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【連載コラム】Akira Kosemura 『細い糸に縋るように』 第48回 細い糸に縋るように Akira Kosemuraへ戻る

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2013年7月10日 (水)

profile

[小瀬村 晶 / AKIRA KOSEMURA]

1985年生まれ、東京出身の作曲家・音楽プロデューサー。
作曲家として国内外の音楽レーベルからコンスタントに作品を発表する一方、企業広告や、アパレルブランド、公共施設、舞台、映画、TV、ウェブコンテンツなど、特定の分野に限定されることなく様々なコラボレーションを行っている。
今年に入ってからは、コンテンポラリーバレエ公演「MANON」の劇伴、東京スカイツリータウン(一部施設)の音楽や、ドキュメンタリー映画「はじまりの島」エンディングテーマ、「ANA Lounge」の音楽監修などを担当。
コンサート活動にも定評があり、これまでに「音霊 OTODAMA SEA STUDIO」、「中州ジャズフェスティバル」への出演や、自身のピアノ演奏による全国ツアー / 中国ツアーも成功させている。
また、作曲家のみならず、2007年にSCHOLE INC.を設立、プロデューサーとして音楽レーベル「schole」を運営、数多くの作品に携わっている。




僕が最初のアルバムを発表したのは2007年の7月頃。
つまりそれからちょうど丸6年くらい、僕はパブリックな場所に作品が発表されることを前提に、自分の曲を作ったり、何かのための曲を作ってきました。

自分のアルバムはサントラも含めると六枚作りましたし、それ以外にもレーベルを運営する人間としてたくさんの作品に携わらせて頂きました。
さらには、広告の音楽もいろいろと作らせて頂きましたし、アパレルブランドともコラボレーションさせて頂けたり、舞台の劇伴音楽や、ドキュメンタリーの劇中音楽、映画にも関われたり、コンサートもいろいろなところでやってきました。
そんなわけですぐ思いつきそうなことは、だいたいやらせて頂けていると思うと、本当に恵まれていた6年間だったなぁと思いますが、そんなもうすぐ7年目に突入するというこの時期に、なんと初めての体験ができました。

それはなにかといいますと、女性シンガーの方への楽曲提供です。
僕はいままで自分の作品のなかであまり歌曲を書いてこなかったので、歌曲の依頼というのは、僕の記憶違いでなければこれまで一度もなかったと思うのですが、6年目も終わりに近づいたこの時期に、とうとう初めての体験をさせて頂けたのです。

先に内容についてお話しておくと、7月3日に発売になりました、やなぎなぎさんのアルバム「エウアル」に収録されている一曲として、書き下ろし楽曲を提供させて頂いています。
楽曲のタイトルは「トランスルーセント」といいまして、作詞をされたやなぎなぎさん本人がタイトルも決めてくださっています。僕はこの楽曲の作曲と編曲を担当しました。

この曲、まず特筆すべきは、なんと日本語詞なんですね。
これまで僕が自分の作品のなかで手掛けてきた数少ない歌曲のなかにも、日本語詞の曲というのはなかったので、つまりこの「トランスルーセント」が僕にとって、記念すべき初めての日本語詞の曲になったわけです。
いままで僕は勝手に、日本語詞は自分のメロディーにはあまり合わないんじゃないかなぁと漠然と思っていたんですが、やなぎなぎさんが書いてくれた歌詞は、曲の持っているイメージに寄り添いながらも、楽曲自体をさらに豊かで深みのあるものにしてくれていて、僕のそんな心配は何処へ、とても素敵な一曲に仕上がっていると思います。

というか、やなぎなぎさん、本当に素晴らしい歌い手さんなんですよ。
いまさら気づいたの!?って思われる方もたーくさんいらっしゃると思いますが、すみません。勉強不足でした・・・
今回ご一緒させて頂いて、その歌声にすっかり魅了されてしまいました。
こんなにも美しくて儚く、少女性と女性の凛とした強さを併せ持った歌を歌える方が、しかもこんなに若い方で・・・いまの日本にいたんだなぁと、なんだかすっかり感動してしまいました。
そんなわけで、最近は毎日のように「エウアル」を聴いていますが、本当にどの曲も素晴らしいし、なによりその歌の表現力の幅広さには、もう脱帽というか、まったく心を打たれるばかりです。

そして、さらには作品の構成力、これがとても高いのです。
今回のアルバムはやなぎなぎさん本人がプロデュースされているというお話だったので、僕もやなぎなぎさんからの依頼を受けて作らせて頂いたのですが、今回のアルバムに収録されている楽曲を一曲ずつで聴くと、一見、まったく関係性のないように聴こえるそれぞれの音楽も、アルバム一枚の流れのなかで聴くと、それが自然と繋がってくるといいますか、浮き出てくるといいますか、練りに練られたその作品構成力に、そのプロデュース力にとても興奮しました。本当に素晴らしい作品です。

作曲家にとって、なにが一番幸せなことかなぁと考えたときに、自分が関わらせて頂けた作品を、手放しに心から愛せること。これに尽きるなぁと、また改めて強く思いました。

そんな、やなぎなぎ「エウアル」は絶賛発売中です。
ぜひ、店頭で手に取ってみてくださいね。
ちなみに映像集とカバー集が付いた初回限定盤が断然おすすめです。凄い重量感。


  http://www.akirakosemura.com/
  http://www.scholecultures.net/





Akira Kosemura 今月のオススメ

やなぎなぎ 『エウアル』 【初回限定盤 CD+特典(CD/Blu-ray)】  [2013年07月03日 発売]

2012年2月のメジャーソロデビュー以来、数々のアニメ主題歌を担当しライブやイベント出演も精力的にこなすシンガー、やなぎなぎ待望の1stソロアルバムが発売。1stシングル「ビードロ模様」はTVアニメ『あの夏でまってる』EDテーマに起用され、オリコンウィークリーチャート11位を記録。デビューからわすか1年で、TVアニメタイアップ曲を5曲担当し、いずれもスマッシュヒットを記録。今回の1stアルバムには、ソロメジャーデビュー後にリリースした全アニメタイアップ曲を収録。 (レビューより)



Akira Kosemura 最新作

Akira Kosemura 『SOLO』  [2013年07月13日 発売]

小瀬村晶によるライブ音源を収録したコンサートシングル。2011年の全国ツアー東京公演で演奏されたピアノソロ楽曲から4曲を収録。2月に発売されたピアノとヴァイオリンのデュオ編成楽曲のみを収録した「DUO」と対をなす作品。

【収録曲】
01. noel(2011.07.03 新宿文化センター)
02. moon(2011.07.03 新宿文化センター)
03. fragile(2011.07.03 新宿文化センター)
04. marriage(2011.07.03 新宿文化センター)



schole 最新作

[.que] 『drama』  [2013年05月11日 発売]

期待の新鋭音楽家 [.que](キュー)による、待望のフルアルバム。

これまでに自主制作の作品を含む二枚のアルバムを発表し、以降、数多くのイベントに出演するなど、着々とその音楽性を磨いてきた若干25歳の若き音楽家、柿本直によるソロプロジェクト[.que]。
昨年より、SCHOLEが行う東日本大震災支援プロジェクト「SCHOLE HOPE PROJECT」への参加や、SCHOLEレーベル五周年記念コンピレーションアルバム「Joy - schole compilation vol.3 -」への楽曲提供などを通じて、確かな音楽的飛躍を遂げてきました。
アコースティックギターを基調とした清涼感溢れるサウンドとメロディ、シンプルに聴かせながらも綿密に計算されたビート、そして要所に配置された女性コーラスなど、フォークトロニカ世代の新たな旗手として繊細で巧みな サウンドプロダクションを発揮した本作は、[.que]という音楽家が迎えた一つの到達点であり、また彼のこれからを多いに期待する素晴らしい作品に仕上 がりました。
レーベルメイトでありギタリストの Paniyolo も参加、共同プロデューサーとして 小瀬村 晶 監修。ミックス・マスタリングエンジニアに 井口 寛、アートワークを 菊地 慎 が担当。
日常のあらゆる場面を少しだけドラマティックに演出する、フォークトロニカの傑作と呼ぶに相応しい作品「drama」がここに誕生しました。



次回へ続く…(9/10更新予定)。






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