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2014年2月18日 (火)

ルネ・トレミヌさん死去

去る2月13日、フランスTahraレーベルのルネ・トレミヌさんが亡くなられました。最近は体調が思わしくなかったと伝えられるトレミヌさんは、70歳の誕生日を目前に控えた2月12日に病院に運ばれ、翌日に亡くなられたということです。心よりご冥福をお祈りいたします。

【トレミヌさんとターラ】
　ルネ・トレミヌさんは、1944年ルーマニアの生まれ。ヒストリカル音源専門レーベル「Tahra（ターラ）」を、公私に渡るパートナーであるミリアム・シェルヘン（シェルヘンの娘）さんと共に20年間運営してきました。
　TahraレーベルがクラシックCD業界に与えた影響はとても大きく、それまで歴史的ライヴ録音といえば、出所不明の音源によるぼやけた音質が当たり前だったところに、正規のソースを使用して適切なリマスタリングをおこない、可能な限り鮮度の高い音質を追究することで、ヒストリカル・ファンの枠を一気に拡大していきました。
　モノラルとはいえ、鮮明な音で聴けばそれほど問題がなく、むしろ鑑賞できる範囲が大幅に広がり、それぞれが個性的であることを競っていた時代のアーティストの演奏を手軽に良い音で楽しむことができるようになったのは何よりの朗報でした。
　このTahraレーベルの成功により、以後、ヒストリカル正規音源CDが数多くのレーベルが登場することになるのですが、Tahraの存在感はやはり別格でした。
　音源検証の徹底ぶりに加え、ライナーノートの資料性の高さにも定評があり、さらにヨーロッパ各地の放送局などから発掘してきた音源そのものに素晴らしい魅力が備わっていることが多かったのです。
　トレミヌさんとミリアムさんは共にフランス・フルトヴェングラー協会の重鎮で、そのため、Tahraのフルトヴェングラー・カタログの充実ぶりには見事なものがありましたし、また、ミリアムさんが、シェルヘンの娘ということでシェルヘンのリリース量も大規模なものとなっていました。その他、ヒストリカル分野の大物アーティストから知られざるアーティストまで、その守備範囲は非常に広く、トレミヌさんの祖国でもあるルーマニアの演奏家、ハスキルやリパッティ、チェリビダッケといったアーティストの豪華な装丁のセットなどもアーティストへの愛情がよく伝わる完成度の高いものとなっていたのが印象的でした。
　トレミヌさんとミリアムさんにより共同運営されてきたTahraレーベルは、大きな支えを失うこととなりましたが、どうかこれからも末永く活動して音楽ファンに喜びをもたらしてくれるよう願ってやみません。（ＨＭＶ）


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