【対談】 三宅洋平 x Shing02 -後編-

2012年5月15日 (火)

【対談】 三宅洋平 x Shing02 -前編-

三宅洋平、Shing02。共に音楽を中心にしながら様々な活動を行う表現者である二人の対談の後編。
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---社会的な事に関心を持ったきっかけは?

三宅洋平: 好奇心だよ。若い頃に陰謀論の話を聞かされて「何!?悪い奴等がいて世界を牛耳ってるだと?」って言いながら調べ初めたんだよね。そうすると経済の問題とかにぶち当たるんだよ。俺は「経済もお金もファック!」とか言って勉強なんてしてなかったから、まるでわからなくてさ。これは政治と経済を勉強しなきゃだめだと思って。 400年位前の金融社会の形成の経緯から見ていくと、「あーそういう事か」っていうのはわかってくるのね。 今って、取捨選択を迫られてると思うんだよ。より動物としてのフィーリングを重視した生き方と、それだけでは生きられないこの現状を克服するためのテクノロジーとのベストのバランスでの融合が要求されてる。 その中で、情報というのをどう精査するのか?特にこの一年、日本国内は無茶苦茶な情報の状況だったからね。俺は反原発やってたから、情報筋を持ってたし、政府・官僚が嘘をつく事も想定できてたんだよね。だから二日後には東京を出てたしね。「沖縄まで逃げる」っていう思い切ったアクション、そしてそれを「ツイートしまくる」っていうのが、その時に出来る一番のみんなに対するメッセージだと思ったんだよ。

---情報の精査って、勉強してないと出来ないですよね。

三宅洋平: 確かにそう。ただ根源的な事をひとつ言ってしまうと、俺がなんで勉強をしたかというと、“勘”が働いたからなんだよね。原発、放射能…これってヤバいよね?っていう所が出発点なの。だから厳しいようだけど、今までそこに対して無関心だった人たちが反省すべき点が何かと言えば、その“勘”の鈍さなんだよ。「やべぇ」って思ったら調べるもん。そのための情報は出揃ってる。 それは原発に変わってソーラーにっていう話ではなくて、根源的な暮らし方を一度反省しないと前には進めないと思うんだよ。 食物作ったことないでしょ?俺もなかった。それじゃあ、やるしかないでしょって言って、やってみた。やってみると一年で本当に多くの事がわかるんだよ。「自給自足は難しい」なんていうのはただの情報、思い込みだしね。だからどんどん突っ込んでいったらいいと思う。 「そんなの誰もが出来ることじゃないでしょ?」って言うやつもいると思うけど、“多分全員出来る”よ。都会のマンションのベランダでだって、一人が一年食べていけるだけのプランターは作れるもん。そう考えると自給率って言葉もだいぶ騙されてきたわけだ。一個一個そういう矛盾を自分達で潰してくしかないと思ってるから。

---深く考えないと、矛盾を矛盾とすら気付かずにスルーしちゃってる事も多いですよね。

三宅洋平: 多分、日本人はいい奴だから、面倒臭い人になりたくないんだよね。ドイツの行政訴訟は年間50万件、日本1800件。システムの問題もあるんだけど、根本的におとなし過ぎだよな。その性質の上にあぐらをかかれて来たわけだ。 311以降、多くの人が自分でいろんな事を調べ始めたし、納得いかない事に対して動き始めたじゃん。デモも一回参加すると、次はメッセージボードを作ってみようとか思ったはずなんだ。それだって続けているうちに“これで何がかわるの?”っていう疑問が浮かぶ。そこで市役所とか行政に自分が足を運んだら何かが動くかもしれない。とか考えていくと結局国会まで行き着いちゃうんだよ。国会議事堂の前をもっとファッショナブルにした方が良いと思う。多くのカラフルな価値観を持った人たちは、政治に不信は持つんだけど、参加してないんだよ。俺たちは一票以上の力を持ってるんだよね。法律とか紐解くと、俺たちに与えられた権限は選挙に参加するだけじゃないから。「俺たちはもっとやっていいんだよ」って事にみんなに気付いて欲しいから、まずは自分が突っ込んでいってそれを伝えていく。ブログ、ツイッター、そして音楽で。

Shing02: 工夫が必要ですよね。日本には「事実上の」っていう言葉があるじゃないですか?既成事実を一つ作るとうまく転がる事もあるんですよ。だから動かない岩のような現実をがむしゃらに押して変えるのではなく、別の場所に既成事実を作ってそこに小さい石を積み重ねていく事は可能だし、日本はそうやって変わってきた文化だと思うんです。 文句を言ったり、訴えたりしてるだけでは、時間が過ぎていくだけなんですよね。時間はみんなにとって本当に大切な資源だから無駄にしちゃいけない。 この一年で、僕が痛感した事は、時間が過ぎていくだけじゃなくて「僕達も時間と一緒に過ぎてっちゃってる」っていう事なんですよ。時間だけが過ぎて自分達は変わらないではダメなんです。自分達も時間と共に過ぎていっている事を認識しないと。 どんな仕事に就いていようと「一年間をどう過ごしたか」しかないんです。「自分が何をしてきたか」しか頼れない。 俺は日本人として日本に生まれましたけど、幸いなことに海外に住んで、行き来する中で、いろんな事を考えるわけですけど、日本人は「問題意識を持つ事が特別な事ではない」と思えるくらいに意識を変えていかなければいけないですよね。そうやっていろんなアプローチから工夫をしていかないと、今のままではエネルギーを浪費し過ぎるだけで、変わるものも変わらないと思う。 だから、みんなもうちょっとタフに、フレキシブルにならなきゃいけないし、多少反対意見でぶつかってもへこたれない。それは個人個人が学んでいく事だと思うんですよ。

三宅洋平: 僕も生まれがベルギーで、七歳で日本に帰ってきたんだけど、結局ヨーロッパってさ、自分のルーツ(先祖)、宗教を含めて、自分が何者であるかを自分の言葉で紹介出来なきゃアイデンティティが成り立たないわけよ。 バックパッカーをやる日本人って、日本では要求されなかった「自分の事を自分の言葉で話す」事を、初めて要求されるわけ。 日本にいるとその必要性にかられてなくて、むしろ「同化する技術」をみんな学ぶんだよ。だから「話し合いをし尽くしての“和”」を作るのは苦手なの。はじめから同じ者同士ではずれない事は得意なんだけどさ。 それは決して日本人の悪いところではないんだけど、今の時代状況において、その民族性は研究された上で使われてる。 “Still Occupied JAPAN”だっていう事実を認識しないと。じゃないと脱出できないから。

---なるほど。

三宅洋平: とにかく一個人としての自負なんだよね。自由に生きたいし、自分の納得いくものを食べたい。だから自分で沖縄で畑を耕し始めたんだ。沖縄ってのは、日本の中で数少ない神々と人々が密接に結びついているヤポネシア列島の原風景なんだよね。日本人が忘れたものをたくさん覚えている土地だ。いつかは一度住みたいとは昔から思ってたんだけど、原発事故が起こって、行くなら今だと思った。もう一度日本を距離を置いて見たかったんだよね。 俺は沖縄の人口一万人の町、本部町に移住したんだけど、そこを選んだ理由は、「一万人の町なら町の人全員と友達になれる」と思ったの。 例えば東京の杉並区に住んで百万人ひとりひとりに、自分の考えを説明して…って埒があかないんだよね。多すぎて。「一万人の町における俺一人」って言うのは、もっと作用出来ると思うんだよ。百万人でも一万人でも一行政区としては同じ扱いだから。一つの町が率先して変わって、既成事実を作る。その既成事実が一つある事で、それをサンプルとして他の町も動けるはずなんだよね。 そういうローカルのコミュニティーが、独立した強い思いの市民でまわってれば、狭小的なものでいいわけ。俺たちの手でなるローカルコミュニティーがネットワークで繋がりあってるのが、本当のグローバル社会のあり方だと思うから。

---近い所から変えていくと

三宅洋平: 原則だよね。極論言うよ。俺は見ての通り原理主義者だからさ(笑)そのバイアスで聴いてくれればいいんだけど。 「今、都会人であることが罪」なんだよ。自分の力で生きてないから、あまりに多くの事に気付かなくなってる。あまりに自分で何も作っていない。そして消費しかしていないんだよね。にもかかわらず、お金っていう今の社会でまわる権力だけはそこに集まってくるから、影響力はある。世の中の事を決めていくのはそこの人たちなわけだ。

---三宅さんの活動に関してはいかがですか?

Shing02: 人生におけるタイミングだと思うんですよね。僕はまだ子供もいないですし、仮にいたら自分でレポートを作る余裕もなかったかもしれない。 洋平君は、例えば沖縄に行くって決めて行動を起こしたからこそ、今の発言に説得力があるわけですよ。 僕もアクションを起こしてきて、振り返ってみると、それが形になるまでは結構労力を要するわけですよ。誰に頼まれたわけでもなく「自分で選択をする」っていう事はね。 まだそういうチョイスがあるっていうのは喜ばしい事なんですよ。だって僕等みたいな人は他の国だったら牢屋に入れられてる可能性も高いですし(笑)

三宅洋平: ホントだよね(笑)

Shing02: 歴史的に考えても、民族としての生き方、個人としての生き方は、変化してる。変化する事がひとつの流れであって、それに合わせてみんな変わっていけばいいと思うんですよ。なぜなら、周りが変化しているんだったら、自分だけ変化してない方が疲れるじゃないですか? 日本っていう国は、いろんな意味でスペシャルな国なんです。それは地理的にもこれだけ自然資源があったりとかね。全然捨てたもんじゃないんですよ、本当は。 それなのに、みんな逆だと決めちゃってる。マインドがコントロールされちゃってる。本当はスペースだってあるし、余裕があるんですよ、全然。だからそこは自分達で切り開いていく余地があると思ってます。 食料自給率にしても余力があるにも関わらず、それを使わずに文句を言ってる人がいるんですよ、上の方でね。 そう考えると、僕達が考えている以上にシンプルな答えが、すぐそこにあると思うんです。すぐみんなお金がどうのって言ってるけど、実際はインフォメーションの流れとか、マインドコントロールの方がポイントなんですよ。結局は自らがコントロールされてるかどうか?って話。だからコントロールされてるうちはお互いに牽制しあったり、そこにカオスが生まれると思うんで、そこから一歩引いて抜け出す、つまり都会を離れる事は、自分にとって良い事だと思う。誰の為でもなくね。 そういう思考さえ持てれば、たとえ都会の中にいても、もうちょっと違ったやり方とか、自分がコントロール出来る範囲で、いろんな選択肢が見えてくると思うんですよ。AかBだと思ってた選択肢が、実はA〜Zまであったみたいなね。本当はそういうのが現実だと思うんですよ。だって現実って言うのはランダムなものじゃないですか? そのランダムな現実にみんな秩序を求めた結果ここまできた。お金とかシステムにすがって、そこを上っていくのが成功だって教わってきたわけですよ。それは間違えではないけれど、ひとつの答えなだけであって、他に選択肢はあるはずなんです。それを知るだけでも、みんな自由になると思うんですよ。そもそも僕等は自由なんですから。 自分達で束縛してるっていうのが問題だと思います。 そういう事を、僕はいろんなところに足を運んで学んだ。アラブもアメリカもいろんなプロセスを経て、違ったタイプの変革の境地に差し掛かってるんです。経済的に、政治的に…。でも根源にあるのは一緒なんですよね。 「人々がコントロールされてる状況から、いかに抜け出すか」 いかに自分達で何かを作り上げて、希望を持てる形で自分達の能力を積み重ねていけるかっていうところだと思うんです。それは凄く原始的な行為ですよね?食べ物をつくったり。

三宅洋平: そう。よくさ、「知って行動して下さい」って言うけど、そこでみんな突っかかっちゃうと思うんだよね。最近ふと思ったのは「知るだけでいいです」って事。何もしなくていい。ただ本当の事を知って下さい。ただそれだけでいい。何故かと言ったら、生きてるという営みそのものが行動の連続なんだよね。だから知ってる人は、ちゃんとその行動を無意識に選んでるから、それだけで十分。なにも今まで以上に頑張る必要はないんだよね。

Shing02: 僕もそう思いますよ。“知ってる人”が多ければ多いほど、比例して“解ってる人”も出てくる。“解ってる人”は行動に移しますから。“知ってる人”は、何か変革に積極的に参加はしないかもしれないけど、間違えてる事にはこれ以上加担しないはずなんです。無意識に選択してる事は、小さな事から大きな事まであるわけじゃないですか?それだけパワフルな事だと思うんですよね、“知る”という事は。

三宅洋平: よく言う1:99の話。99%の富は1%の人が占有してるって話なんだけどさ。その1%の人の寄り所はなにか?っていうと、99%の人の日々の消費活動なんだよね。

Shing02: 99がないと1は成立しないわけよ。

三宅洋平: そう。「いち抜けた」って言って、一本は柱が抜けただけで、ガタガタって崩れさせる事に成りうる“1”なんだ自分は、っていう自負を持つ事。システムから脱却するために、よりクリエイティブに、自主的に、能動的に、自分なりのライフスタイルを構築していく。っていうところまで、ある程度の人が踏み込めばいい。 最初は大変だよ。例えば毎晩カップ麺を食ってた人が、いきなり玄米を食うのって大変じゃない?ちょっとしたジャンキーだからさ。抜かないと!

Shing02: それは毎晩毎晩、決まった時間にニュースを見てきた人が、急に他のソースから情報を得るのと一緒じゃないですか?それも、抜かないと!

三宅洋平: そうなの!で、そういうちょっとの頑張りは、ひとりじゃ出来ないんだよ。でももうひとりでも仲間がいれば出来ちゃうの。 禁煙と一緒だよね。“禁”じゃなくて、その先にあるものを、ちゃんと見据えていれば出来るはずなんだ。未だに貰いタバコをしちゃう俺が言ってるんだけどね。笑
だからこそ説得力あるんだよ。人間は矛盾を孕んでいるんだから。

---お二人とも話は尽きないですね(笑)

三宅洋平: 最後に一つ言わせてもらえるなら、この話をしよう。ガッツフィーリングっていう言葉があって、人間が本当に欲しいものは内臓が既に知っているんだよ。それは数万世代を生きながらえて来た遺伝子レベルでの感覚だから。 例えば買い物に行っていらないものまで買ってきちゃう事ってあるじゃないですか?その時必要なものそうでない物は、内臓は既に知ってるんだからその感覚を信じれば、無駄な買い物もなくなる。同じように、今東京にいるべきか、そうじゃないかだって自分の内臓に聞いてみる事だよね。

Shing02: いらない物を買わないようにするために、って話でこういうトリックもあって。並べられた商品の中でどれが欲しいかではなくて、まず商品全てが自分のものだと仮定する。つまり、そのお店を自分のクローゼットとして考えて、どれを着たいか。 これはいろんな事に当てはまって、自分が出来る出来ないで物事を考えるのではなくて、全て出来ると仮定する。その中から選択していった方が可能性が開けますよね。 ものの考え方としてゼロからスタートする必要はないんですよ。

---なるほど、ちょっと考え方をひねるだけで、ポジティブになれますよね。今日はいろいろと話を聞かせて頂いて有難う御座いました。

如何だっただろうか?自分の信念に従いアクションを起こし、そして自分が体験してきた事から生み出される言葉の一つ一つは、深く伝わったのではないだろうか?
三宅洋平、Shing02。この二人の表現者が2011年を経て、ほぼ時を同じくしてリリースする新作を聴いてみて欲しい。また何かを感じさせてくれるはずだから。

取材・文:松井剛 / 堀田祐介
写真:小林雅也
協力:ULTRA-VYBE / JAZZY SPORT
TIME OUT CAFE & DINER


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三宅洋平 新バンド(仮)ALBATRUS 5/30リリース!




(仮)ALBATRUS
『Albatrus』

収録楽曲

01. All Blues
02. Welcome To The Albatrus
03. 祝島帰り
04. コーヒー・ルンバ
05. ミエナイチカラ
06. 1/470 Party People
07. Feel So Good
08. ジプシーソング




5月30日発売

「声の魅力を感じましたね。抑揚なんですよ。ラップでもそうなんですけど、その抑揚の付け方で伝わり方は変わってくる。歌詞で何を歌っているかというよりも、そういう部分に僕は刺激を受けました。」
----- Shing02


10 年に渡る犬式の活動にピリオドを打った三宅洋平が、始動させた新バンド(仮)ALBATRUS。新バンドとはいえ活動自体は2010年頃からスタートしており、ライブを行ってきているので、ようやく作品リリース!といったところ。メンバーは、元晴(Sax-SOIL & PIMP SESSIONS)、 小林眞樹(b)、Peace-K(Dr/Perc)、 越野竜太(g- らぞく)。多様な音楽的バックグラウンドを持つメンバーの集合体らしく、ロック、ファンクを中心に、ラテン、ジャム、レゲエ/ダブ、アフリカなど様々な要素がブチこまれているのが印象的。
三宅洋平の社会への深い洞察力から導き出された、鋭く熱いメッセージが、これまでの作品以上に繰り広げられている作品とも言える。とくに朗読が印象的な「1/470 Party People」は、自分が社会に関わっている意識を想起させる刺激的な名曲だ。Cro-magnon「Tokyo Times」の朗読と同様、リスナーに激しく訴えかけてくるのだから。そして「Welcome to the albatrus」は、ギルスコットヘロン「革命はテレビには映らない」を意識した唄で、奇しくもこの楽曲の録音中Shing02がGAGLEのHUNGERと同タイトルの楽曲「革命はテレビには映らない」をリリースするという絶妙な一致もある。この“本当の表現者たち”による、内臓に訴える音楽を是非堪能して頂きたい。



  三宅洋平本人による全曲解説(本人ブログ)
  三宅洋平 Twitter


Shing02 最新作品 4/25リリース!




Shing02 × Chimp Beams
『ASDR』

収録楽曲

01. The Coda
02. Revelle
03. Sunbaked
04. Mixed Signals
05. Darjeeling
06. High Line Park
07. Masala
08. Envocar
09. Sunday Am
10. Aquatrium
11. 4:30Pm (Bonus)
12. Sunbaked Inst. (Bonus)
13. Aquatrium Inst. (Bonus)


4月25日発売

「“伝わる”って事に、言語の違いはあんまり関係ないんだよね。だって、ボブ・マーリーの歌とかは言葉がわからなくても伝わるじゃん。」
----- 三宅洋平


Shing02の最新作品は、NYを拠点に活動するエレクトロニック・ジャズ・ダブ・トリオChimp Beamsとのコラボレーション作品。Chimp Beamsによる生音主体の温かいトラックにShing02の英語詩が乗る。Chimp Beamsの過去の作品でも既に競演歴(「Aquatrium」)があり、相性が良いのは実証済だ。Shing02の英語詩の楽曲と言えば、「Pearl Harbor」「MY NATION」、Nujabesとの「Luv(Sic)」シリーズ、Eccyとの「ULTIMATE HIGH」、さらに直近ではi-depとの「fuku」など代表曲が多いが、この『ASDR』に収められた作品もまた語り継がれていく事は間違いない。
『ASDR』はShing02が2011年夏から冬にかけてNYに滞在した際に密なセッションを重ねて完成した作品。そこで直に見たオキュパイのムーブメントや、革命直後のエジプトを訪問した体験から得た感覚が『ASDR』という作品に反映されているのだろう。今回の対談相手、三宅洋平は、この作品を上記の様に評した。また「Chimp Beamsとは俺もやりたいと思ってた」とも。この“本当の表現者たち”による、内臓に訴える音楽を是非堪能して頂きたい。



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