更なる充実を見せるEmi Meyer

2011年3月8日 (火)

スモーキーでソウルフル。それでいて新しくもあり懐かしくもある。

デビュー作からスモーキーな歌声とジャズからロック、ソウルと消化した曲の数々を披露してきたEmi Meyer。ジャズ～ロックを美声で魅せた『Curious Creature』、日本語詞で歌謡曲をも消化し幅を広げた『Passport』。そして、今作『Suitcase of Stones』は時代をも越えた感がある。ブルージーでソウルフルな「マスターピース」「ハッピー･ソング」からは1960年～70年代の色褪せた空気を感じさせてくれる。そして「イエスタデイズ・レイン」はタイトルからも想起できるように切なさと強さを感じさせるフォーキーで歌謡曲にも似たポップさが心にしみる名曲に。ジャンルから時代をも消化して完成した今作こそ現時点でのベストであり、更なる成長を予感させる1枚になっている。

更にボーナストラックには「午後の紅茶アジアンストレート＜無糖＞」のCMにも使用され、評判になったブッカー・Tの名曲「ジャマイカ・ソング」のカバーや「アオハタ55ジャム」のCMで使用された「ドレミファ」「フレンドリー・フェイス」も収録された2枚組！！全く贅沢なアルバムです。

『Suitcase of Stones』 / Emi Meyer
[2011年3月9日発売]

＜Emi Meyer本人による全曲解説＞

1 マスター・ピース
「多くのシチュエーションで自分のアイデンティティを分けて考えたりしますが、弱点や個性も含めて自分を作品のようにありのまま受け入れることが大切だと思います」

2 トゥー・ザ・ウッズ
「最近、毎日が速いペースで動いている様に感じます。小さい頃、私はおてんばで、実家の裏庭で友達と自然の中を冒険したりして、泥んこになって家に帰ってきていました。そのように夢中になる幸せを大人としても大事にしたいですね」

3 ハッピー･ソング
「"幸せ"の意味は人それぞれですね。母親に言われてハッピーな曲を書こうとしたのですが、結局"ハッピーとは何か"について書きました。」

4 ザ・リターン
「人は旅をして変わるけれど、親友同士は芯の変わらない部分を見ているのだと思います。歌詞にもありますが、"一期一会"ですね。」

5 クリストファー
「ある友達が、南の離島で一年生活して帰ってきたら、価値観が変わってしまって地元の仲間と打ち解けることが出来なかったと教えてくれました。でも、そのズレを悩むよりは、良い風に捉えて前向きに自分の道を作っていたら、人はいずれ彼の魅力を分かるだろう、という曲です。理解されなくても孤独になるよりは、自分を信じればいつかは分かってもらえるというメッセージです。」

6 スーツケース・オブ・ストーンズ
「この曲はなんとなく湧き出てきたのですが、この友情はまだ幼くて、長続きするか分からない、という感じを曲にしました。別れに対して強がりな人を描いています。」

7 イフ・ウィ・ワー・トリーズ
「人は木みたいに育って、支え合いながら自分の根っこも鍛えたいですね。この曲はそんな人間関係について書きました。」

8 ルース
「ルースはポルトガル語で"光"という意味です。ブラジルに行った時、地元のミュージシャンとこの曲をセッションしました。そのエネルギーを録音の場で再現したかったのです。愛は子守唄であるけれど、目を閉じると周りが見えなくなってしまう、というメッセージです。」

9 イェスタデイズ・レイン
「経験から言って、大変なことの後には必ず良い日が来るから、まるで天気のようですね。そして、チャレンジを乗り越えることによって人は強くなる。その励ましを曲にしました。」

プロフィール

アメリカを拠点にして活動するシンガー・ソングライター。彼女は母親が日本人、父親はアメリカ人のハーフ。京都に生まれ、1歳でアメリカに移住。クラシックピアノを幼少から学ぶ。その後友人の影響を受けてジャズ･ピアノも習得。18歳で作曲を始め、2007年にはシアトル-神戸ジャズ･ヴォーカリスト･コンペティションにて優勝。そして、Jazztronik「JTK」やShing02「歪曲」にも参加し、Jaztronik参加曲「For You」「Reminiscing」はドラマエンディング曲になる。1st『Curious Creature』が評判となり、2009年夏にはCMでエミが歌うブッカー・Tの「Jamaica Song」が使用される程に。2010年にはShingo Annen（Shing02）との共作となる全曲日本語詞の2nd『Passport』をリリース。現在、女性ヴォーカリストとして注目されているアーティストの重要な1人である。