トップ > 音楽CD・DVD > ニュース > クラシック > 「ベルリン・フィル・ラウンジ」第85号:フィルハーモニー開場50周年

「ベルリン・フィル・ラウンジ」第85号:フィルハーモニー開場50周年 ベルリン・フィル・ラウンジへ戻る

%%header%%閉じる

%%message%%

2013年10月21日 (月)

ベルリン・フィル&HMV提携サイト
 ベルリン・フィル関係ニュース

【来日公演招待は締切間近です!】
DCH新規利用者登録で、48時間お試しチケット全員プレゼント&ベルリン・フィル来日公演に抽選6名様ご招待
この11月、ラトル指揮ベルリン・フィルの来日公演が行われます。デジタル・コンサートホール(DCH)ではそれを記念して、新しく利用者登録をされた読者の方全員に、48時間お試しチケットをプレゼントいたします(登録は無料)。さらに、応募者のなかから抽選で、11月18・19日に行われるサントリー・ホール(東京)での来日公演演奏会に、計6名様をご招待いたします。DCHのお試し視聴+チケット・プレゼントのダブル・キャンペーンです。

応募(利用者登録)方法:
@日本語版DCHの「チケット&クーポン券」のページを開いてください。
A右上の「クーポン券・優待券をお持ちの場合」の空欄に、英字半角でJAPAN2013を入力し、「クーポン券のコードを発信する」をクリック。
B利用者登録のフォームが表示されますので、各欄を入力後、「利用規約に同意します」をチェックして、「登録する」を押します。
C直後にメールアドレスに確認メールが届きますので、中に記載されているリンクをクリックしてください(必須)。

★お試しチケットの有効期間は、最初の映像を観始めた段階でスタートします。来日公演招待プレゼントへの応募は、上記の登録手続きを済ませれば、自動的に完了します。
★48時間チケットのプレゼントは、2013年9月20日より11月30日まで。来日公演招待プレゼントをご希望の方は、11月4日までにご応募ください(48時間チケットのプレゼントは、11月31日まで受けられます。ご利用はおひとり1回のみ)。
★来日公演招待券の当選は、11月9日までに当選者ご本人にご連絡させていただきます。なお、招待券の他人への譲渡・売却はできません。

皆様のご登録、ご応募を心よりお待ちしております。

キャンペーン応募(DCH利用者登録)はこちらから

フィルハーモニー開場50周年!

 ベルリン・フィルハーモニーは、世界のコンサートホールのなかでもとりわけ広く知られています。このホールが、この10月、開場50周年を迎えました。ベルリン・フィルでは、これを記念して特別演奏会(3プログラム)を行います。
 フィルハーモニーは、ドイツの建築家ハンス・シャルーンが設計しました。これが1963年10月15日にオープンした際、超モダンな外観・内観に対する評価は、分裂していたと言われます。しかし今日では、東京のサントリー・ホールに見られるように、ホールが新設される際の手本となるなど、現代のコンサートホールの原型として、高く評価されています。
 今回の記念演奏会は、すべてサー・サイモン・ラトルの指揮。まず2010年に初演されて大好評を呼んだピーター・セラーズ版「マタイ受難曲」(10月17〜19日)、本来の記念コンサート(20日)、そしてシェーンベルク《グレの歌》(26、27日)が演奏されます。
 ベルリン・フィルの公式サイトでは、戦前の旧フィルハーモニーから工事中、開幕に至る模様をまとめたフォト・ギャラリー、この50年間に登場したスター指揮者たちの写真等を紹介しています。ぜひご覧ください。

ベルリン・フィル公式サイト特別コーナー「フィルハーモニー開場50周年」

 最新のDCHアーカイブ映像

ゲーベルが、ベルリン・フィルデビュー!
2013年10月4日

【演奏曲目】
ルベル:組曲《四大元素》
モーツァルト:4つの管弦楽のためのノットゥルノニ長調
カンナビヒ:2つの管弦楽のための交響曲ハ長調
J ・Ch・バッハ:歌劇《ゴールのアマディ》より序曲と組曲

 ピリオド奏法の第一人者ラインハルト・ゲーベルがベルリン・フィルにデビューを果たしました。ゲーベルは1973年に古楽器アンサンブル「ムジカ・アンティクヮ・ケルン」を結成し、30年以上にわたって率いました。今回のプログラムでは、「モーツァルトがどのような音楽から影響を受けて大家へと成長したか」に焦点が当てられます。
 ハイドンより1年年長のクリスティアン・カンバビヒ(1731-1798)は、マンハイム楽派を代表する一人。シュターミッツの後を継いで、マンハイム宮廷楽団の楽長としても活躍しました。モーツァルトにも強い影響を与えた作曲家として、全部で90曲近い彼の交響曲から1曲が演奏されます。続くヨハン・クリスティアン・バッハは、1735年に大バッハの末子として生まれ、父親の死後、ポツダムのフリードリヒ2世の宮廷に仕える年長の兄カール・フィリップ・エマヌエルから作曲を学びました。後にミラノやロンドンで活躍したコスモポリタンであり、モーツァルトも尊敬する作曲家でした。お聴きいただくのは、1779年にパリで初演されたオペラ《ゴールのアマディ》より序曲と組曲。それと併せて、モーツァルトがザルツブルク時代の1770年代末期に書いた「ノットゥルノ KV286」をお聴きいただくことで、 これらの作曲家がモーツァルトの音楽に残した跡をはっきりと感じ取れるのではないでしょうか。

この演奏会をDCHで聴く!

シュテフェンスが、ベルリン・フィル・デビュー!
2013年10月11日

【演奏曲目】
ベートーヴェン:レオノーレ序曲第3番
シューベルト:
劇付随音楽《ロザムンデ》序曲
交響曲第3番ニ長調
B・A・ツィンマーマン:
大管弦楽のための1楽章の交響曲(1953年の第2稿)
チェロと小管弦楽のためのカンタータ《カント・ディ・スペランツァ》

チェロ:ルートヴィヒ・クヴァント
指揮:カール=ハインツ・シュテフェンス

 「ベルリン・フィルはもっとも重要な奏者の一人を失った。しかし、音楽界は意欲にあふれたマエストロを獲得した!」。2007年、カール=ハインツ・シュテフェンスが当時ソロ・クラリネット奏者だったベルリン・フィルを退団し、ハレ歌劇場の芸術監督に就任した際、『ターゲスシュピーゲル』紙はこう評しました。その1年後、シュテフェンスは《フィデリオ》を振ってベルリン国立歌劇場にデビューし、2009/10シーズンからはラインラント=プファルツ国立フィルの音楽監督に就任、以降ミュンヘン・フィルやバンベルク交響楽団など著名なオーケストラに客演してきました。今回、その彼が古巣のベルリン・フィルに指揮者としてデビューを果たしました。
 プログラムに並ぶのは、ベートーヴェンの《レオノーレ》序曲第3番とシューベルトの劇付随音楽《キプロスの女王ロザムンデ》、そして親しみやすい民謡調のメロディーにあふれた交響曲第3番。その間に挟まれる形で、ベルント・アロイス・ツィンマーマンの大管弦楽のための1楽章の交響曲、そしてチェロと小管弦楽のためのカンタータ《カント・ディ・スペランツァ》という強烈な表現力を持つ20世紀の作品が演奏されます。後者で独奏を務めるのは、ベルリン・フィル第1ソロ・チェリストのルートヴィヒ・クヴァント。シュテフェンスと旧知の音楽家たちとの息のあった演奏をお楽しみください。

この演奏会をDCHで聴く!

 これからのDCH演奏会

記念演奏会第1弾。セラーズの儀式化「マタイ受難曲」が再演!
日本時間2013年10月20日(日)午前2時

【演奏曲目】
バッハ:マタイ受難曲

生中継:日本時間2013年10月20日(日)午前2時

 2010年4月に行われ、絶大な評価を獲得したピーター・セラーズ版《マタイ受難曲》が再演されます。演出家本人により「儀式化」と呼ばれるセミ・ステージ形式の上演は、福音史家がイエス本人という驚きの解釈で、歌手たちの迫真の演技が話題を呼んでいます。同じ舞台が、今回一部キャストを変更して再演されますが、これはフィルハーモニーの50周年を記念する演奏会の第1段でもあります。ホールの様々な場所に演奏者が配置され、会場の空間を生かした上演形態となっています。
 3年前の上演では、単なるバロック奏法の模倣に留まらないドラマチックな表現が、「ポスト古楽時代の開幕」と評価されましたが、今回の演奏はどのようなものになるでしょう。 

この演奏会をDCHで聴く!

フィルハーモニー50周年演奏会
日本時間2013年10月21日(月)午前2時30分

【演奏曲目】
ガブリエーリ:第7および第8旋法によるカンツォーネ
リーム:《イン・シュリフトII》(初演)
ヴォーン・ウィリアムズ:タリスの主題による幻想曲
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調第1楽章
クルターク:ピアノと楽器群のための《…幻想曲風に…》
ベルリオーズ:《葬送と勝利の大交響曲》

ピアノ:内田光子
共演:ベルリン・フィル・オーケストラ・アカデミー団員
指揮:サー・サイモン・ラトル

 この晩は、フィルハーモニーの開場50周年を記念する演奏会の中核となるものです。会場空間を十全に利用する作品が選ばれており、楽器のグループがホールの様々な場所に配置されます。それにより、客席が舞台を囲むフィルハーモニーの「サラウンド効果」が、より具体的に実現されるコンセプトとなっています。
 ベートーヴェンの《月光ソナタ》は、「ほとんど幻想曲風に」という副題が付いていますが、この曲は、クルタークの《幻想曲風に》と共に内田光子により演奏されます。後者では、ベルリン・フィル・オーケストラ・アカデミーが演奏し、この記念演奏会を共に祝います。

生中継:日本時間2013年10月21日(月)午前2時30分

この演奏会をDCHで聴く!

ファミリー・コンサート《ブレーメンの金管音楽隊》。無料中継です。
日本時間2013年10月27日(日)午後12時

【演奏曲目】
バログ:ブレーメンの金管音楽隊

台本・司会:クラウス・ヴァレンドルフ

 グリム兄弟の生誕200周年に合わせ、今シーズンのファミリー・コンサートではグリム兄弟のメルヘンに焦点が当てられます。今回ベルリン・フィルの金管奏者によって上演されるのは、ロバ、イヌ、ネコ、ニワトリが活躍する、かの有名な《ブレーメンの音楽隊》。シャーンドル・バログの音楽、クラウス・ヴァレンドルフによる台本と司会進行でどうぞお楽しみください。

生中継:日本時間2013年10月27日(日)午後12時

この演奏会をDCHで聴く!

記念演奏会第3弾は、《グレの歌》!
日本時間2013年10月28(月)午前4時

【演奏曲目】
シェーンベルク:《グレの歌》

ソプラノ:ソイレ・イソコスキ
メゾソプラノ:カレン・カーギル
テノール:ステファン・グールド、ブルクハルト・ウルリヒ
バリトン:レスター・リンチ
語り:トーマス・クヴァストホフ
ベルリン放送合唱団
中部ドイツ放送合唱団
指揮:サー・サイモン・ラトル

 フィルハーモニー50周年祝祭週間の最後に上演される演目は、シェーンベルク作曲の大作《グレの歌》です。デンマークの詩人、イェンス・ペーター・ヤコブセンが1871年にデンマークの伝説をもとに原作を書き上げました。12世紀のヴァルデマール王がある少女に恋をし、自分のグレの城に呼び寄せますが、嫉妬深い王妃に毒殺されてしまいます。愛人を失った悲しみで狂気に陥った王は神を呪い、その罰によって家臣たちと共に成仏できないまま少女を探し求めてさまよう運命に.....。季節はやがて秋となり、王の救済が暗示されます。
 シェーンベルクは1899年にこの物語と出会い、最初は歌曲集として作曲するつもりでした。その1年後、彼はこの悲哀に満ちた精神ドラマを元に長大な作品を作り上げることに決めたのです。まだシェーンベルクが音楽の革命を起こす前の時代でした。こうして出来上がった《グレの歌》は、5人の独唱者、話者、合唱を含む後期ロマン派の壮大な作品となったのです。
 サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルがベルリン放送合唱団、中部ドイツ放送合唱団、ケルンWDR合唱団などの合唱団、さらにソイレ・イソコスキやステファン・グールドといった一流歌手のアンサンブルと共に、万全のキャストでこの上演困難な作品をお届けします。どうぞご期待ください。

生中継:日本時間2013年10月28日(月)午前4時

この演奏会をDCHで聴く!

 アーティスト・インタビュー

クリスティアン・ゲルハーヘル(後半)
「顔面共鳴だけに集中した歌い方は、不自然です」
聞き手:アルブレヒト・マイヤー(ベルリン・フィル、ソロ・オーボエ奏者)
2013年9月8日

【演奏曲目】
ルトスワフスキ:交響曲第4番
マーラー:《さすらう若人の歌》
ヤナーチェク:グラゴル・ミサ

ソプラノ:リューバ・オルゴナソヴァ
メゾソプラノ:藤村美穂子
テノール:ステュアート・スケルトン
バリトン:クリスティアン・ゲルハーヘル
合唱:プラハ・チェコ・フィルハーモニー合唱団
指揮:サー・サイモン・ラトル

 クリスティアン・ゲルハーヘルのインタビューの後半です。彼は今回は、技術的なことに多くの言葉を費やしています。声楽の世界では、響きを客席に飛ばすために顔面共鳴を利用しますが、ゲルハーヘルは意外にも、これが良くないと力説しています。彼の教師だったエリーザベト・シュヴァルツコップは、顔面共鳴の支持者で、「ドイツ的歌唱の真髄はコップシュティンメ(頭声)にある」とさえ言いました。しかしゲルハーヘルは、「極端な顔面共鳴の使用は、不自然な響きを作りだす」として避けているそうです。そういえば、シュヴァルツコップの後期の録音は、頭声に頼りすぎでほとんど鼻声となっていましたが、彼が否定するのは、そのような歌い方なのでしょう。

アルブレヒト・マイヤー 「技術的なことについておうかがいしたいのですが、例えばオーケストラ歌曲の場合、歌手は背後にオーケストラがあります。歌手は叫びがちになると思いますが、あなたはそれをどのようにして避けていますか」

クリスティアン・ゲルハーヘル 「私は基本的に、“テクニックを適用する”タイプの歌手ではなりません。“これこれこういう状況の時には、こうしたテクニックを学んで遣えば状況が改善する”、というような対処の仕方はできないのです。技術というのは、歌手の体とつながりが深いと思います。その体そのものがキャリアのなかで色々と変化していくので、万病に効く特効薬=テクニックというのは、ないような気がします。
 あなたの質問に直接答えるかたちではありませんが、私の場合、声のコンディションを維持するための基準はあります。ひとつは、発音が明瞭であり続けること。もうひとつは、母音の色が変化しないことです。大きなオーケストラと歌うときには、(心理的反応として)2種類の陥りやすい間違いがあります。ひとつは声を暗く、こもった感じにすることです。そうすると、歌手は大きな声を出している、という気持ちになります(実際は響きが飛ばず、だみ声になります)。もうひとつは、響きを明るくして、極端な顔面共鳴で歌うことです。顔面共鳴を使うと遠くまで音が届くので、オケを越えて声を響かせられる、と感じられるのです。
 私はこの両方とも、(特にリート歌唱にとっては)良くないと感じています。というのは、両方の場合で、声の自然さが失われるからです。声楽の歌い方というのは非常に人工的な声の出し方なので、“自然さが失われる”という言い方をするのはおかしいかもしれませんが…。顔面共鳴で急場をしのぐというのは、プロの歌い手の間では頻繫にある反応です。しかしそれをすると、音色が鼻声的になり、不自然になるのです。マーラーの歌曲、とりわけリュッケルト歌曲集や《さすらう若人の歌》では、室内楽的なパッセージはたくさんあります。歌手は、そういう瞬間に自分を立て直して、自然な声を出すべきでしょう。
 専門用語では、フラウタンドというのですが、フルートの息の流れのように開いた口で、音が自然に出てくるような呼吸のコントロールをすべきです。そうすれば、明るい響きは自然についてくると思います」

マイヤー 「よく舞台裏で、歌手が鼻に掛かった極端に明るい音色で話しているのを聞きますね。そうではなくて、もっと開いた響きの方がいい、ということですね」

ゲルハーヘル 「顔面だけに集中しない響きです。極端な顔面共鳴は、私自身もよく陥りがちなのですが、できるだけ避けようと思って歌っています」

この演奏会を聴く!

 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

シャイーがミラノ・スカラ座の音楽監督に
 伊『コッリエーレ・デッラ・セーラ』紙によると、リッカルド・シャイーがミラノ・スカラ座の次期音楽監督に就任するという。劇場側はこのニュースについて、現在のところまだ公式な見解を発表していない。
 同紙は、現職のダニエル・バレンボイムは、2016年末までの現在の契約から辞退し、早期にシャイーにポストを譲るだろうとも記している(写真© Mothes)。

M・ザンデルリングがドレスデン・フィルの契約を延長
 ミヒャエル・ザンデルリングが、ドレスデン・フィルとの契約を2019年まで延長するという。ザンデルリングは、現職に2011年よりある。
 ドレスデン・フィルでは、彼がオーケストラの伝統的なレパートリーに加え、現代音楽を数多く取り上げたことが評価されているという。

ウィーン国立歌劇場がネット配信を開始
 10月27日より、ウィーン国立歌劇場がネットによるライブ映像配信をスタートする。これは、ベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールと似たストリーム・サービス(有料)で、年末までに3つのオペラが上演される。
 クオリティはハイビジョンで、8台のカメラにより収録。固定式の正面の画像と、通常のオペラ映像との両画面が選べる仕組みだという。
 最初の中継は、ルネ・フレミング主演の《ばらの騎士》で、料金は14.90ユーロとなっている。ちなみに現在のところ日本語サイトはない。詳細は、www.staatsoperlive.com を参照。

次号の「ベルリン・フィル・ラウンジ」は、2013年11月1日(金)発行を予定しています。

©2013 Berlin Phil Media GmbH, all rights reserved.

DCHアーカイヴ検索