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「ベルリン・フィル・ラウンジ」第24号:期間限定!DVD未発売のヴァルトビューネ・コンサートが放映! ベルリン・フィル・ラウンジへ戻る

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2010年7月9日 (金)

ドイツ銀行 ベルリン・フィル
ベルリン・フィル&HMV提携サイト
 ベルリン・フィル関係ニュース

サー・サイモン・ラトルが仏レジオンドヌール勲章を受章
 サー・サイモン・ラトルが、フランス政府よりレジオンドヌール勲章を授与されました。授与式は、在独フランス大使館で行なわれ、ベルトラン・ド・モンフェラン大使がニコラ・サルコジ仏大統領の代理として勲章を手渡しています。階級は「騎士」。受章の理由としては、ラトルのフランス音楽や現代音楽への貢献が挙げられています。

小澤征爾の2010/11年シーズンの演奏会が、すべてキャンセル
 小澤征爾が、2010/11年シーズンに予定されているベルリン・フィルの演奏会を、すべてキャンセルすることになりました。これは今年初頭に受けた手術のリハビリのためで、12月のサイトウ・キネン・オーケストラ、ジルベスター・コンサート、1月のアンネ・ゾフィー・ムターとの定期演奏会と欧州ツアー、5月の定期演奏会が対象となります。サイトウ・キネン・オーケストラの演奏会は中止。その他の演奏会では、グスターボ・ドゥダメル、サー・サイモン・ラトル、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキが代役として指揮する予定です。

ヴァルトビューネ・コンサート2010のスターは、ルネ・フレミング!
 6月27日に、毎年恒例のヴァルトビューネ・コンサートが行なわれます。今年のスターは、ソプラノのルネ・フレミングで、得意のオペラ・アリア(《カプリッチョ》最終場面ほか)や歌曲をイオン・マリンの指揮で歌う予定です。演奏会は、ARDドイツ第1放送により収録され、ドイツ国内で生中継されます。

ブロムシュテット、ラトル/マルサリス、ビシュコフの演奏会がアーカイヴにアップ!
 6月に行なわれた定期演奏会の映像が、デジタル・コンサートホールのアーカイヴにアップされました。4日のブロムシュテット、10日のラトル、19日のビシュコフのコンサートですが、なかでも注目されるのは、ラトル指揮によるウィントン・マルサリス《スウィング・シンフォニー》の世界初演でしょう。この作品は、50分を越える大曲で、ジャズの歴史をたどる壮大な音絵巻。当然マルサリスも、「ジャズ・アット・リンカーン・センター・オーケストラ」のトランペットで参加しています。カーテンコールでは、万雷の拍手に感涙の面持ちを見せるなど、まさに記念すべき演奏会です。下記のリンクより、ハイライト映像をぜひご覧ください。
 ブロムシュテットの回では、彼が得意とするブルックナーの第6交響曲がメインとなっています。同時に、ベルリン・フィルの首席奏者にマルティン・ヘルムヘンが加わったベートーヴェンの「三重協奏曲」も聴きもの(本号のインタビューも参照)。ビシュコフの回では、ラヴェル《クープランの墓》、ブラームス「交響曲第2番」のほか、タベア・ツィンマーマン独奏のバルトーク「ヴィオラ協奏曲」にも関心が集まります。

ブロムシュテットの演奏会のハイライト映像を観る!(無料)
ブロムシュテットの演奏会をデジタル・コンサートホールで聴く!
ラトル/マルサリスの演奏会のハイライト映像を観る!(無料)
ラトル/マルサリスの演奏会をデジタル・コンサートホールで聴く!
ビシュコフの演奏会のハイライト映像を観る!(無料)
ビシュコフの演奏会をデジタル・コンサートホールで聴く!

 次回のデジタル・コンサートホール演奏会

期間限定!DVD未発売のヴァルトビューネ・コンサートの映像が、デジタル・コンサートホールで放映!(4週連続)

 2009/10年シーズンは、6月27日のヴァルトビューネ・コンサートをもって終了し、デジタル・コンサートホールの生中継も夏休みに入りますが、新しい映像のご紹介はさらに続きます。ユーロアーツ社のご厚意により、2004、2005、2007、2008年の4回のヴァルトビューネ・コンサートが、特別企画として期間限定(各1週間)でご覧いただけます。これらの演奏会は、まだDVDとしては発売されていないものばかりですので、ひと足先に夏の風物詩の映像をお楽しみください。
 指揮は3回がラトルで、1回が新星ドゥダメル。ソリストにはラン・ランやラベック姉妹が迎えられています。30日券、12カ月をお持ちのメンバーの方は、追加料金を支払うことなく、お手持ちのパスでご覧いただけます。各コンサートは、下記に記載されている期間しかストリームされませんので、くれぐれもお見逃しなく。
また、ユーロアーツ社のサイトもぜひご覧ください(写真:Berliner Philharmoniker/Bolk)。

ヴァルトビューネ・コンサート2005
フレンチ・ナイト
(第1週:7月2〜8日)

【演奏曲目】
ベルリオーズ:序曲《ローマの謝肉祭》
ドビュッシー:《牧神の午後への前奏曲》
デュカス:交響的スケルツォ《魔法使いの弟子》
プーランク:2台ピアノのための協奏曲
サン・サーンス:《動物の謝肉祭》(2台ピアノと管弦楽版)
ラヴェル:《ボレロ》
アンコール
サティ:ジムノペディ第1番
ラヴェル:《ダフニスとクロエ》より<全員の踊り>
リンケ:ベルリン気質

ピアノ:カティア&マリエル・ラベック
指揮:サー・サイモン・ラトル


 第1週の2005年の回は、フレンチ・ナイトと題されています。ラベック姉妹が客演してプーランクの2台ピアノのための協奏曲を弾くほか、オーケストラ版の《動物の謝肉祭》にも参加するという洒落たプログラムです。その他の作品も、ラトルのブリリアントでクリアーなセンスが発揮されるものばかり。夏の夜にふさわしい爽やかな官能性に溢れる《牧神の午後への前奏曲》など、注目の1曲でしょう。

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ヴァルトビューネ・コンサート2007
シンフォニック・ラプソディーズ
(第2週:7月9〜15日)

【演奏曲目】
シャブリエ:狂詩曲《スペイン》
ディーリアス:イギリス的狂詩曲《ブリッグの定期市》
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
ドヴォルザーク:スラヴ狂詩曲第1番
ドビュッシー:クラリネットと管弦楽のためのラプソディ第1番
エネスク:ルーマニア狂詩曲第1番
アンコール
プロコフィエフ:《3つのオレンジへの恋》より抜粋
リンケ:ベルリン気質

ピアノ:スティーヴン・ハフ
クロリネット:ヴェンツェル・フックス
指揮:サー・サイモン・ラトル


放送期間:7月9〜15日(オンディマンド再生)

 第2週は、シンフォニック・ラプソディと題した狂詩曲の夜です。プログラムは、ラトルが偏愛するシャブリエの代表作《スペイン》でスタート。ディーリアスのイギリス音楽を通って、ドヴォルザーク、ラフマニノフ等のスラヴ音楽に至るという構成は、ラトルならではの洒落たセンスを感じさせます。ドビュッシーの秘曲「クラリネットと管弦楽のためのラプソディ第1番」が聴けるのも妙。フックスのクラリネットの音色にも、魅せられること必定です。

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 アーティスト・インタビュー

ルートヴィヒ・クヴァント
(第1チェロ奏者、ベルリン・フィル12人のチェリストたち芸術監督)
「アジアでは、私たちはポップ・スター並の扱いです」
聞き手:ニコル・レストレ(ベルリン・フィル/マーケティング部門)


 今号では、ベルリン・フィルの第1ソロ・チェリストで、ベルリン・フィル12人のチェリストたちの芸術監督を務めるルートヴィヒ・クヴァントのインタビューを取り上げます。12人のチェリストたちは7月初旬に来日公演を行い、新しいCD《ばら色の人生〜パリへのオマージュ〜》も6月30日にリリースされましたが、当インタビューでは、日本公演でも演奏されるプーランクの《人間の顔》についてのコメントや、音楽教育基金、アジアでの人気について話題が目を引きます。日本でのポピュラリティも大変なものですが、韓国ではポップ・スター並、という話には驚かされます。

レストレ 「クヴァントさんはベルリン・フィルの第1ソロ・チェリストと同時に、ベルリン・フィル12人のチェリストたちの芸術監督も務められています。12人のチェリストたちは、同じ楽器だけからなるアンサンブルですが、チェロがこうしたフォーメーションに適しているのはなぜでしょう」

クヴァント 「私たちのアンサンブルは、合唱と比べることができると思います。合唱は声というひとつの楽器から成っていますよね。チェロも同じように、ソプラノからバスまですべての音域をカバーできます。そのため、たいへん広いレパートリーを演奏することが可能なのです。このような形態で演奏している器楽アンサンブルが他にあるかというと、私自身も考え込んでしまいますね」

レストレ 「12人のチェリストたちは、ポピュラー音楽も積極的にレパートリーに取り上げています。これはどうしてでしょう」

クヴァント 「私たちはクラシックのオリジナル作品も弾きますが、それら自体強いエンターテイメント性を持っていると思います。同時にいわゆるクラシックとポピュラーの垣根を低くしようという意図もあります。ドイツ語には、“クラシックとポピュラーがあるのではない。あるのは良い音楽と悪い音楽だけだ”という教訓がありますよね。もちろん質の低いポピュラー音楽があるのは事実で、そうした曲を演奏することはないと思います。しかし質の高いポピュラー音楽は本当に数多くあり、私たちはそうしたレパートリーを増やしていきたいと思っています。例えば映画音楽です。ショスタコーヴィチを上げるまでもなく、映画音楽にはたいへん内容の濃いものがあります。またクラシックの作曲家の作品でなくとも、自立した美しさと内容を持つ映画音楽は山ほど存在するのです」

レストレ 「2月17日には、ベルリンで12人のチェリストたちの演奏会が行われますが、そこでもオリジナル作品と編曲ものが演奏されます。どんな作品を予定していらっしゃいますか」

クヴァント 「ひとつはアルヴォ・ペルトが我々のために書いてくれた新作の初演です。《ミサ・ブレヴィス》という名前で、つい何週間か前に出来たばかりの出来立てほやほや。ぺルトは以前ベルリンにも住んでいましたが、彼の作品を演奏できるというのは、たいへんな栄誉です。もうひとつは、プーランクの《人間の顔》です。これはもともと合唱曲で、ここでも12人のチェリストたちと合唱との繋がりがうかがえますが、6声の二重合唱のために書かれています。つまり全部で12声ですから、私たちにまさにぴったりなのです。編曲は、我々のメンバーのダーヴィット・リニカーが行いました。彼はすでに12人のチェリストのために何曲も編曲をしていますが、この曲にも以前から取り掛かっていました。チェロでは歌詞が歌えないので(笑)、作品を少し紹介させていただきますと、これはプーランクと友人の詩人ポール・エリュアールが1943年のレジスタンス時代に書いたものです。南フランスがドイツに占領された状況下で初演された、宗教的な力に支えられたたいへん力強い作品で、当時のフランスの市民の状況が色濃く反映されています。我々にとっては非常に大切な曲ですが、それはチェロで演奏して素晴らしく響くということと、人間的にたいへん深い内容を持っているからです。コンサートの第2部はより気軽な内容で、我々のスタンダードの曲のほか、最近レパートリーに取り込んだフランスの有名なシャンソンの名曲集をお届けします。40年代のパリの歓楽街を想起させるプログラムです」

レストレ 「12人のチェリストは、子どものための音楽教育基金をなさっているそうですね。これはどういうシステムなのでしょう」

クヴァント 「これは我々が昨年行なった募金コンサートで得た収益の45,000ユーロを基金として投資し、そこで発生する利益から子どもたちに音楽教育を与えるというものです。対象となっているのは、経済的な事情から音楽教育が受けられない家庭で、そうした社会的な事情から音楽への道を閉ざされている子どもたちを援助しようという発想です。45,000ユーロというと大金に思えますが、実際に支援できる子どもたちの数はまだまだです」

レストレ 「これに加えて12×12×12というプロジェクトも行なっているそうですね」

クヴァント 「基金ではまだまだ支援できる人数が限られていますので、それに加えて毎月12人のメンバーが12ヵ月12ユーロずつ集めるというものです。だから3回12月続いているわけです(笑)。これは基金の資本に流し込むのではなく、直接子どもたちに与えています。実は最近奨学生と会う機会がありまして、あるコンサートのために行なったリハーサルを彼らに見せました。それは我々が、彼らに本当に頑張って(音楽を学んで)もらいたいと思っていることをじかに伝え、やる気を持たせるためです。子どもたちは我々の気持ちをよく受け止めてくれ、とても感動的な集まりになりました」

レストレ 「2010年には、2年ごとに行なわれるアジア・ツアーが予定されています。アジアでは、12人のチェリストたちは特別な人気を誇っているそうですね」

クヴァント 「特定の国を引き立てるということはしたくありませんが、例えば韓国では、我々は舞台に出るだけで大歓声が沸くという感じで、本当にポップスのスターのような扱いを受けています。それは前々回のサッカー世界選手権と関係しているのです。私たちは当時、サッカーと同じ時期にアジア・ツアーをやりました。韓国は準決勝まで進んだのですが、現地のサッカー・ファンは“Be the Red“と書かれた赤いTシャツを皆着ていたのです。そこで彼らの応援歌をチェロ用に編曲して、アンコールとしてTシャツを着て演奏したのですが、これが大反響を呼びました。それ以来、ものすごい人気になったのです。韓国、そして台湾もそうですが、アジアの国では、国による音楽教育が本当に大きな意味を持っています。現在ドイツでは、音楽の授業は週一回、というひどい状況ですが、これらの国では、週に3回から4回の授業が行なわれているのです。そうした状況は、もちろんコンサートで演奏していても伝わってきます。演奏会に来ているのは、半分は本当に若い人々です。ヨーロッパでは聴衆の高齢化が大きな問題となり、若い人々のクラシック離れが悲観視されていますが、小さいときからクラシックに触れ合わなければ、人はその後も関心を持ちません。アジアの状況は、子どもの時から接すれば関心も育つ、ということを実証しているわけで、演奏会ではとても幸せな気持ちになります」

ルートヴィヒ・クヴァントがソロを務めるベートーヴェン「三重協奏曲」のハイライト映像を観る(無料)
同曲をデジタル・コンサートホールで聴く

ベルリン・フィル12人のチェリストたち
<2010年日本ツアー>
7/3(土)18時開演 愛知県芸術劇場コンサートホール
7/4(日)14時開演 サントリーホール
7/6(火)19時開演 三田市総合文化センター「郷の音ホール」
7/7(水)19時開演 山口市民会館 大ホール

 ベルリン・フィル演奏会批評(現地新聞抜粋)

ティーレマンは、《ペレアスとメリザンド》で「カペルマイスター的美徳」を発揮
(2009年12月22日)

【演奏曲目】
ブラームス:オーケストラ伴奏付き合唱曲集
《哀悼の歌》
《運命の女神たちの歌》
《運命の歌》
シェーンベルク:交響詩《ペレアスとメリザンド》

合唱:ベルリン放送合唱団(合唱指揮:ロビン・グリットン)
指揮:クリスティアン・ティーレマン


 ここのところ毎年ベルリン・フィルに客演しているティーレマンのシェーンベルク&ブラームス・プロでは、興味深い批評が出ています。ティーレマンというと、ドイツでは「自信たっぷりで我が道を行く」というイメージがありますが、『ベルリナー・ツァイトゥング』のユーリング氏は、この日の彼にはそうした態度がなく、演奏も気ままに流れない精密なものだったと強調しています。本文では割愛してありますが、ティーレマンは観客に対しても笑顔を振りまき、いつもの厳めしさはなかったということです。彼はどこかミステリアスな指揮者ですが、ユーリング氏の文章も、そうしたティーレマンのキャラクターを裏付けているようです。

「バランスが取れていたのは、ティーレマンの振るまいだけではない。彼の指揮も極端なところがなく、振り方の点でも音楽の点でもすっきりしていた。彼は普通、特定の個所を思うがままに引き伸ばして、全体の構造を忘れる傾向があるのだが、今回は冷静という印象さえ与えた。彼特有の古めかしいパトスや目立ちたがりのジェスチャーは影をひそめ、カペルマイスター的美徳が前面に現われたのである。《ペレアスとメリザンド》には、恐ろしく難しい半音階的な木管のパッセージがある。ベルリン・フィルは世界最高のオーケストラだが、木管セクションはアンサンブルではいつもクリアーな音程で吹いているわけではない。しかし今回は、ここでティーレマンが特に正確な音程を求めたことは、明らかであった。その際彼は、単なる響きの美しさを求めたのではない。そうではなく、(基本的音量は確かに大きめであったが)すべてをセーブし、巨大なスコアの対位法的なキャラクターに意を注いだのである。しかも彼はそこで、大振りになることを避け、実に正確にオーケストラをコントロールしていた。ブラームスの合唱曲では、合唱とオーケストラを融合させ、見事な響きを造形。《運命の女神の歌》で一瞬ミスが起きたことを除けば、同様にきっちりと正確にまとめ上げた。音楽の作り方は、響きを力強く維持しようとする点において、やや古風だと言えるかもしれない。合唱のディクションは、あまり聴き取りやすいものとは言えなかったが、それは透明というよりは、熱く燃焼するこの響きのせいだろう(2009年12月12日付け『ベルリナー・ツァイトゥング』ペーター・ユーリング)」

「ブラームスの合唱曲のなかでは、《運命の歌》が最も豊麗な響きを聴かせた。この作品は、残りの2作の10年前に書かれ、まだブラームス流に枯れきってはない。ここでティーレマンは、作品の偉大で悲劇的な調子を、たいへん明確に捉えていた。ティーレマンは、バイロイトでの安定した仕事ぶりのおかげで名声を得るようになったと言える。彼の力量は後半の《ペレアスとメリザンド》で証明されていた。巨大なオーケストラの咆哮の後には、優しく叙情的なささやきが聴こえてくる。ここでは大画面シネマのような音響が繰り広げられていた。しかしこれは、彼の演奏が映画音楽的だったということではない。なぜならシェーンベルクの音楽は、華麗さのなかにも、厳格に独自の道を示すものだからである。ティーレマンは、ベルリン・フィルを巧みに操り、団員をその道に導いていた(2009年12月12日付け『ベルリナー・モルゲンポスト』クラウス・ガイテイル)」

《運命の女神の歌》のハイライト映像を観る(無料)
この演奏会をデジタル・コンサートホールで聴く!

 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

ヤニック・ネゼ=セガンがフィラデルフィア管の音楽監督に
 カナダの指揮者、ヤニック・ネゼ=セガンがフィラデルフィア管の音楽監督に就任することが発表された。正式な就任は2012年秋だが、事実上来シーズン初めからシェフとして演奏活動を行なう模様である(写真:Marco Borggreve)。

ウィーン国立歌劇場のイオアン・ホーレンダー総監督が退任
 1993年よりウィーン国立歌劇場の総監督を務めるイオアン・ホーレンダーが、この6月、同職を退任した。ホーレンダーは6月20日、国立歌劇場のお別れマチネーで、17年にわたる長い任期を振り返っている。しかしこれで引退というわけではなく、現在ブタペストのハンガリー国立歌劇場と交渉中で、メトロポリタン・オペラともコンサルティング契約を結んでいるという。ホーレンダーは、ユダヤ系のルーマニア人で少年期にオーストリアに移住。音楽マネージャーとして活躍していたが、1993年に急死したエーバーハルト・ヴェヒターの後任としてウィーン国立歌劇場のトップに就任した。

モーリン・フォレスター、79歳で死去
 カナダのアルト歌手モーリン・フォレスターが79歳で亡くなった。フォレスターはとりわけマーラーの歌曲の演奏で知られ、低音域の美声により主に北米で高い評価を得ていた。晩年は認知症を病み、老人ホームで看護を受けていたという。

ソニー・クラシカルがクリスティアン・ヤルヴィと専属契約
 クリスティアン・ヤルヴィが、ソニー・クラシカルと専属契約を締結した。契約の詳細は不明だが、最初のアルバムは、ベルリン放送交響楽団とのぺルト「交響曲第3番」になるという。発売は今秋の予定。

ドイツ・グラモフォンがマルティン・グルービンガーと専属契約
 オーストリアの打楽器奏者マルティン・グルービンガーが、ドイツ・グラモフォンと専属契約を交わした。グルービンガーは、ドイツを中心にカリスマ・パーカッショニストとして人気を獲得。ドイツ・グラモフォンが打楽器奏者と契約するのは、今回が初めてとなる。最初のアルバムは、グレゴリオ聖歌隊とのコラボレーションだという。

レヴァイン、タングルウッド音楽祭をキャンセル
 背中の手術により現在休養中のジェームズ・レヴァインが、この夏のタングルウッド音楽祭への出演を見合わせることになった。メトロポリタン・オペラとボストン交響楽団の音楽監督を務めるレヴァインは、昨年以来すべての演奏会をキャンセルしているが、「秋のメットとボストンの公演に復帰することがプライオリティであり、夏を休養に当てる」という。

ノセダ、マンチェスターBBCフィルを2011年に辞任
 ジャナンドレア・ノセダが、来年マンチェスターBBCフィルの首席指揮者を辞任することを明らかにした。最後の公演(2011年4月)は、ヴェルディの《オテロ》(演奏会形式上演)になる模様で、バルバラ・フリットリがデスデモナを歌う。


次号の「ベルリン・フィル・ラウンジ」は、2010年7月16日(金)発行を予定しています。

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