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Wagner (1813-1883)

Blu-ray Disc Die Meistersinger von Nurnberg : Kosky, Philippe Jordan / Bayreuther Festspielhaus, Volle, K.F.Vogt, Schwanewilms, etc (2017 Stereo)

Die Meistersinger von Nurnberg : Kosky, Philippe Jordan / Bayreuther Festspielhaus, Volle, K.F.Vogt, Schwanewilms, etc (2017 Stereo)

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    村井 翔  |  愛知県  |  不明  |  16/September/2018

    コーミッシェ・オーパー来日公演の『魔笛』はもちろん面白かったが、あれは普通の『魔笛』を見飽きた、すれっからしファンのための舞台。『魔笛』ってこういうオペラだと思われては困ると感じたが、こちらは文句なしに素晴らしい。腑抜け演出、勘違い演出揃いの近年のバイロイトでは随一の名舞台。幕が上がる前に紗幕にえらく詳しい(詳しすぎて厭味な)状況説明が文字で表示される。それによれば第1幕の舞台は1875年のヴァーンフリート。ここに集う実在の人々がそのままオペラの登場人物になってゆく。すなわちワーグナー→ハンス・ザックス、リスト→ポーグナー、その娘コージマ→エーファ、ユダヤ人指揮者ヘルマン・レヴィ→ベックメッサー、ピアノから出てきた若いワーグナー→ヴァルター、もう少し若いワーグナー→ダヴィッド、ワーグナー家の女中→マグダレーナ。ヘアハイム演出と似た趣向だが、違うところもある。冒頭の礼拝シーンからユダヤ教徒のレヴィは一人だけ浮いているし、ワーグナーから強引にベックメッサー役を押しつけられる。ユダヤ人=ベックメッサー問題をここバイロイトで正面から問おうというわけだ。第2幕の乱闘シーンではベックメッサーは文字通り袋叩きにされ、いかにもユダヤ人といった風の戯画化されたかぶりものを被せられたあげく、同じ形の巨大なベックメッサー風船が膨らみ、萎んで頭の上の六芒星(ユダヤ人の象徴)が見えるようになったところで幕切れ。第3幕の舞台は第1幕の終わりでチラ見せしておいたニュルンベルク裁判の会場。マイスター達が入場してくるたびに拍手が起こるのだが、ベックメッサーに対してだけは誰も拍手しない。この演出の良いところは、このような問題提起の苛烈さだけではない。音楽と各人物の振る舞いとの間に齟齬がない(もちろん指揮者も演出に合わせているのではあるが)。音楽だけでは途中、寝るしかないほど退屈な所のある第1幕を、ヴァルターに一目惚れしたおネエ風のマイスターの一人が彼にすり寄るといった小ネタも含めて、最後まで飽かせず見せてしまうのは大した才能。問題意識は買うが、どうもチグハグな所のあった一代前のカタリーナ・ワーグナー演出と比べると、プロと素人の違いを見せつける。全曲最後のザックスの国粋主義的大演説では彼以外の全員が退場。ザックス=ワーグナーは一人舞台の戦争裁判会場で自己弁護の演説をぶったあげく、舞台上のオケ(楽器は弾かずに歌っている)と合唱団を指揮してと大奮闘なのだが、私にとってこのエンディングはかつてないほど痛烈なパロディとしか受け取れない。ところが、地元ドイツの批評家たちは必ずしもそう解していないようなのだ。日本から見に行った批評家センセイに至っては「『マイスタージンガー/ドイツの芸術』を正面から弁護した」と書く始末。やれやれ。 ジョルダンの指揮は足どり軽く、ピリオド・スタイルのモーツァルトのように金管やティンパニの響きを際立たせ、対位法的な音楽の構造を浮き彫りにして見せる。これもヘアハイム版でのガッティの指揮と同じ志向だが、ザルツブルクでウィーン・フィルを振っていたあちらと比べると、こういう音楽作りには不向きなバイロイトのピットでの指揮。それでもここまでやり遂げてしまうのはご立派だ。歌手陣は相変わらず文句のつけようのないフォレの題名役以下、ほぼ完璧な布陣。ただ一人、コージマとしては申し分ないシュヴァーネヴィルムスがエーファとしては見た目、老けすぎなのが惜しい。

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