宗教の道を選んだピアニストのデッカ録音

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2013年12月26日 (木)

宗教の道を選んだピアニスト
ジャン＝ロドルフ・カールスのデッカ録音が復活

ジャン＝ロドルフ・カールス[1947- 墺→仏]は、リーズ国際コンクールとメシアン国際コンクールに入賞し、コンサートやレコーディングで活躍しながらも、３０代にして宗教の道に進むためにプロのピアニストとしての活動に終止符を打ち、やがて司祭になってしまったというユニークなキャリアの持ち主。
　現役時代のカールスは、フランツ・リストの演奏でも有名なほどの技巧派でもありましたが、その持ち味は抒情的な表現にあるともいわれ、詩情豊かでしかもムダのない表現を安定感のある技巧で実現していました。

ドビュッシー：前奏曲集、幻想曲、メシアン：『２０の眼差し』より、『イソヒヨドリ』（２ＣＤ）
ジャン＝ロドルフ・カールス
ギブソン＆ロンドン響

このアルバムには、若きカールスが挑んだフランス近現代作品が収められています。ドビュッシーの前奏曲集第1巻と第2巻全曲、ピアノと管弦楽のための幻想曲、そしてメシアンの『幼子イエスにそそぐ20の眼差し』から「悦びの精霊の眼差し」と「沈黙の眼差し」、『鳥のカタログ』から「イソヒヨドリ」という構成になっています。
　カールスは元々はオーストリア人でしたが、のちにフランスに帰化するほどフランスを好んでいたので、こうしたプログラムにも説得力があります。（ＨＭＶ）

【収録情報】
ドビュッシー：
1.　前奏曲集第1巻（全曲）
2.　前奏曲集第2巻（全曲）
3.　ピアノと管弦楽のための幻想曲

メシアン：
4.　『幼子イエスにそそぐ20の眼差し』より「悦びの精霊の眼差し」「沈黙の眼差し」
5.　『鳥のカタログ』第1巻より第3曲「イソヒヨドリ」

　ジャン＝ロドルフ・カールス（ピアノ）
　ロンドン交響楽団（3）
　アレグザンダー・ギブソン（指揮：3）

　録音時期：1971年1月（1,2）、1969年5月（3）、1968年7月（4,5）
　録音場所：ロンドン、セント・ジョンズ・スミス・スクエア（1,2）　キングズウェイ・ホール（3）　デッカ第3スタジオ（4,5）
　録音方式：ステレオ（アナログ／セッション）

シューベルト：さすらい人、即興曲
ジャン＝ロドルフ・カールス

シューベルトはそうしたカールスの芸風によく合うもので、前期古典派らしい端正なフォルムは維持しながらも作品にふさわしい情感を盛り込んだアプローチは魅力十分なものとなっています。（ＨＭＶ）

【収録情報】
シューベルト：
・幻想曲ハ長調 D.760, op.15『さすらい人』
・3つのピアノ曲（即興曲）D.946～第1番変ホ短調、第2番変ホ長調

　ジャン＝ロドルフ・カールス（ピアノ）

　録音時期：1970年8月
　録音場所：ロンドン
　録音方式：ステレオ（アナログ／セッション）