏は、自分の知る限り、G.GouldとJ.MacGregorくらいしか思い当たりません。Ashkenazyの再現法の一部はこの2者と酷似している部分もあるため、当然この2者からの影響も考えられるでしょうが、自分は個人的に思うに、おそらくAshkenazyは、歴史的文献的考察や他からの影響ではなく、純粋にBachの音楽構造を考察した結果、期せずして前2者と同様な構造的再現に辿り着いたのではないでしょうか(さきのAshkenazyの言葉がそれを裏書しているように思います)。実は数年前のパルティータ全集には、全く満足できなかったので(パルティータは、今から思えばあまりに時代的歴史的に制約の多い曲集でした)、正直あまり期待せずに聴き始めたのですが、自分の貧弱な予想を大きく裏切る素晴らしい演奏でした。非常に俗物的な言い方で恐縮ですが、やはりそんじょそこらの名ピアニストではない、歴史に残る巨匠の証明と思います。Ashkenazyの全キャリアの中では必ずしも最高の仕事ではないかも知れませんが、ピアノによるフランス組曲演奏では本当に数少ない、「真正な」演奏の一つです。ピアノによるBach演奏が好きな人も嫌いな人も、是非一度聴いてみていただきたいです。

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