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2014年2月7日 (金)
ベルリン・フィル関係ニュース
ヴァルトビューネ・コンサートの指揮がラトルからドゥダメルに変更 サー・サイモン・ラトルと夫人のマグダレーナ・コジェナーは、6月に3人目の子供の出産を控えています。このためラトルは、2014年6月27日のヴァルトビューネ・コンサートと、6月21〜28日の演奏旅行の指揮をキャンセルしました。代役には、グスターボ・ドゥダメルが迎えられます。 プログラムは、当初のコダーイとビゼーの作品から、チャイコフスキー《嵐》および《ロメオと・ジュリエット》に変更されます。一方後半のブラームス「交響曲第1番」は、変更なしで演奏される予定です。 ベルリン・フィル公式サイトの記事
最新のDCHアーカイブ映像
アバド追悼演奏会の映像がアーカイブにアップ 2014年1月25日 【演奏曲目】 マーラー:交響曲第5番よりアダージェット ウェーベルン:管弦楽のための6つの小品 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》 R・シュトラウス:《英雄の生涯》 ピアノ:ルドルフ・ブッフビンダー 指揮:ズービン・メータ 1月20日に、クラウディオ・アバドが80歳で亡くなりました。ベルリン・フィルは、前首席指揮者の彼に、深い哀悼の意を表します。1月23〜25日の演奏会は、彼を追悼する演奏会として行われました。指揮は、アバドと40年以上にわたって友人関係にあったズービン・メータ。予定されていた演奏曲目に加えて、コンサートの冒頭には、マーラーの交響曲第5番より第4楽章アダージェットが演奏されました。 アバドはマーラー指揮者として、ベルリン・フィルでも数々の名演奏を繰り広げ、オーケストラのマーラー解釈に多大な影響を及ぼしました。今回の選曲は、それを祈念するものとなります。アバドは新ウィーン楽派の解釈でも知られ、ウェーベルンの管弦楽のための6つの小品も、ベルリン時代に数回にわたって指揮しています。その透明で繊細な音調は、アバドの音楽性に強い親近性を持っていると言えるでしょう。なおこの作品は、ウェーベルン自身の母の死を契機に書かれたもので、4曲目は葬送行進曲として作曲されています。 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番は、《皇帝》のニックネームで知られる通り、ヒロイックな性格を示しています。それはR・シュトラウスの《英雄の生涯》でも同様ですが、アバドはそうした華麗で色彩感に溢れた演奏も得意としていました。しかし彼の演奏では、同時に人間味に溢れた叙情性も、決して失われることはなかったのです。 ※当演奏会でのメータのインタビューが、この号の後半に掲載されています。ぜひご一読ください。 この演奏会を観る! ミューラー=ショットがドヴォルザーク「チェロ協奏曲」で代役デビュー 2014年1月31日 【演奏曲目】 ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 リンドベルイ:《クラフト》 チェロ:ダニエル・ミューラー=ショット 指揮:アラン・ギルバート この演奏会では、ニューヨーク・フィルの音楽監督を務めるアラン・ギルバートを客演指揮者です。ギルバートがベルリン・フィルの定期演奏会に登場するのは今シーズンこれが2度目。前半はダニエル・ミューラー=ショット(トルルス・モルクの代役)を独奏に、ドヴォルザークのチェロ協奏曲を共演しています。交響曲的な堅固な構成を持ち、技術的な難易度の高さでも知られるこの作品は、独奏チェロのために書かれた金字塔であるだけでなく、この楽器のあらゆるヴィルトゥオーゾにとっての試金石とも言えるでしょう。 後半のプログラムは、1980年代中期、マグヌス・リンドベルイがベルリンのパンク・シーンからインスピレーションを受けて作曲した《クラフト》。リンドベルイはベルリンのパンクに強い興味を抱き、その激しいエネルギーと実験的な音響に魅了されていました。作曲家は語ります。「私はこの音楽にショックを受け、同時にいくらか嫉妬心を抱いたのです。そして、自分にこう問いかけました。『古典的なオーケストラの資産を使って、いくらか似た作品をなし得ないだろうか』と」 この曲に熟練したアラン・ギルバートによると、《クラフト》は「上演することが一つの出来事となるような並外れた作品」。巨大編成のオーケストラがホール中に散らばって演奏するコンセプトは、客席が舞台を取り囲むフィルハーモニーの構造によく適ったものと言えるでしょう(作曲家自身もピアニストとして演奏に加わります)。このスペクタクルな作品をどうぞお楽しみください。 この演奏会を観る! ブロムシュテットの幻想交響曲 日本時間2014年2月9日(日)午前4時 【演奏曲目】 ヒンデミット:交響曲《画家マティス》 ベルリオーズ:幻想交響曲 指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット 2月最初の定期演奏会に客演するのは、現在86歳のヘルベルト・ブロムシュテット。彼は自分の音楽への信条をこう話しています。「語るべきは音楽です。音楽ができるだけ多く、私はできるだけ少なく語る。それが私の役割だと考えています」。そのような誠実な仕事が評価され、ブロムシュテットはドレスデン・シュターツカペレ、サンフランシスコ交響楽団、北ドイツ放送交響楽団、ランプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団など名門オーケストラの音楽監督を歴任してきました。 ベルリン・フィルにはこれまで定期的に客演し、中でもブルックナーの交響曲を頻繁に指揮してきたブロムシュテットですが、今回取り上げるのはベルリオーズの幻想交響曲。これはベルリオーズ自身の失恋体験を元にしたドラマチックな標題音楽であり、第3楽章では舞台裏からオーボエと鐘が奏でられ、音楽空間に広がりがもたらされます。極めて劇的でおどろおどろしい終楽章「魔女の夜宴の夢」について、1843年「一般音楽新聞」は「この音楽に比べると、《魔弾の射手》の狼谷の音楽は子守唄に過ぎない」と伝えました。 当夜のもう一つのプログラム、ヒンデミットの交響曲《画家マティス》は、1934年3月12日にフルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルによって初演された作品です。16世紀ドイツの画家マティアス・グリューネヴァルトの「イーゼンハイム祭壇画」の3つの作品が各楽章の題材になっており、ヒンデミットは初演のプログラムで「音楽の素材を使って、絵画の鑑賞者が喚起するのと同じ感情に近づけたかった」と書いています。 生中継:日本時間2014年2月9日(日)午前4時 この演奏会を観る! ラトルと内田光子がモーツァルトで共演 日本時間2014年2月16日(日)午前4時 【演奏曲目】 メシアン:《異国の鳥たち》 モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番 ハイドン: 交響曲第64番、第90番、及び《天地創造》、 《十字架上のキリストの最後の7つの言葉》からの 抜粋による想像上のオーケストラの旅 ピアノ:内田光子 指揮:サー・サイモン・ラトル 首席指揮者サー・サイモン・ラトルによる2014年最初の定期演奏会は、内田光子をソリストに迎えて行われます。内田とラトルはこれまで数多く共演し、特にモーツァルトでは2007年ジルベスター・コンサートのニ短調協奏曲における白熱した名演奏が思い出されます。今回共演するピアノ協奏曲第18番はモーツァルトが1784年にウィーンで作曲した作品で、その2年後に完成する《フィガロの結婚》のアリアと酷似したメロディーも登場するなど、軽快な雰囲気を持っています。 モーツァルトの前に、やはり内田光子を独奏にメシアンのピアノと小管弦楽のための《異国の鳥たち》が演奏されます。敬虔なカトリック教徒だったメシアンは、鳥の歌声の中に創造主である神への愛を見いだし、様々な鳥の声の複雑なリズムや間を楽譜に書き写していきました。メシアンは色を「聴き取り」、音を「見る」ことのできる、いわゆる共感覚の持ち主で、鳥の声は彼にとって創作の源泉であり続けたのです。この《異国の鳥たち》はメシアンが1950年代半ばに作曲した作品で、いまでは現代音楽の古典に位置づけられています。 コンサートの締めくくりは、サイモン・ラトルがかねてから共感の念を寄せるハイドンの音楽。今回は、交響曲、《天地創造》、及び《十字架上のキリストの最後の7つの言葉》からの抜粋による「想像上のオーケストラの旅」と題した、特別プログラムにてお届けします。どうぞご期待ください。 生中継:日本時間2014年2月16日(日)午前4時 この演奏会をDCHで聴く!
アーティスト・インタビュー
ズービン・メータ(前半) 「私たちはウィーンで2年間、本当に毎日一緒に過ごしたのです」 聞き手:マルティン・シュテーグナー(ベルリン・フィル ヴィオラ奏者) 2014年1月15・25日 【演奏曲目】 1月15日 クラム:《子供たちのいにしえの声》 ブルックナー:交響曲第9番 1月25日 マーラー:交響曲第5番よりアダージェット ウェーベルン:管弦楽のための6つの小品 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》 R・シュトラウス:《英雄の生涯》 ソプラノ:マーリス・ペーターゼン ピアノ:ルドルフ・ブッフビンダー 指揮:ズービン・メータ アバド追悼演奏会に際してのメータのインタビューを、2回にわたってお届けします。メータは1955年にイタリア・シエナの音楽夏期講習会でアバド(およびバレンボイム)と知り合い、以来50年以上にわたる友人関係にありました。メータが当時勉強し始めたウィーンの指揮者アカデミーの素晴らしさをアバドに語ったことで、アバドはウィーンで学ぶ決意をしたと言われます。メータはここでウィーン時代の思い出を語っていますが、22歳のアバドと20歳のメータが共にこの街を闊歩していた姿が、我々にも目に見えるようです。 メータの語り口は淡々としていますが無駄がなく、彼のアバドへの思いがストレートに伝わってきます。 マルティン・シュテーグナー 「今日の演奏会はクラウディオ・アバドに捧げられます。メータさんは、アバドについてどのような思い出がありますか」 ズービン・メータ 「この2日間、私は多くの人とクラウディオについて話しました。そのことにより青年時代の思い出が、湧き上がってきました。人は20歳の時にしたことを、毎日思い出すわけではありません。でも私たちは2年間の間、本当に毎日一緒に過ごしたのです」 シュテーグナー 「ウィーンで一緒に勉強されたのですね」 メータ 「勉強し、笑い、食べ、オペラやコンサートに行き、その後にまた食事に行き、長い間議論しました。ずっとそんな感じでした」 シュテーグナー 「一緒に合唱に参加したんですよね」 メータ 「そうです。ウィーン楽友協会合唱団です。最初私がメンバーになって、クラウディオも一緒に歌いたいと言い出しました。そこで当時の合唱指揮者ラインホルト・シュミットに“私の同僚も参加したいと言っています”とお願いしたのです。 なぜ合唱団かというと、有名な指揮者たちの指揮姿、また彼らが楽団に対してどのようなことを言うのかを、観察できたからです。クリップス、ベーム、カラヤン、カイルベルト、クーベリックといった大指揮者のもとで、本当に沢山歌いました。でも、残念なことに止めさせられてしまったんです。というのは、音楽大学で勉強していたので、練習にきちんと出てこなかったんですね。それでカラヤンとのリハーサルで、合唱指揮者からお咎めを喰らって、“メータとアバド!出て行きなさい!”と言われた。カラヤンの目の前でです。ものすごいショックで、我々は小さなネズミのように端から出て行きました。でも、カラヤンはそのことを覚えていなくて、ずっと後にこの話をしたところ、大笑いしていました。 でも、あれは本当に素晴らしい時代だった。とりわけ我々の教授であるハンス・スワロフスキーは、我々のことを実によく面倒みてくれました。先生というのはずるいもので、生徒には必ずしもすべてのことを教えません。しかし彼は、本当にすべてを伝授してくれたと思います」 シュテーグナー 「その後、お互いにキャリアがスタートして、自分の道を進んだんですね」 メータ 「我々はもちろん連絡を取り合っていましたが、もちろんウィーン時代のように、毎日会うということはできませんでした」 シュテーグナー 「その後、どのような付き合いでしたか」 メータ 「彼は私が首席指揮者をしていた団体に、必ず来てくれました。モントリオール、ロサンゼルス、ニューヨーク、イスラエル・フィルそしてフィレンツェです。去年は、モーツァルト管と共にフィレンツェに来て、五月音楽祭管とベルリオーズの幻想交響曲を合同演奏をしてくれました。それが最後に会った機会です。我々はこの時、自由時間をずっと一緒に過ごし、昔のことについても沢山語り合いました」 シュテーグナー 「アバドはカラヤンの後継者という重責を担ったわけですが、メータさんご自身もベルリン・フィルとは長いお付き合いです。我々の知る最も長い友人のひとりと言えるでしょう。デビューされたのは25、6歳の頃ですよね」 メータ 「1961年、25歳の時です。もう50年以上ですね。多分、指揮しなかった年というのはないと思います。クラウディオが1989年に首席指揮者に任命された時、彼は1週間しないうちに私のところに電話してきました。“ズービン、これからもずっと客演してくれ。君が来たい時にはいつでも”と」 シュテーグナー 「彼が首席指揮者になってから、ベルリン・フィルの響きは変わったと思いますか」 メータ 「響きは、きっと変わったのだと思います。というのは、クラウディオのレパートリーはカラヤンとは随分違っていました。もちろん伝統的になドイツのレパートリーも演奏しましたが、現代音楽や、その他の作品も沢山やっています。その意味で、響きは変化したでしょう。ただ、私自身がベルリン・フィルを指揮する仕方は、それまで通りでした。サイモンが来てからも、ベルリン・フィルのレパートリーは増えましたね。バロック、古典、現代ものと、カラヤン時代にはやらなかったものが数多くあります」 シュテーグナー 「やったとしても、バロックや古典ものは、ずっと大きな編成でしたね。それでも、ベルリン・フィルの音が、今日より明るく、音量も大きくなったと感じませんか」 メータ 「たしかに、より明るい響きになったという気もします。ただ、ベルリン・フィルは非常にフレキシブルで、カラヤン時代とも共通するものも、確実に維持していると思います。先週、私はブルックナーの交響曲第9番を指揮しました。私の目やジェスチャーのせいかもしれませんが、響きの柔らかさは昔通りです。素晴らしい演奏、響きだったと思います(後半に続く)」 この演奏会を聴く!
ドイツ発最新音楽ニュース
本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。 ミンコフスキがザルツブルク・モーツァルト週間のポストを2017年まで延長 『フランス・ミュジク』誌によると、ミンコフスキのザルツブルク・モーツァルト週間芸術監督のポストが、2017年まで延長される。2015年のフェスティヴァルは、1月22日〜2月1日開催。《改悛するダヴィデ》がオペラ上演されるほか、ウィーン・フィル、ハーゲン四重奏団、クリスティーネ・シェーファー、内田光子、イザベル・ファウスト等が客演する(写真©Marco Borggreve)。 ムーティがシカゴ響との契約を2020年まで延長 リッカルド・ムーティのシカゴ響との契約が、2020年まで延長されることになった。彼は現在のポストに2010年に就任。契約満了時には10年が経過することになり、ムーティは79歳となる。 2014年秋には、ヨーロッパ・ツアーを行うことが発表されており、ウィーン、ワルシャワ、パリ等でヴェルディの「レクイエム」他を演奏するという。 イザイ弦楽四重奏団が解散 フランスのイザイ弦楽四重奏団が解散した。最後の演奏会は、1月24日のパリ・シテ・ド・ラ・ミュジクでの室内楽ビエンナーレの一環で行われた。そのプログラムは、ドビュッシー「弦楽四重奏曲」、ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第16番」、モーツァルト「弦楽五重奏曲第3番」、フォーレ「ピアノ五重奏曲第1番」、シェーンベルク《浄夜》という長大なものであったという(ジャン=クロード・ペネティエ等が友情出演)。 次号の「ベルリン・フィル・ラウンジ」は、2014年2月21日(金)発行を予定しています。 ©2014 Berlin Phil Media GmbH, all rights reserved. フェイスブック:ベルリン・フィル日本語版公式アカウント ツイッター:ベルリン・フィル日本語版公式アカウント |