【連載】NONA REEVES 『Choice II』(3) 『Choice II by NONA REEVES』楽曲解説へ戻る

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2012年6月15日 (金)

洋楽曲への憧憬とリスペクトをどストレートに表した、NONA REEVESによる絶品カヴァーアルバムの第2弾『Choice II by NONA REEVES』が6月6日にリリース! 本作では、NEW KIDS ON THE BLOCK「STEP BY STEP」やHUEY LEWIS & THE NEWS「THE POWER OF LOVE」など、80年代から90年代にかけての洋楽ヒット曲を絶妙な寝かせ頃で選曲&カヴァー。 今回の特集では、オリジナルのキラメキはそのままにNONA流にアップデートされたそれらの収録楽曲を、NONA REEVESのお三方にそれぞれ解説していただきました! 第3回目、リレー解説のトリを飾るのはヴォーカル・西寺郷太さん!



【第3回】 楽曲解説 by NONA REEVES・西寺郷太(Vocal)

西寺郷太です。ビルボード・レコーズから我々 NONA REEVES がリリースするカヴァー・アルバム《Choice》シリーズも第2弾。そして、このHMVでの連載も昨年に引き続き「恒例」のようなかたちになりとても嬉しく思っています。


New Kids On The Block 「STEP BY STEP」

 今回の《Choice II》のジャケットは、真っ赤なカセット・テープをモチーフにデザインされています。73年生まれの僕は「最後のレコード世代」であり、「最初のCD世代」でもありますが、なんと言っても自分にとっては「ダブル・ラジカセ世代」が一番しっくりきます。
 もちろん技術が進歩した現在に比べれば沢山の「不便」はあったものの、当時大流行したダブル・ラジカセを駆使すれば、あらゆるメディアから自分の好きな「コンピレーション」を自在に編集出来ました。小学生の頃から周囲でだんとつに音楽に詳しかった僕が「出来るだけ仲間とポップ・ミュージックの楽しさを共有したい」と練りに練りながら布教のようにクラスメイトのために作った無数のカセットが、現在の《Choice》シリーズや、普段の音楽活動の原点になってます。
 そんな僕にとって「ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック」と言えば、まず思い出すのは日本での彼らの人気の起爆剤となった「ドデカホーン」(88年)のCMですね。覚えている方も多いんじゃないでしょうか?ソニーから発売されて大好評を博したあの名機CDラジカセ「ド・ド・ド・ド・ドデカホーン!」を。そして、人気絶頂を迎えた彼らがホンダのスクーター「スーパー・Dio」(90年)のCMにも登場。その時に歌い踊っていたのが、彼らの代表曲であり90年代を代表する「ヒット曲」この〈ステップ・バイ・ステップ〉です。22年前のヒット曲だなんて、今もなお信じられませんが。
 僕はこの曲を手掛けたソングライター&プロデューサーのモーリス・スターの信奉者で、モーリスがニュー・キッズ以前に発掘し、成功させた黒人ティーンネイジ・アイドル・グループ、ニュー・エディションも大ファン。今回レコーディングに参加してくれた少し僕より世代の若いパーカッショニスト松井泉君(32歳)にも「ともかくシンセ・パーカッションが飛び交うモーリス・スター・サウンドを研究してや。俺、大ファンやねん」と23回くらいしつこく言っていたら「モノ」にしてくれました(笑)。



Pet Shop Boys with Dusty Springfield 「WHAT HAVE I DONE TO DESERVE THIS?(とどかぬ想い)」

 この曲はあらゆる意味で「50:50」の不思議な曲ですね。70年代の「アメリカ」が生んだゴージャスなソウル感が半分。いかにも80年代的な「イギリス」育ちの無機的なダンス・ミュージックが半分。情熱的なヴォーカルとラップ。新進気鋭のふたりの青年「ペット・ショップ・ボーイズ」と、スランプを経験したヴェテラン・シンガー、ダスティ・スプリングフィールド。男声と女声。それら相反するふたつの要素の融合具合が、この曲はちょうど「ど真ん中」なんです。もっともっとヒップホップよりの男女混合のデュエット作品はその後、90年代になって沢山生まれますが「とどかぬ想い」ほど「50:50」の調合バランスは、意外と存在しない気がします。
 この曲をカヴァーする際、(僕自身は心から愛しているのですが)少し通好みの「地味」な存在の曲じゃないか、という一抹の不安がありました。実際は、全英、全米チャート共に2位の特大ヒット曲ですが、今回の《Choice II》では全米チャート首位獲得曲や特大ヒットが目白押しなせいもあり、ある種の「贅沢病」で感覚がずれてたんでしょうね(笑)。特にゴールデン・ウィークに行われたビルボード・ライブ東京・大阪のライヴでいきなり(CDを聴いていないオーディエンスに向かって)この曲を「お披露目」するのは怖かったのですが、それは杞憂に終わりました。「ワラバイ」「ワラバイ」の連呼の中で生まれるこの曲独特のトランス感によって、「場」の空気を変える「魔法」のような力を持つキラー・チューンだということを改めて体感したんです。
 自分では世の中のシンガーで最も僕に「声質」が似ているひとりが、ペット・ショップ・ボーイズのシンガー、ニール・テナントだと思っています。それもあり、この曲は本当にナチュラルに歌えました。「和製ダスティ・スプリングフィールド」真城めぐみさんとのデュエットも至福でした。



Madonna 「CRAZY FOR YOU」

 奇抜なファッションを身にまとったマドンナが鮮烈にデビューしたのは今から30年前、80年代初頭のこと。ニューヨークでの下積み時代には生活のためにヌード・モデルを経験し、ゴミ箱に捨てられたハンバーガーも食べてまでサヴァイヴしてきたという彼女。音楽評論家・湯川れい子さんの回想によると、なんとデビュー当時のマドンナ、日本でのインタヴュー時に「ハワイで拾ってきた(マドンナ談)」若い男を隣にはべらせ、終止男の膝をなでまわしながら(!)湯川さんの質問に答えていたとのこと。今思えば、偽悪的なほど「性に奔放で」「不道徳な」「ディスコ上がりのキワモノ歌手」の名前が、「MADONNA(聖母)」であることは、特に英語圏で暮らす人々にとって逆説的にインパクト、違和感があったと想像します。「なんちゅう名前だ、けしからん」的な・・・。
 そんな彼女にとってはじめての「バラード」での全米ナンバーワン獲得曲が、この〈クレイジー・フォー・ユー〉(85年)。歌詞を手掛けたのはカーペンターズのリチャード・カーペンターの大学時代の親友であり、彼らの〈イエスタデイ・ワンス・モア〉〈トップ・オブ・ザ・ワールド〉や、《Choice II》にも選曲したマイケル・ジャクソン〈ヒューマン・ネイチャー〉など永遠のエヴァーグリーンを多数生んだ名手ジョン・ベティス。日本で言えば、「松本隆」さんのような言葉の魔術を使うヒットメーカー/名作詞家です。
 このヒットソングの誕生秘話として興味深いのは、ジョン・ベティスが映画『ヴィジョン・クエスト』のサウンドトラック盤のために提供していたこの詞が、そもそも「清純派・正当派」の女性歌手を念頭において書き上げられたということ。「〈クレイジー・フォー・ユー〉の歌い手がマドンナになった」という決定の電話連絡を、旅先の中近東の高級リゾート・ホテルで受けたジョン・ベティスは「まさか、あのバラードを『マドンナ』がっ!?歌うんかいっ!」と、大声を出して腰を抜かすほど驚いたと回想しています。日本で例えれば、テレサ・テンさん的な実力派シンガーを想像し「時の流れに身をまかせ」を書いたつもりが、「まさか、あのバラードを『きゃりーぱみゅぱみゅ』がっ!?歌うんかいっ!」と、言った感じでしょうか(笑)。
 言いたいことは、すでにこの曲は「マドンナが歌う」時点で、作者のイメージをくつがえし「オリジナル曲」でありながら、「カヴァー」のような意外性があった、ということです。

 今回9曲カヴァーしてみて実感したのが、実はマドンナの「歌のうまさ」。彼女が「歌がうまい」という認識は、あまりないと思います。例えば、この30年の間、彼女のライヴァルと見なされたホイットニー・ヒューストンや、マライア・キャリー、ビヨンセほどには。しかし、流石30年間常に最前線で「女横綱」を張り続けるマドンナ。ダンス・ミュージックであれ、バラードであれ、歌に「馴染みつつ」「飛び出る」能力が半端ない。時代や、それぞれの曲によって微妙な声色/声質/キャラクター設定の調整をミリ単位でコントロールしている。実は、彼女こそが「本当に歌がうまい歌手」なのではないか、だからこその長期にわたる「ナンバーワン」なのだ、と歌ってみて再認識しました。




 今回は、メンバー3人の楽曲解説リレーということで、【第1回】のドラマー小松シゲル、【第2回】のギタリスト奥田健介からの最終走者としてバトンを渡されました。
 ふたりの解説、それぞれメンバーである僕が読んでも「なるほど」という発見があり面白かったです。ちなみに僕は、実際のアルバム《Choice II》に1万2000字に及ぶ詳細な楽曲ライナーノーツを書いていますのでそちらも是非読んでみてください。

- 西寺郷太 -





NONA REEVES 『Choice II by NONA REEVES』
 [2012年06月06日 発売]

ビルボードによる洋楽カヴァー・シリーズ『Choice』に、去年に引き続き、日本のポップ・ミュージックの良心、ノーナ・リーヴスが登場。「マイケル・ジャクソンの伝道師」としてテレビ、ラジオ、執筆と大活躍、楽曲提供やプロデュースでも様々なアーティストとコラボレーションを続けるヴォーカル西寺郷太(彼はこの『Choice』シリーズの命名者でもある)をはじめ、ギター奥田健介、ドラム小松シゲルのふたりもプロデューサー、アレンジャー、セッション・ミュージシャンとして八面六臂の活躍。日本の音楽シーンになくてはならない存在となっているノーナ・リーヴス。前作『Choice by NONA REEVES』では、彼らが影響を受けたプリンス、マイケル・ジャクソン、ビーチ・ボーイズ、ビリー・ジョエルといった主に70年代から80年代にかけてのヒット曲をカヴァーし大好評を博した。そして今作では、彼ら自身が青春時代、リアルタイムに夢中になった80年代〜90年代の楽曲を中心に「チョイス」されている。スーパー・アイドル・グループ、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックの大ヒット曲「STEP BY STEP」や、ヒューイ・ルイスによるあの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の超有名曲、そしてペット・ショップ・ボーイズにマドンナ、ブラーと、80's〜90's感満載の最高に突き抜けたパーティー・アルバムに仕上がっている。そして、もちろんマイケル・ジャクソンのカヴァーも再び。西寺郷太自身が「前作が100点だとすると、今作は50000点」と語る、大好評の前作をもしのぐ、音楽への愛と情熱に溢れた素晴らしい1枚だ。



【HMV ONLINEオリジナル抽選特典】

NONA REEVES 『Choice II by NONA REEVES』を、HMV ONLINE/HMV MOBILEで期間中にご購入されたお客様の中から抽選で10名様に「サイン入りCDジャケット」をプレゼント!
※こちらの商品のCDジャケットに直筆サインが入ったモノになります。

応募方法】対象商品ご購入後(商品出荷時)に、メールにて応募フォームのURLをお知らせ致します。
購入対象期間】〜2012年7月6日(金)まで ※以前にご予約いただいた方も対象となります。
応募対象期間】2012年6月5日(火)〜2012年7月13日(金)

※HMV ONLINE本サイト及びHMV MOBILEサイト以外からのご購入、非会員でのご購入は特典対象外となります(HMV Yahoo!店、HMV 楽天市場ストアでのお買い上げは対象外です)。
※お客様の携帯にて指定着信許可をされている場合は、“@hmv.co.jp”のドメイン指定許可設定が必要になります。
※HMV ONLINE/HMV MOBILEでご注文頂いた場合、タイミングによっては対象期間を過ぎる場合がございますことをご了承下さい。
※当選は賞品の発送をもってかえさせていただきます。


収録曲 ※( )内はオリジナル・アーティスト

  • 01. YOU GET WHAT YOU GIVE (NEW RADICALS)
  • 02. STEP BY STEP (NEW KIDS ON THE BLOCK)
  • 03. HUMAN NATURE (MICHAEL JACKSON)
  • 04. THE POWER OF LOVE (HUEY LEWIS & THE NEWS)
  • 05. WHAT HAVE I DONE TO DESERVE THIS? (PET SHOP BOYS WITH DUSTY SPRINGFEELD)
  • 06. THAT'S THE WAY OF THE WORLD (EARTH, WIND & FIRE)
  • 07. DON'T BE CRUEL (ELVIS PRESLEY)
  • 08. TENDER (BLUR)
  • 09. CRAZY FOR YOU (MADONNA)








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※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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Choice II by NONA REEVES

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Choice II by NONA REEVES

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『Choice』シリーズ

  • Choice by NONA REEVES

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