シュライヤーマッハー／１９５０年代ピアノ音楽

2013年10月23日 (水)

Artefacts～１９５０年代ピアノ音楽
シュライヤーマッハー

ジョン・ケージ・ボックスはじめとする20世紀作品で実績を積んできた1960年生まれのドイツのピアニスト、シュライヤーマッハーが、自分が生まれる直前の1950年代に書かれたピアノ音楽を集めたアルバムを制作。
　この時期は第二次大戦後の混乱が収まり、各国政府による音楽分野への支援制度なども安定しつつあった時期で、作曲面でもそうした事情を背景に多彩な技法が花開いた時期でもありました。
　シュライヤーマッハーはそれらの中から、以下の作曲家のピアノ作品を選んで演奏しています。

クリスチャン・ウルフ [1934- アメリカ]
ルイージ・ダラピッコラ [1904-1975 イタリア]
周文中 [1923- アメリカ]
ベルント・アロイス・ツィンマーマン [1918-1970 ドイツ]
パウル・デッサウ [1894-1979 ドイツ]
シルヴァーノ・ブソッティ [1931- イタリア]
ヴィトルド・ルトスワフスキ [1913-1994 ポーランド]
ゴナ・ベアウ [1909-1989 デンマーク]
ハンス・ウルリッヒ・エンゲルマン [1911-2011 ドイツ]
ガリーナ・ウストヴォリスカヤ [1919-2006 ロシア]

アルバムの最初と最後を飾るクリスチャン・ウルフは、シュライヤーマッハーが好んで演奏する作曲家で、hatARTレーベルへのレコーディングもおこなっていましたが、この「3台のピアノためのソナタ」はたしかこれが初めて。実演では３人で演奏していましたが、このアルバムでは、新たな試みとして多重録音をおこなっています。
　ダラピッコラの「アンナリベラの音楽帳」は、愛娘の誕生日のために書かれたもので、バッハへのオマージュとも言われる12音作品。
　周文中はエドガー・ヴァレーズの弟子として、その遺産の管理者としても知られた中国出身のアメリカの作曲家。ここではヴァレーズの影響を受けた作品を聴くことができます。
　ベルント・アロイス・ツィンマーマンは、自分音楽への世間の無理解を嘆き52歳でピストル自殺した作曲家ですが、現代では『軍人たち』などはよく聴かれています。ここではセリーの技法に取り組んだ作品を収録。
　その他、デッサウ、ブソッティ、ルトスワフスキ、ベアウ、エンゲルマン、ウストヴォリスカヤという様々な作風の作曲家たちが、前衛全盛期とも言われた50年代にどのような作品を書いたか、聴き較べも楽しみな興味深いアルバムの登場です。（ＨＭＶ）

【収録情報】
・ウルフ：3台のピアノためのソナタ（第1稿）
・ダラピッコラ：アンナリベラの音楽帳
・周文中：柳は息吹
・ツィンマーマン：コンフィグラツィオーネン（8つの小品）
・デッサウ：3つの間奏曲
・ブソッティ：3手のためのピアノ曲
・ルトスワフスキ：牧歌
・ベアウ：エクラテメント V
・エンゲルマン：組曲第1番
・ウストヴォリスカヤ：ピアノ・ソナタ第4番
・ウルフ：3台のピアノためのソナタ（第2稿）

　シュテッフェン・シュライヤーマッハー（ピアノ）

　録音時期：2012年12月
　録音場所：マリエンミュンスター修道院
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）