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2012年6月15日 (金)
【第3回】 楽曲解説 by NONA REEVES・西寺郷太(Vocal)
西寺郷太です。ビルボード・レコーズから我々 NONA REEVES がリリースするカヴァー・アルバム《Choice》シリーズも第2弾。そして、このHMVでの連載も昨年に引き続き「恒例」のようなかたちになりとても嬉しく思っています。New Kids On The Block 「STEP BY STEP」
もちろん技術が進歩した現在に比べれば沢山の「不便」はあったものの、当時大流行したダブル・ラジカセを駆使すれば、あらゆるメディアから自分の好きな「コンピレーション」を自在に編集出来ました。小学生の頃から周囲でだんとつに音楽に詳しかった僕が「出来るだけ仲間とポップ・ミュージックの楽しさを共有したい」と練りに練りながら布教のようにクラスメイトのために作った無数のカセットが、現在の《Choice》シリーズや、普段の音楽活動の原点になってます。
そんな僕にとって「ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック」と言えば、まず思い出すのは日本での彼らの人気の起爆剤となった「ドデカホーン」(88年)のCMですね。覚えている方も多いんじゃないでしょうか?ソニーから発売されて大好評を博したあの名機CDラジカセ「ド・ド・ド・ド・ドデカホーン!」を。そして、人気絶頂を迎えた彼らがホンダのスクーター「スーパー・Dio」(90年)のCMにも登場。その時に歌い踊っていたのが、彼らの代表曲であり90年代を代表する「ヒット曲」この〈ステップ・バイ・ステップ〉です。22年前のヒット曲だなんて、今もなお信じられませんが。
僕はこの曲を手掛けたソングライター&プロデューサーのモーリス・スターの信奉者で、モーリスがニュー・キッズ以前に発掘し、成功させた黒人ティーンネイジ・アイドル・グループ、ニュー・エディションも大ファン。今回レコーディングに参加してくれた少し僕より世代の若いパーカッショニスト松井泉君(32歳)にも「ともかくシンセ・パーカッションが飛び交うモーリス・スター・サウンドを研究してや。俺、大ファンやねん」と23回くらいしつこく言っていたら「モノ」にしてくれました(笑)。
Pet Shop Boys with Dusty Springfield 「WHAT HAVE I DONE TO DESERVE THIS?(とどかぬ想い)」
この曲をカヴァーする際、(僕自身は心から愛しているのですが)少し通好みの「地味」な存在の曲じゃないか、という一抹の不安がありました。実際は、全英、全米チャート共に2位の特大ヒット曲ですが、今回の《Choice II》では全米チャート首位獲得曲や特大ヒットが目白押しなせいもあり、ある種の「贅沢病」で感覚がずれてたんでしょうね(笑)。特にゴールデン・ウィークに行われたビルボード・ライブ東京・大阪のライヴでいきなり(CDを聴いていないオーディエンスに向かって)この曲を「お披露目」するのは怖かったのですが、それは杞憂に終わりました。「ワラバイ」「ワラバイ」の連呼の中で生まれるこの曲独特のトランス感によって、「場」の空気を変える「魔法」のような力を持つキラー・チューンだということを改めて体感したんです。
自分では世の中のシンガーで最も僕に「声質」が似ているひとりが、ペット・ショップ・ボーイズのシンガー、ニール・テナントだと思っています。それもあり、この曲は本当にナチュラルに歌えました。「和製ダスティ・スプリングフィールド」真城めぐみさんとのデュエットも至福でした。
Madonna 「CRAZY FOR YOU」
そんな彼女にとってはじめての「バラード」での全米ナンバーワン獲得曲が、この〈クレイジー・フォー・ユー〉(85年)。歌詞を手掛けたのはカーペンターズのリチャード・カーペンターの大学時代の親友であり、彼らの〈イエスタデイ・ワンス・モア〉〈トップ・オブ・ザ・ワールド〉や、《Choice II》にも選曲したマイケル・ジャクソン〈ヒューマン・ネイチャー〉など永遠のエヴァーグリーンを多数生んだ名手ジョン・ベティス。日本で言えば、「松本隆」さんのような言葉の魔術を使うヒットメーカー/名作詞家です。
このヒットソングの誕生秘話として興味深いのは、ジョン・ベティスが映画『ヴィジョン・クエスト』のサウンドトラック盤のために提供していたこの詞が、そもそも「清純派・正当派」の女性歌手を念頭において書き上げられたということ。「〈クレイジー・フォー・ユー〉の歌い手がマドンナになった」という決定の電話連絡を、旅先の中近東の高級リゾート・ホテルで受けたジョン・ベティスは「まさか、あのバラードを『マドンナ』がっ!?歌うんかいっ!」と、大声を出して腰を抜かすほど驚いたと回想しています。日本で例えれば、テレサ・テンさん的な実力派シンガーを想像し「時の流れに身をまかせ」を書いたつもりが、「まさか、あのバラードを『きゃりーぱみゅぱみゅ』がっ!?歌うんかいっ!」と、言った感じでしょうか(笑)。
言いたいことは、すでにこの曲は「マドンナが歌う」時点で、作者のイメージをくつがえし「オリジナル曲」でありながら、「カヴァー」のような意外性があった、ということです。
今回9曲カヴァーしてみて実感したのが、実はマドンナの「歌のうまさ」。彼女が「歌がうまい」という認識は、あまりないと思います。例えば、この30年の間、彼女のライヴァルと見なされたホイットニー・ヒューストンや、マライア・キャリー、ビヨンセほどには。しかし、流石30年間常に最前線で「女横綱」を張り続けるマドンナ。ダンス・ミュージックであれ、バラードであれ、歌に「馴染みつつ」「飛び出る」能力が半端ない。時代や、それぞれの曲によって微妙な声色/声質/キャラクター設定の調整をミリ単位でコントロールしている。実は、彼女こそが「本当に歌がうまい歌手」なのではないか、だからこその長期にわたる「ナンバーワン」なのだ、と歌ってみて再認識しました。
今回は、メンバー3人の楽曲解説リレーということで、【第1回】のドラマー小松シゲル、【第2回】のギタリスト奥田健介からの最終走者としてバトンを渡されました。
ふたりの解説、それぞれメンバーである僕が読んでも「なるほど」という発見があり面白かったです。ちなみに僕は、実際のアルバム《Choice II》に1万2000字に及ぶ詳細な楽曲ライナーノーツを書いていますのでそちらも是非読んでみてください。
- 西寺郷太 -
NONA REEVES 『Choice II by NONA REEVES』
[2012年06月06日 発売]
【HMV ONLINEオリジナル抽選特典】
NONA REEVES 『Choice II by NONA REEVES』を、HMV ONLINE/HMV MOBILEで期間中にご購入されたお客様の中から抽選で10名様に「サイン入りCDジャケット」をプレゼント!※こちらの商品のCDジャケットに直筆サインが入ったモノになります。
【購入対象期間】〜2012年7月6日(金)まで ※以前にご予約いただいた方も対象となります。
【応募対象期間】2012年6月5日(火)〜2012年7月13日(金)
※HMV ONLINE本サイト及びHMV MOBILEサイト以外からのご購入、非会員でのご購入は特典対象外となります(HMV Yahoo!店、HMV 楽天市場ストアでのお買い上げは対象外です)。
※お客様の携帯にて指定着信許可をされている場合は、“@hmv.co.jp”のドメイン指定許可設定が必要になります。
※HMV ONLINE/HMV MOBILEでご注文頂いた場合、タイミングによっては対象期間を過ぎる場合がございますことをご了承下さい。
※当選は賞品の発送をもってかえさせていただきます。
収録曲 ※( )内はオリジナル・アーティスト
- 01. YOU GET WHAT YOU GIVE (NEW RADICALS)
- 02. STEP BY STEP (NEW KIDS ON THE BLOCK)
- 03. HUMAN NATURE (MICHAEL JACKSON)
- 04. THE POWER OF LOVE (HUEY LEWIS & THE NEWS)
- 05. WHAT HAVE I DONE TO DESERVE THIS? (PET SHOP BOYS WITH DUSTY SPRINGFEELD)
- 06. THAT'S THE WAY OF THE WORLD (EARTH, WIND & FIRE)
- 07. DON'T BE CRUEL (ELVIS PRESLEY)
- 08. TENDER (BLUR)
- 09. CRAZY FOR YOU (MADONNA)
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【連載】NONA REEVES 『Choice II by NONA REEVES』バックナンバー
洋楽カヴァー盤第2弾『Choice II by NONA REEVES』発売!メンバーによる全3回の楽曲解説連載がスタートです。
その他オススメ情報はコチラから!
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NONA REEVES『“Choice” by NONA REEVESの世界』
NONA REEVES初のカヴァー盤&ワーナー期ベスト盤の同時リリース記念連載! [2011年6月 掲載]
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巷の噂をふたり占め!西寺“ニッシ”郷太(NONA REEVES)と堂島“こぅくん”孝平によるアイドルユニット・Small Boysにいろいろ質問してみたゾ! [2012年3月 掲載]
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これまでNONA REEVES、須永辰緒が手がけてきた洋楽カヴァーアルバム『Choice』シリーズに南波志帆が登場!この選曲、最高! [2012年6月 掲載]
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【インタビュー】Sunaga t experience
NONA REEVESに続き、Billboard RecordsのカヴァーCDシリーズ『Choice』第2弾に登場したSunaga t experience・須永辰緒さんにインタビュー! [2011年12月 掲載]
インディーズ最新商品・チケット情報
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
featured item
Choice II by NONA REEVES
NONA REEVES
価格(税込) :
¥2,075
会員価格(税込) :
¥1,909
まとめ買い価格(税込) :
¥1,765
入荷日未定
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『Choice』シリーズ
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Choice by NONA REEVES
NONA REEVES
価格(税込) : ¥2,075
会員価格(税込) : ¥1,909
まとめ買い価格(税込) : ¥1,765発売日:2011年06月08日
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“Choice"by Sunaga t experience
Sunaga t experience
価格(税込) : ¥2,075
会員価格(税込) : ¥1,909
まとめ買い価格(税込) : ¥1,765発売日:2011年12月07日
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