【インタビュー】so nice pt.2
2011年12月13日 (火)
オリジナル曲を歌う時は出来るだけ違うようにしようと思ってて
- -- 今回CD化されるきっかけとなったのがmixiの“シュガーベイブ”コミュニティーとのことで。
鎌倉 とある人がリサイクルショップで「ジャケットが気に入ったから」と、たまたまこのアルバムを2枚買って、1枚をオークションに出したそうなんですよ。そのオークションでこのアルバムの存在を知った人が「すごいレコードがある!」とmixiの”シュガーベイブ“コミュニティーで紹介したら、書き込みがダダダッと来て。
オークションでは最終的に5万円で落札されたこともあって、評判が口コミで広がって、有名なDJさんにも注目していただくようになって。その中の1人がウルトラヴァイヴさんに「これは絶対にCD化した方がいい」と推薦して下さって、私のYouTubeのアカウント宛に「リリースしませんか?」という連絡をもらったんです。- -- なるほど。鎌倉さんのmixiアカウント(アカウント名は“so nice”)のプロフィールを見させていただいたんですが、意外だったのが岡村靖幸のファンでもあるということで。
鎌倉 岡村靖幸さんも僕はフリークですよ(笑)。彼のポップセンスは最高だと思いますね。「だいすき」をホンダの車のCMで聴いて「これ誰!?」と思ってそこから遡って全部聴いて。どっちかというと「黒系」の音ですよね。シュガーベイブも後期は黒い音でしたけども。ソウルとかも聴くので、そういった要素も好きですね。
- -- ご自身の中ではその、音楽ジャンル的な比率というのはどのようなモノが多いですか?
鎌倉 大学を卒業してからは故郷の新潟に戻ったので、バンド活動も一旦休止したんですが、その頃、ちょうどCDというメディアが出始めた時期でもあったんで、単にリスナーとしていろいろ買ってましたね。それこそ達郎さんがラジオで放送したようなヤツとか。
ビーチボーイズ関連とかアメリカンポップスとかをやたら聴いてる時期もずーっとありましたけど、基本的には“ポップス”ですね。- -- 今回リリースした『LOVE』はリマスタリングしてのCD化ということですが、今聴き比べてみてどうですか?
鎌倉 ホントは当時のマスターテープがあれば良かったんでしょうけど、残念ながら見つからなかったのでアナログ盤からリマスタリングするしかないと。でも音圧を上げてもらったりとかで、グッと腰にくる部分がちゃんと甦ってきて。
欲を言えばヴォーカルを失敗してる部分があったので、もうちょっとリバーブを多くしても良かったかなって思ってたら、松島さんが「このくらいがちょうどいいよ」って。
松島 あんまりリバーブかけるとカラオケ屋さんみたいだからね(笑)。
リマスタリングで変な“生っぽさ”みたいなのは取れたかなって思いますね。当時はちゃんとしたスタジオで録ってないので。- -- 資料を拝見したんですが、お友達の自宅スタジオや部室で録られてたとか?
松島 そうですね。あとは私の自宅の部屋とか友達のアパートで。友達の自宅スタジオと言っても、簡単に防音してあって機材があるというだけで、あくまで自宅ですから、演奏するところはキッチンとかでしたね。あとは大学の映画学科のスタジオとか。
鎌倉 当時ポリフォニック・シンセサイザーが出たばっかりの頃で、6音同時に出るっていうのを知り合いが持ってると聞いて、その音を録るためだけに4トラックのMTRを持ってその人の家に行ったりして。すごい良い音だったんで急遽あの曲もこの曲も、って入れて。結構行き当たりばったりでしたね(笑)。- -- (笑)。でもその感じが良かったんだと思いますよ。
鎌倉 コーラスも理論とかはあんまり判らないんで、こう・・・ギターでコードを弾くじゃないですか。 そのコードの響きが良いなと思ったら、その音を単純に歌おうっていうやり方で。
あとはビーチボーイズをお手本に真似したりとか。達郎さんがカヴァーしたヤツを自分たちでカヴァーすると、何かヒントになるんじゃないかって松島さんに言われて。
松島 私は高校の時、合唱部だったんですよ。コーラスの部分とかある程度作り方が分かるので、それでやってみたりとか。
鎌倉 偶然にしろ、この歌の上手い2人(松島さん・中村さん)をコーラスに従えてやれたっていうのは奇跡に近いですね。
松島 ホメていただけるのはうれしいですが、私は全然上手くはないです(笑)。実際、なんと言っても、メインヴォーカル(鎌倉さん)の歌唱力ありきですから。彼の力は大きいですよ。
鎌倉 昔は「声が似てるから山下達郎の曲やってるんだろ?」とか言われてたんですけど、声が似てるっていうのは自分ではあまり意識してなかったですね。
確かに達郎さんの歌い方は「カッコイイ!」って思ってたから、そこは似てくるのはしょうがないと思うんです。特に達郎さんのカヴァーをやる時は似せるようにニュアンスを出さないといけないから、「ああ、ここは鼻にかけてるな」とか何度も聴き直したりしてましたけど、少なくともオリジナル曲を歌う時は出来るだけ違うようにしようと思ってて。- -- そんな作品が、30年後にリリースされるというのはどういうお気持ちですか?
鎌倉 リマスタリングが終わって「じゃあ聴いてみましょうか」ってなった時に、不覚にも泣いちゃいましたからね、感極まって。いろんなその当時のことがフラッシュバックして。良い環境のスタジオで聴かせていただいたっていうのもありましたけど。本当に感謝してます。
ちゃんとバンドや音楽をやってる人達からすると荒い部分が分かると思うんですけど、でもエッセンスというか当時としてはアイデアとかは悪くなかったんじゃないかと思うんですよ。でもそれを表現するテクニックが乏しかったという。その時、自分たちの持てる最高の技量を収めてはいますが。
ただ今でも通じるところがある音だとは思うんで、聴いていただいてソコを感じ取ってもらえると嬉しいですね。
松島 残念なところは見逃していただいてね(笑)。
今回リイシューというカタチでCDを出させていただきましたけど、私達らしいやり方でこのあとも続けていきたいですね。もし出来れば、春ぐらいに東京でもLiveを1回やれたらなって。情報はブログ(http://ameblo.jp/sonicelove)に随時Upして行きますので、チェックしていただけるとうれしいです。
左が当時のアナログ盤。今回のCD化にあたり、ロゴなど若干のデザイン修正が施されている。
下段はアナログ盤の歌詞カード。
- 新譜 so nice 『LOVE』
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シュガーベイブ&山下達郎ファン、そして和モノDJ諸氏は身悶えを禁じ得ない、79年に制作された幻の名盤が奇跡のCD化!
オークションで高額取り引きされ(その額なんと5万円!)、mixiの“シュガーベイブ”コミュニティ上で2007年から話題となっていたこのso nice 『LOVE』というアルバム。制作当時、一般に流通すらされておらず、自主制作で僅か200枚のみ、身内向けにプレスされたという極めてレアな作品で、ネット上での盛り上がりに端を発した今回の奇跡的とも言えるCD化によって、その誕生から約30年の時を経て初のリリースとなります。
so niceは、日本大学芸術学部のフォークソング・サークルに所属する学生だった鎌倉克行氏を中心に、1976年に結成されたアマチュアバンド。バンド結成の前年、鎌倉氏が偶然目撃したというシュガーベイブのLiveに大きな感銘を受け、楽曲のコピーに始まり、さらに達郎リスペクトと愛がふんだんに込められたオリジナル楽曲の制作を開始したso niceは、78年に開催されたビクター主催のコンテスト『大学対抗フォークソング・コンテスト』に出場し優勝。そのことをきっかけに“あくまで”記念として制作された、というのがこのアルバムの出自。 その後、音楽史に埋もれたこのアルバムは、前述のオークションなどにより一部のマニア・DJの間で幻のアルバムとして噂される存在に。耳のこえた達郎ファンをも唸らすその内容は、まさしく達郎マナーに則ったフォロワーの中でも一級の輝きを持った出来となっています。
so nice 『LOVE』
2011年12月14日 発売
[収録曲]
01. so nice
02. 光速道路
03. Last kiss
04. 陽だまり
05. Tight Night
06. Love sick
07. かけぬける風
08. Earth Mover
09. 別離 わかれ
10. Dancing all night long
- ボーナストラック -
11. so nice〜光速道路 (Live version)
12. Love Sick (Live version)
13. 私のほほにも流れ星 (未発表曲)
14. 77サンセット (未発表曲)
15. Dancing All Night Long (Live version)
16. so nice (KARAOKE)
【HMV ONLINEオリジナル特典】
こちらの商品をお買い上げの方に先着で「未発表音源収録CD-R」をプレゼント!※先着ですので、なくなり次第終了となります。
※特典の有無は商品ページにてご確認ください。
[収録曲]
01. 「Dancing All Night Long」(詞曲・鎌倉克行)
日本ビクター主催『大学対抗フォークソングコンテスト』(1978年12月開催)で優勝した翌年の1月に行われた、コンテスト上位3組によるライブでの演奏。
02. 「光速道路」(詞曲・鎌倉克行)
1979年2月、大学の近くにあったライブハウス・江古田マーキーで行われた、so niceラストライブでのアンコール・テイク。
03. 「声〜Arrive My Voice」(詞曲・鎌倉克行)
鎌倉克行が音楽活動を再開した後の2009年12月、身障者の方の詞に曲をつけて発表する『すまいるコンサート』に出品した作品。2編の詞を読み感じたイメージから作詞(歌詞に出てくる車は車椅子)。音源は鎌倉自身がギター、ベース、ストリングスを弾き、唄い、現・so niceメンバーの笹川加代がエレピを演奏し、音楽ソフト『Garage Band』で制作。
04. 「Earth Mover」(詞曲・鎌倉克行)
上記「Dancing All Night Long」と同じく、1979年1月に開催された日本ビクター主催『大学対抗フォークソングコンテスト』上位3組によるコンサートでの演奏。
05. 「しあわせになろう」(詞・田下謙吾/鎌倉克行 曲・鎌倉克行)
「声〜Arrive My Voice」と同じ『すまいるコンサート』に、2008年12月に出品した作品。当時、鎌倉克行が所属していたバンド『blue jam』による演奏。
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[so nice]
1975年5月24日、日本大学芸術学部1年生だった鎌倉克行が、ティンパンアレイ・カーニバルの前座を務めていたsugar babeに感銘を受け、会場でアルバム『songs』を購入し、コピーを開始。 翌年、所属していたフォークソング・クラブの定期演奏会直前、デュオを組んでいた相方が病に倒れたことから、ピンチヒッターとして出演した松島美砂子とのアコースティック・デュオ『so nice』がスタート。秋にはドラム、ベースなどを加えてプラグド・バンドとなり、学園祭でWindy lady、Down townなどを演奏。その後もsugar babeやソロとなった山下達郎氏の楽曲を次々カバーする。翌年には、ボーカル&コーラスの中村弘美が加入。この頃からコーラスワークを重視したオリジナル作品の制作に着手。最初に誕生した楽曲は、アルバムにも収録されている『LOVE SICK』。その翌年の定期演奏会には全曲オリジナルで臨む。同年12月、日本ビクター主催の『大学対抗フォークソングコンテスト』に出場し、優勝。1度だけ呉服店の催事で演奏した以外、定期演奏会と学園祭にしか出演したことのなかったバンド『so nice』が成し遂げた、まさかの快挙であった。これをひとつのきっかけとして卒業記念アルバム『LOVE』を制作。約2ヶ月かけて、大学のスタジオや部室、メンバーの自宅、ミキサーを務めた友人・松浪豊のホームスタジオなどで収録。ジャケットデザインはクラブの後輩の知人であった片岡修壱氏に、200枚のプレスはビクターに依頼。完成したLP盤をメンバーが1枚ずつジャケットに入れるという、まさに"手作り"の作品となった。2007年、その中の1枚がオークションに出品されたことをきっかけに『LOVE』は再び注目される存在に。著名DJ各氏からも高い評価を受け、2011年12月、CDでのリイシューに至る。
【メンバー】
鎌倉克行、松島美砂子、中村弘美
【セッション・メンバー】
坪井正彦、森信英、竹内嘉章、長南秀明、吉田浩二、松浪豊 他
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