伊集院幸希について
日常生活では使わない、そんなものはなくても暮らしていけるとなんとなく思ってしまっていたけど、ふとした時、たとえば人を好きになってしまったときなんかに急に起ち上がってくる、なんだかどうしようもない落ち着かない気分。
それがわかりたくて、とりあえずそれに名前を付けようとする。その作業中に、ふと、自分の中にも魂と呼べる塊があったのだということに気づく…。
ベッドからまだ出たくないけだるさ、視線をはっきり合わせないままに伝える決意、彼女の歌にそういうものを感じる。
いつものカクテルを黙って差し出してくれるようなバーのオーナーマダムのような口を利くかと思えば、泣きじゃくる小娘のようにもなる。「こんな女に惚れたら人生はたちまちドラマ。そりゃあ大変だぜ!」と私の中の俺が囁いてる。
音楽なんてあまり聴かなくなってしまった人が遊びに来たときにも酒が入ったらかけてあげたい。
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内田春菊 -