HMVインタビュー:45 ダンス&ソウル・インタビューへ戻る

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2011年11月28日 (月)

interview

45

「このアーティスト、いいですよ。」と45の『Hello Friends』を同僚に勧められたのが確か3年くらい前。その黒い感覚に不思議と魅了されたものですが、それから、一部好事家の間だけで話題だった彼が、あれよあれよという間に日本国内のみならず欧州を中心に世界で高い評価を得て、日本のメジャー・シーン・アクトから海外アーティストの作品のプロデュースやリミックスを手がけ、昨年は自ら率いる45trioでフジロックという大舞台を沸かせるなど、アーティスト/プロデューサー/リミキサー/キーボーディストとして、シーンに欠かせない存在になった45 a.k.a. SWING-O。まさに、今、最もアツいアーティストの一人である彼が、話題のバンド45trioを軸に生音にこだわった3rdアルバムを完成したという情報を小耳に挟み、こりゃ是非とも話を聞かねばならんってんで、念願のインタビューとなりました。

日本人でメロウ系せつな系が得意な方はいくらでもいらっしゃるので、俺にしか思いつかないであろうフレーズ、このビートにこれをもってくるか!みたいな発想勝負と、歴史へのリスペクトを込めることで攻めてみました。

--- 45名義での3rdアルバムリリースおめでとうございます。キーボーディスト、プロデューサー、リミキサーとして様々なシーンで活躍している45 a.k.a. SWING-Oさんですが鍵盤に触れたきっかけは?

両親がクラシック好きで、物心つくころにはピアノを習ってました

--- 現在の45さんを形成した“ソウルミュージック”に出会ったのはいつですか?

小学校2〜4年生の時に親の仕事の都合でフィリピンのレイテ島という島に住んでいて、そこで週末はいつもアメリカのディスコ系な音楽がかかってましたね。それが俺の原体験かな、メロディックだけどビートが立つ音楽の心地よさを知ったという意味でね

--- ソウルミュージックを日本で普及させる活動をされていて『リアル・ソウルの伝道師』ともいわれていますが日本でソウルを普及させたいと思ったのはなぜですか?

そうね、俺の思うソウルってのは、熱さと緩さとグルーヴが絶妙な音楽のことで、アメリカのものに限らない広義な解釈なんです。一つの楽しみ方、捕らえ方と言えばいいかな。最近は自称『SOUL大学助教授』なんて言ってたりするんですが、何事も深いもの歴史のあるものを楽しむにはそれなりのコンテクストを知らないと楽しめない。でもそのステップを経て得た楽しさ、快感というのは何物にも変えがたいものだと俺は思うんですよ。コンビニエンスな楽しさばかりが提供されがちな今の日本だからこそ、そうした楽しみ方を伝えられたらいいなというのがその理由ですね。

--- なるほど。今年もDezille Brothersや近藤房之助、福原美穂など多くのプロデュースを手がけられていますが、それぞれの作品の中にその楽しさや深みがにじみ出てますね。そういったプロデュースワークで、45さんが心がけていることはありますか?

結果出来上がってきた作品がちゃんと「45印のソウルミュージック」と言えるかどうか?を冷静なる自分にチェックしてもらいながら進めていきますね。

--- 生演奏はもちろん、打ち込みのトラックもすごくカッコ良いのですが、トラックを作るときに心がけていることやこだわりなどはありますか?

こだわりがあるとすれば、毎回作り方を決めないこと、ですね。適当な思いつきを試すことを大事にしてます。あとは、仕上がりが今の時代にフレッシュに響くのかどうか?は凄く気にしてまとめてますね。

--- プロデュースワークだけでなく、45trioとしてのライブも積極的にやられていますが、45trioではまた違った想いがあるんですよね?

そうですね、人生初めての自分がフロントなプロジェクトなので、最初は迷いましたが(笑)。 自分の売りはアンサンブルなので、それを提示するには、たった三人なのに分厚い!というのを体験してもらうのが一番だなと思ってピアノトリオ編成でやっています。そして音だけではなく、どうやってエンターテイメントにまで昇華できるか?が今の自分の課題ですね。

--- 「音だけでなく」と言えば過去のアルバムジャケットもシンゴさんが手がけられていて、「laidbook」シリーズでもアートカードを作られていますが、絵に関してのこだわりなどはありますか?

絵に関しては素人なので、コンセプト&発想のみで勝負って感じですね。音が聞こえてくる絵であること、そこに何がしかの音楽的意図のあるデザインであること、にこだわってます。

--- 今回の『Stop! Look! Listen!』のジャケットデザインはどのようにして作られたのでしょうか?

先に「自分の顔を自画像で出そう」というのだけは決めていて、ある時手に入れた某レアグルーヴのレコードジャケットに触発されて一気にイメージが固まりましたね。「ソウルの伝道師」「SOUL大学助教授」が人を呼び止めて「聞いてみないか?」と声をかけている図、です。仕上げはDezilleBrothers近藤房之助のアルバムのジャケットもやってもらっているNOVOLにお願いしました。彼には背景の「街」をイメージした絵を描いてもらいました。

--- CDのデザインもレコードのようなデザインになっていますが、「45」というアーティスト名にもあるように、アナログには何か特別な想いがあるのでしょうか?

やっぱりアナログは大好きですからね。今でも暇さえあれば掘ってます。ソウルの楽しみ方を伝える上でも、アナログで聴いたときの音質そしてノイズというのは大事な要素だと思います。

--- 今回の3rd Album『Stop! Look! Listen!』ですが、ジャケットデザインやタイトルからしても今までも2作とはまた違った印象を受けるのですが何か心境の変化などはありましたか?

多くの人に伝えたい届けたい教えたい、という気持ちは変わらないんですが、表現をより直接的にしてみようって最近はなりましたね。ライブでも積極的に喋ることにしました。

--- 喋るという意味では今回のブックレットは45さんによるショートストーリーが入っていて、それを読みながら聴く事でより楽しめるような作りになっていますね。

絵とショートストーリーはlaidbookきっかけで始めたんですが、やってるうちにどちらも楽しくなってきちゃいましたね。特にショートストーリーは、音楽を楽しむ方法として凄くアリではないかと思ってます。そうした何らかの「物語」「風景」を感じながら聴くと、音楽がより心に響いてくることは確かにあるので。

--- なるほど。音楽に話を戻しますが、今回は特に生演奏が多く、45trioによる演奏も多いですが、やはり45trioとしてのライブ活動が今回の作品に大きく影響しているのでしょうか?

そうとも言えるし、また更にライブ活動を大きく展開していきたくて、ライブが想像出来るような作品を増やしました。 

--- また毎回様々なアーティストをフィーチャーしていますが、今回コラボしているアーティストを選んだ理由をそれぞれ教えてください。(Gizelle Smith、Ray Mann、B-Bandj)

彼らは、自分の2ndAlbum『The Revenge Of Soul』を出したあたりにすでにリミックスやセッションなどで関わっていて、曲のイメージもあったので「次作では是非一緒に曲を作ろう」と話してました。それがそのまま形になったという感じです。

--- 今後一緒にやってみたいアーティストや注目しているアーティストはいますか?

沢山いますね。今思いつくのは、Washed OutToro Y Moiなどのチルウェーヴ系、DiploM.I.A.などのシンセがバキバキなやつも好きで気になってる一方で、アフリカ〜南米のアーティストも面白い人が沢山出てきていて気になってます、AsaFatoumata Diawaraなどのシンガーもいいしね。日本人だとTuckerとかシンガーの伊集院幸希とか絡みたいなぁ、と思ってます。

--- また今回はカバー曲「Expansions」(オリジナル:ロニー・リストン・スミス)が収録されていますが、この曲を選んだ理由を教えてください。

クラブ界隈では超クラシックなレアグルーヴ曲なんですが、また一回りしてフレッシュに響くのではないか?と思ったのと、ライブでもやりやすいという点ですね。すでにライブではやってますし。

--- またオリジナル曲でも「Dig The Music (Afro Jam)」をはじめ、アルバムの至る所に音楽好きがニヤリとするようなフレーズが散りばめられていますがそのことについて教えてください。

日本人でメロウ系せつな系が得意な方はいくらでもいらっしゃるので、俺にしか思いつかないであろうフレーズ、このビートにこれをもってくるか!みたいな発想勝負と、歴史へのリスペクトを込めることで攻めてみました。あとはキーボードフレーズの歌い方、ですね。そこは他人が簡単に真似できない自分の個性だと思うので。

--- 最後に今後の目標を教えてください。

リスナーをニヤッとさせるような音楽制作、ライブ活動を続けていきたいですね。色んなイベントや企画も始めてるし、結果みんなをビックリさせたい&気持ちよくさせたい。その為には自分で自分にビックリ出来るような、チャレンジを癖にするような生き方を目指していきたいと思ってます。是非皆さん「SOUL大学」の授業を受けに、ライブに来てくださいね!

新譜Stop! Look! Listen!
“黒い現場” にこの男あり! フジロックを沸かせた話題のバンド45trio を軸に“ 生音” にこだわった3rdアルバム!ソウル・ファンならニヤリとするフレーズ満載、スリリングでライブ感溢れるキラーチューンからスウィートでメロウなソウルジャムまでヴィンテージソウルの風味をギュッと凝縮!日本が誇る『ソウルシーン最重要人物』『リアル・ソウルの伝道師』45 a.k.a. SWING-O、 2011 年の集大成が遂に完成!


profile

1万枚のセールスを記録し、iTunes Music Storeで3年経った今もチャートインし続ける1stアルバム『Hello Friends』、ヨーロッパでも高い評価を得て世界にその名を轟かせた2ndアルバム『The Revenge Of Soul』に続く3rdアルバム完成。KREVA、CHARA、ZEEBRA feat.AI、清水翔太、COMA-CHI、福原美穂、近藤房之助、さかいゆう、Steph Pockets、Gizelle Smithなど国内外問わず様々なアーティストのプロデュース、ツアーキーボード、リミックスを手がけ、バンド45trioでフジロック(オレンジコート)、Greenroomに出演。また椎名純平、竹内朋康らと組んだデジタル・ブラザーズでは、アラバキ、ライジングサンを沸かせ、さらにSWING-O presentsという形で、近藤房之助のニューアルバムをプロデュース。大御所・房之助氏と大阪モノレールやマウンテン・モカ・キリマンジャロといった若手を繋ぐ橋渡し役として活躍。また3月に行われたレーベルorigamiのチャリティイベントO2では進行役を務め、30名以上のミュージシャン、ラッパー(Twigy、COMA-CHIなど)やシンガー(さかいゆう、有坂美香、HanaH、Azumiなど)をまとめあげ、Ustreamで2万人が視聴(その日のUstream世界視聴者数4位を記録)、2011年様々なシーンで話題を振りまいている。