チェ-ザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷
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Verdi | 神奈川県 | 不明 | 17/April/2021
塩野七生という人は、人間を描くことについては一流であるが、こと「碌でもないが実力のある人間」の魅力を描くことにかけては超一流であるだろう。碌でもないと言って悪ければ、禍々しい人間、唾棄すべき人間、極悪人、でも構わない。そういう、いわば一般倫理的に問題あるとつい感じてしまうような人間、だが、魅力があると認めざるを得ないような人間、そういう人間の魅力を描くのになんの躊躇も無く、嘘も書かず、隠しもせず、それでいて十分に魅力を感じさせるように描き出す力を持っている。チェーザレ・ボルジア。「禍々しい人間」としては超一流であろう、その人の評伝を描く小説。この小説を読んで、この男に惹かれないままでいるのは難しかろう。0 people agree with this review
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ねも | 兵庫県 | 不明 | 03/March/2021
イタリア史に関する著作ではナンバーワンの人気を誇る著者の若き日の作品。デビュー作ではないが、第二作で、書下ろしでもある本作で毎日出版文化賞を受賞しており、初期の代表作とも言えよう。 描かれるのは、15世紀末、イタリアの統一を目指して闘うチェーザレ・ボルジアの生涯。父・ロドリーゴ(後の法王アレッサンドロ六世)、妹・ルクレツィア、マキャベリ、レオナルド・ダ・ヴィンチといったルネサンス期の著名の人々だけではなく、カテリーナ・スフォルツァなど個性的な人物が次から次へと登場する。 著者自身は「若書き」と考えているようだが、チェーザレに惚れぬいていただけあって、その熱い思いが強く伝わってくる。作家は成熟すると巧みにはなるものの、その心の中の“熱さ”を果たして維持できるのか、作品に注ぎこめるのかは疑問だと言える。 『ローマ人の物語』までの著者の作品をほぼ読んでいるが、本作を越える作品はないというのが私の考えだ。だから、本作を含め手元に残しているのは初期三部作と『海の都の物語』正・族の計5冊。それで充分だ。 そして、古典など評価の定まった作品を除くと、20代前半までに読んだ作品で50代になっても評価を変える必要がないと思える作品はかなり少ないが、本作がその一つである。 チェーザレを道徳面から考えると、とても素晴らしいとは思えない。しかし、本書で著者が描き出した姿を見る限り、極めて魅力的な人物であったことは間違いない。0 people agree with this review
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