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「ベルリン・フィル・ラウンジ」第18号:ラトルのハイドン《オックスフォード》全曲がフリー・トライアル可能に! ベルリン・フィル・ラウンジへ戻る

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2010年3月4日 (木)

ドイツ銀行 ベルリン・フィル
ベルリン・フィル&HMV提携サイト
 ベルリン・フィル関係ニュース

デジタル・コンサートホールの料金システムがよりお得に!シーズン会員券より12ヶ月チケットへ
 デジタル・コンサートホールの料金システムが変更され、さらに使い易くなりました。これまでは、シーズン会員券はシーズン冒頭の9月から翌年8月末までの一定期間有効でしたが、途中から購入した方の有効期間が短くなってしまうという不都合がありました。しかし3月1日からは、シーズン会員券はご購入日から12ヶ月間有効の「12ヶ月チケット」へと変更になります。これにより、どの方も公平に1年間デジタル・コンサートホールをお楽しみいただけるようになります。
 なお今シーズン、すでに会員券をお求めのお客様については、有効期限を「ご購入日から12ヶ月間」へと自動変更させていただきます。例えば2009年11月1日にご購入された場合、有効期限は2010年10月31日まで延長されます。今シーズンのスタート以前(例:2009年7月1日)にお買い求めいただいた場合は、2010年8月末まで有効です。新しい「12ヶ月チケット」の料金は、149ユーロとなります(約18,500円。既存のシーズン会員券から変動なし)。
 同様に、「30日チケット」もお求め易くなりました。これまでは39ユーロ(約4,850円)で1ヶ月間お楽しみいただきましたが、このたび料金が29ユーロ(約3,600円)へと値下がりします。また、有効期間が切れる前に「12ヶ月チケット」へとアップグレードすると、お支払いは差額(120ユーロ)のみとなります。

ラトルのハイドン《オックスフォード》全曲がフリー・トライアル可能に!
 デジタル・コンサートホールでは、3月4日より4月30日まで、サー・サイモン・ラトル指揮のハイドン「交響曲第92番《オックスフォード》」が、特別キャンペーンとして無料公開されます。インターネット配信によるハイビジョン映像が、お気軽にトライできる絶好の機会です。演奏は2008年の11月1日収録で、ライヴCD(EMI)が絶賛されたブラームス「交響曲第1番」のコンサート前半に演奏されたもの。ベルリンの日刊紙『ターゲスシュピーゲル』は、「ハイドンの《オックスフォード》は、ラトルとベルリン・フィルの睦まじい関係を明らかにするものであった。これほどユーモアに溢れ、明確な性格表現を持ち、細部にわたるまで磨き抜かれたハイドンは、他では聴けないだろう」と評しています。ご覧になる場合は、こちらからアクセスし、To the concert hallをクリックします。

ヨーロッパ・ツアー、成功裏に終了
 2月22日より28日まで、スペインとフランスを巡るヨーロッパ・ツアーがサー・サイモン・ラトルの指揮で行われました。マドリッド、サラゴサ、パリ(2回)の計4公演が行われ、ワーグナー、シェーンベルク、ブラームスと、リゲティ、ベートーヴェン、シベリウスの2プログラムが演奏されています。ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」のソリストは、直前のベルリンでの定期に登場した内田光子でした。

ハイチ救済コンサートの寄付金総額は、11万5千ユーロ
 2月20日行われたハイチ救済コンサートの寄付金の総額が明らかになり、11万5千ユーロ(約1,437万円)が現地のインフラ再建基金に寄付されることになりました。この額は、当日演奏会およびデジタル・コンサートホールのチケット・セールス、プログラムの売上、会場で集められた現金による寄付からなります。ベルリン・フィルはユニセフの親善大使を務めており、今回の寄付もユニセフを通してハイチに送られます。

ラトル&内田光子のベートーベン・ツィクルス最終回がアーカイヴにアップ!
 上記のハイチ救済コンサートは、内田光子のベートーヴェン・ツィクルスの最終回でもありましたが、その映像がデジタル・コンサートホールのアーカイヴにアップされました。ここでの内田の演奏は、ため息が出るほどの美しさを示し、聴衆の大喝采を浴びています。『ベルリナー・モルゲンポスト』紙は「演奏は自然さをきわめ、夢のような瞬間を引き出した」と評しています。ラトルのシベリウス「交響曲第2番」も彼ならではの世界。ベルリン・フィルではカラヤンのイメージが強い作品ですが、読者の方々はラトルの解釈をどのようにお聴きになるでしょうか。

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 次回のデジタル・コンサートホール演奏会

ヨーロッパに帰還したドホナーニのプロは、先祖ゆずりのハンガリーもの。《青ひげ公の城》では、ゲルネの成熟ぶりに注目!
(日本時間3月7日早朝4時)


 近年はヨーロッパに戻り、北ドイツ放送交響楽団で活躍しているドホナーニですが、2年ぶりのベルリン・フィル登場では、彼自身のルーツであるハンガリー音楽を演奏します。もともと明晰で鋭利なセンスの持ち主だけに、スタイリッシュな解釈が期待できるでしょう。前半のリゲティでは、「フルートとオーボエのための2重協奏曲」に注目。この曲は、彼自身が1972年の初演時に、ベルリン・フィルで指揮した作品です。当時のソリストは、カールハインツ・ツェラーとローター・コッホでしたが、今回はアンドレアス・ブラウとジョナサン・ケリーが演奏します。
 後半の《青ひげ公の城》では、マティアス・ゲルネの青ひげに期待が集まります。近年影のある魅力を増したゲルネですが、昨シーズンは小澤征爾指揮のメンデルスゾーン《エリア》で、圧倒的な存在感を示しました。今回のバルトークでも、精悍な「男の色気」を感じさせてくれるに違いありません。共演のヘレカントは、ヨーロッパの歌劇場で活躍するスウェーデンの中堅メゾです(写真:©Terry O’Neill, Decca)。

【演奏曲目】
リゲティ:ロンターノ
フルートとオーボエのための2重協奏曲
バルトーク:《青ひげ公の城》演奏会形式上演

メゾ・ソプラノ:シャルロッテ・ヘレカント
バリトン:マティアス・ゲルネ
フルート:アンドレアス・ブラウ
オーボエ:ジョナサン・ケリー
指揮:クリストフ・フォン・ドホナーニ


放送日時:3月7日(日)午前4時(日本時間・生中継)

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四旬節の定番!ヤンソンスの意外な(?)ヴェルディ《レクイエム》
(日本時間3月14日早朝4時)


 キリスト教では、謝肉祭(カーニヴァル)から復活祭までの期間を四旬節と呼びますが、ヨーロッパの音楽界では、レクイエムやスターバト・マーテルといった悲しみの音楽を演奏する習慣があります。その頂点が聖週間(復活祭直前の1週間)における受難曲のコンサートで、今年はベルリン・フィルもラトル指揮で《マタイ受難曲》を上演します。
 それに先立ち、カトリック宗教曲の代名詞であるヴェルディのレクイエムが、マリス・ヤンソンス指揮で取り上げられます。イタリア・オペラをあまり振らないヤンソンスゆえ、ヴェルディは意外な印象を与えますが、こうしたレパートリーを聴けるのも、デジタル・コンサートホールならではの楽しみでしょう。合唱は、手兵バイエルン放送響のコーラスであるバイエルン放送合唱団を招聘し、万全の体制。ソリストには、近年ドイツ語圏でプリマドンナとしての地位を確立したストイヤノヴァなど、フレッシュな顔ぶれが揃っています(写真:©Priska Ketterer, Lucerne Festival)。

【演奏曲目】
ヴェルディ:レクイエム

ソプラノ:クラッシミラ・ストイヤノヴァ
アルト:マリーナ・プルデンスカヤ
テノール:デイヴィッド・ロメリ
バス:シュテファン・ミリング
バイエルン放送合唱団(合唱指揮:ペーター・ディークストラ)
指揮:マリス・ヤンソンス


放送日時:3月14日(日)午前4 時(日本時間・生中継)

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 アーティスト・インタビュー

ダニエル・バレンボイム
「人はよく“指揮者には権力がある”などと言いますが、それはナンセンスです」
聞き手:スタンリー・ドッズ(ベルリン・フィル/第2ヴァイオリン奏者)
(定期演奏会/2009 年10月2〜4日)


【演奏曲目】
シマノフスキ:演奏会用序曲ホ長調
ルトスラフスキ:弦楽器のための序曲
ショパン:ピアノ協奏曲第1&2番

ピアノ:ダニエル・バレンボイム
指揮:アッシャー・フィッシュ


 昨年10月にショパンのピアノ協奏曲2曲をひと晩で演奏して話題を呼んだバレンボイムですが、当インタビューでは指揮者とピアニストの違い、ショパンの音楽の「自由さ」と「構造」について語っています。興味深いのは、彼が「指揮者は自分で音が出せない」と語っていることです。ピアニストは音楽を自分で弾けるのに対し、指揮者はすべてを他人に演奏させるわけですが、同様にフィジカルな音楽として実現しなければなりません。バレンボイムはこの点を真正面から突いており、指揮者における音楽とのフィジカルなコンタクトについて語っています。

ドッズ 「器楽奏者として演奏するのと、指揮者として演奏するのとでは、音楽へのアプローチの仕方が違うでしょうか」

バレンボイム 「音楽的には違うところはありません。しかし指揮者というのは、音そのものを物理的に作り出せないのです。人はよく“指揮者には権力がある”などと言いますが、それはナンセンスです。もしオーケストラが、私が思っている通りの演奏をしたくなかったり、する能力がなかったりする場合、私はどうすることもできません。しかしそれだけではなく、指揮者とは、音楽を作る立場にありながら、音に対してフィジカルなコンタクトがないのです。例えばですね(力強くタクトを振る所作をする)、こう腕を動かして何か音が聞こえますか?聴こえませんよね。でも、(ピアノに向って和音を弾く)これは聞こえますよね。それが違いです。その際重要なのは、音楽の魂、ハートが、フィジカルだということです。理想を言えば、楽器を演奏せず、作曲をしない人は、指揮をやるべきではありません。専門職としての指揮者の歴史は、20世紀の途中から始まったものでした。それまでは指揮者は、同時に器楽奏者であり、作曲家であったのです。リストがそうでしたし、ハンス・フォン・ビューロー、ブラームス、R・シュトラウスといった人々は、例外なくこの3つの分野で活躍していました。指揮者は理想的には、この3分野すべてに通じている必要があるでしょう。というのは作曲する人間は、作品のアナトミー(解剖学的形態)にも通じているからです。つまり音楽の“血潮”だけでなく、“筋肉”から“骨格”といった構造のすべてを知っています。今日、偉大な作曲家が偉大な指揮者であることはそれほど多くはありませんが、例えばピエール・ブーレーズのような人が偉大な指揮者であるのは、まさにこの理由からです。その上で楽器が演奏できれば、音楽のフィジカルな性質が理解できる。さらに指揮の技術を体得すれば、指揮ができるようになるわけです。今の世の中では専門職が求められ、また指揮者は極めて大きなレパートリーを持ってなければならないので、3つの分野で活躍するということは不可能になっています。音楽以外の才能、例えばインターネットでインタビューに答える能力とかも備えていないと……。冗談はともかくとして、今日指揮者が専門職になっているのは、音楽的な理由からではなく、社会的な理由からです。オーケストラは1年中演奏しており、レパートリーはとてつもなく広く、多様化しています。それゆえ我々は専門職にならざるを得ないのです」

ドッズ 「ショパンは即興的なスタイルを持っていると言われますが、その点についてはどのようにお考えですか」

バレンボイム 「普通我々は、構造と自発性は相反するものだと思いがちです。論理的思考のなかではファンタジーは飛翔しないという発想ですが、まぎれもなく音楽は、理性の基盤なしには自由はありえないことを示しています。つまり演奏が情熱的になればなるほど、演奏家はそこに厳格な枠組みを持たなければならないのです。今回ショパンを演奏するに当たって、フィッシュさんが指揮してくださるのは本当にありがたいことだと思っています。というのは彼自身ピアニストで、自らショパンを演奏した経験を持っているからです。ショパンはピアノ以外の楽器のためには、少数の例外を除いては何も書いていません。つまりオーケストラ団員は、実際にショパンのスタイルを学ぶ機会を持っていないのです。例えばベートーヴェンならば、団員はシンフォニーを弾く前にすでにヴァイオリン・ソナタだとか、トリオだとか、カルテットで勉強した経験があります。ところがショパンの場合、ピアニストとしてのバックグラウンドを持っていないと、なかなかこの世界に入ってこれません。ショパンは、たいへん自発的で自由なスタイルを持っていますが、同時にその自由さは、堅固な構造のなかに収められています。ショパンというのは、人間の本性そのものなのではないでしょうか。つまり感情的な広がりを持つと同時に、理性的で論理的に考える存在なのです」

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 ベルリン・フィル演奏会批評(現地新聞抜粋)

賛辞はブラウンシュタインに集中。ビシュコフは継子扱い?
(2009年10月8〜10日)

【演奏曲目】
ストラヴィンスキー:管楽器のための交響曲
シェーンベルク:浄夜
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番

ヴァイオリン:ガイ・ブラウンシュタイン
指揮:セミョン・ビシュコフ


 昨年10月のセミョン・ビシュコフの演奏会では、ベルリン・フィルの第1コンサートマスター、ガイ・ブラウンシュタインがショスタコーヴィチの「ヴァイオリン協奏曲第1番」を演奏しました。新聞批評では、彼についての記述がほとんどで、ビシュコフの指揮に関しては、ほとんど言及されていません。これは「地元の星」であるブラウンシュタインを応援する気持ちから来ていると思われますが、実際彼の演奏はたいへん充実したものです。
 とはいうものの、ビシュコフの演奏もなかなかの出来で、右ヴィデオの《浄夜》など、耽美的な曲調を実に濃密に描き出しています。近年はR・シュトラウスやワーグナーの演奏で評価を固めてきただけに、後期ロマン派的な作品こそが彼の得意分野なのでしょう。指揮者として成熟期に入ってきたビシュコフですが、レパートリーもピントが合ってきたと言えるに違いありません(彼は小澤征爾の代役として、6月定期にも登場する他、その後のツアーの指揮も受け持つことになっています)。

「休憩後のブラウンシュタインのソロは、圧倒的なものであった。冒頭のカンティレーナからじわじわと入念に歌い上げ、スケルツォでは曲芸的なまでのヴィルトゥジティを見せる。さらにフィナーレのブルレスケで恐ろしく難しいをカデンツァを華麗に弾き上げた後、さらにアンコールでイザイを弾くスタミナを示したのである。彼の堂々たる演奏の前では、オーケストラは脇役に引っ込んだ印象であった(2009年10月10日付け『ターゲスシュピーゲル』紙/クリスティアーネ・テヴィンケル)」

「ブラウンシュタインは、歯を食いしばるようなハングリーなショスタコーヴィチを聴かせた。それはダンスとよろめき、軽やかさと激しさの混交とでも呼ぶべき演奏である。ベルリン・フィルは同僚である彼をウィットと暖かさで包み、両者は親しみに溢れた調子で小突きあうという感じであった。このコンチェルトがこのように演奏されたことは、いまだかつてなかっただろう。それはソロとオーケストラがお互いを理想的に感じあい、呼応するスタイルである。ベルリン・フィルは、ブラウンシュタインのルバートを、先読みして演奏するほどであった。ビシュコフはオケを秋の夕暮れのように染め上げ、同時に激しいリズムで燃え上がらせた(2009年10月11日付け『ベルリナー・モルゲンポスト』紙/フェリックス・シュテファン)」

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 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

ドミンゴ、手術により公演をキャンセル
 プラシド・ドミンゴが、手術により3月末までの公演をキャンセルすることになった。ドミンゴは2月の東京公演中に腹痛を訴えたが、ニューヨークの医師の勧めで手術を受けることになったという。これにより、ロンドンのロイヤル・オペラにおけるヘンデル《タメラーノ》と、チューリヒ歌劇場の《シモン・ボッカネグラ》がキャンセルとなる。復帰はベルリン・フェストターゲにおける《シモン・ボッカネグラ》と発表されている。なお、病名は明らかにされていない(写真:2009年10月、ベルリン歌劇場で《シモン・ボッカネグラ》を歌うドミンゴ。©Monika Rittershaus)。

マゼール、ミュンヘン・フィルの首席指揮者に就任
 クリスティアン・ティーレマン退任後のミュンヘン・フィルの首席指揮者に、ロリン・マゼールが就任する模様である。着任は2012年秋で、契約は3年間のみ。延長のオプションはなく、2015年以降の首席指揮者が決定するまでの橋渡し的役割を担うという。マゼール自身は、首席客演指揮者に似た形で、アドミニストレーション上の任務を負わない契約形式を希望しており、ミュンヘン市と交渉中だという。

キンボー・イシイ=エトウ、マクデブルク劇場の音楽総監督に決定
 台湾生まれで日本で育った指揮者キンボー・イシイ=エトウが、マクデブルク劇場の音楽総監督に就任することが決まった。就任は2010年12月に予定されており、4年契約だという。

三木稔のオペラ《愛怨》が、ハイデルベルクで上演
 三木稔のオペラ《愛怨》が、2月20日ハイデルベルク劇場でドイツ初演された。日本人がひとりも加わらないキャストで、日本語(ドイツ語字幕付き)による上演。初日の批評は、総じてたいへん好意的である。『アルゲマイネ・ツァイトゥング』紙は、「この上演は、ハイデルベルク劇場の歴史の1ページとなることだろう。ここでは、音楽、歌手、演出のすべてが完璧であった」と報じている。

準メルクルのリヨン国立管弦楽団で、権力闘争
 準メルクルは、2011年以降のリヨン国立管弦楽団との契約を延長しないことを発表しているが、これは新しいオーケストラ取締役のロラン・ラングロワとの確執が原因だという。ラングロワは、昨年リヨン市長の肝いりで同職に就任。しかし当初からメルクルと意見が合わず、権限の所在を巡って争いが続いている。トラブルは、メルクルの写真がプログラムから消えるという事態で頂点に達したが、この2月にはオーケストラ団員もラングロワに反対する姿勢を示している。ナクソスで進行中の「ドビュッシー管弦楽曲全集」も、現状では危機にさらされている模様。ちなみにメルクルの後任には、レナード・スラトキンが就任する見込みである。

ハルモニア・ムンディ・フランス創業者、ベルナール・クータツ氏死去
 インディー・レーベルとして最大の存在であるHMFの創業者、ベルナール・クータツ氏が87歳で死去した。クータツ氏は、1958年にオルガン音楽のレコード・クラブを創設した後、70年代よりレコード制作を本格的にスタートし成功。現在HMFは、出版ビジネスにも手を広げているが、フランスやスペインに本とCDの両方を販売する直営店を40店以上運営している。


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