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マリー=クレール・アランさん死去 点鬼簿へ戻る

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2013年2月28日 (木)

さる2月26日、フランスのオルガン奏者、マリー=クレール・アランさんが亡くなられました。心よりご冥福をお祈りいたします。

【プロフィール】
1926年8月10日、パリ近郊のサン・ジェルマン・アン・レイに誕生。父アルベールは作曲家でアマチュアのオルガニスト製作者、若くして亡くなった兄のジャンも作曲家という家庭に育ち、幼少からオルガンとピアノに親しんで育ち、11歳で父の代役として教会でオルガン演奏をおこなうなど、特別な環境でオルガンのセンスを磨いて行きました。
 1944年、連合軍によってパリが解放されると、彼女はパリ音楽院に入学、モーリス・デュリュフレに和声学を、シモーヌ・プレ=コサードにフーガを、マルセル・デュプレにオルガンと即興演奏を師事し、1950年にオルガン科を首席で卒業すると、ほどなくジュネーヴ国際コンクールに出場して首位を獲得、すぐにパリでオルガン・リサイタルを開いて注目されるようになり、翌1951年にはパリでバッハ賞を受賞しています。
 以後、パリの聖マリア教会を拠点に、オルガニストとして世界的な活動を展開、実演だけでなくレコーディングにも熱心に取り組みますが、一方で、フランス・オルガン音楽についての研究書も著し、さらに後進の指導にもあたるなど、その多彩な活躍ぶりには驚くべきものがありました。
 そうした活動が評価され、1974年に、レジョン・ドヌール勲章を授けられ、さらに翌年にはドイツのリューベック市からブクステフーデ賞を授与されてもいます。
 アランの演奏は、その驚異的な記憶力により、長期に渡って蓄積された膨大な知識と経験に基づく、曖昧さや曇りのない明快なスタイルに特徴があり、対位法にせよ和声にせよレジストレーションにせよ、常に明確な表現が志向されているのが印象的でした。
 レパートリーはバロックから20世紀作品までと幅広く、おこなったリサイタルの数も2000を超えていたといいますから相当なもの。
 アランは研究熱心なオルガニストでもあり、楽譜や楽器についての考察を欠かすことがなく、生涯に3度もバッハのオルガン曲全集を録音することになったのも、背景には、アラン自身の解釈の変化を反映させるという目的がまずあったものと思われます。また、そうした知識や技能を買われ、歴史的なオルガン本体の修繕や改修に際しても助言を求められることが多く、まさにマルチなオルガニストとして、20世紀オルガン界を代表する重要な存在となっていました。
 活動が国際的だっただけに、1970年代のはじめから日本もたびたび訪れており、常に暗譜で演奏するその姿はおなじみにもなっていました。

【代表作:三度目のバッハ全集】
1985年から93年にかけて録音されたアラン三度目となるバッハ全集は、ステレオ初期の最初の全集録音(1959-1967)、アナログ後期の二度目の全集録音(1978-1980)と同じく、フランスのエラート・レーベルによって制作されていますが、三度目の全集は、それまでと違って歴史的な楽器を用いて演奏がおこなわれたという点に大きな特徴があります。
 過去二度の全集も優れた内容を持ち、特に比較的短期間に集中的に録音された二度目の全集は音質も優秀だったため、僅か5年を経ての再録音着手には驚きの声も上がったものでした。
 アランによるこの三度目の全集録音着手の背景には、旧東ドイツ地区の歴史的なオルガンが、1980年代なかばから、西側に向けても公開されるようになったという事情があったようです。歴史的オルガンというと古びたイメージもありますが、それらの楽器は丁寧な修復作業の施されたもので、由緒ある銘器が本来の音色を取り戻して評判ともなっていました。
 二度目の全集では、スイスとデンマークのお気に入りのオルガンを用いてレコーディングをおこなったアランですが、実は最初の全集を制作した1960年代からすでに時代考証を経た奏法や楽器の選定についてその必要性を感じていたといい、バッハ、及び同時代の作曲家たちの演奏様式についても、音楽学者たちと討論を重ね、さらにバッハの音楽の神学的な面についても研究を積んでいたのだとか。
 そんなアランにとって、旧東独の楽器の公開というできごとは、かなり刺激的だったようで、実際、バッハの弾いたオルガンを演奏してみると多くの発見があり、演奏法についても様々なことが具体的にわかるようになったため、わずか5年を経ての同じレーベルでの再録音という異例の決断に踏み切るきっかけとなったようです。
 ここでアランは、ドイツ、オランダ、フランスにある、バッハが実際に弾いた、もしくは関わりがあったとされる場所の歴史的オルガンを中心に演奏しています。
 オルガンのレコーディングに豊富な経験を持つエラート・レーベルがデジタル機材を駆使して取り組んだこれらの録音は、技術面でも高い評価を得ており、各歴史的オルガンの特徴を克明に聴きとることができるほか、レジストレーションの達人でもあるアランならではの音色の美しさや響きの豊かさについても申し分のない水準で再現してくれているのがポイントとなっています。
 膨大な曲数となるバッハのオルガン曲全集で曲の配列は作品番号順ではなく、各ディスクごとに年代やテーマ別にまとめて構成されているため、一定の雰囲気が維持される場合が多く、連続鑑賞にも適した内容となっています。(HMV)

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ユーザー評価 : 5点 (5件のレビュー) ★★★★★

価格(税込) : ¥6,930
会員価格(税込) : ¥6,029

発売日:2011年04月30日

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