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2014年4月30日 (水)

ベルリン・フィル&HMV提携サイト
 ベルリン・フィル関係ニュース

ベルリン・フィルの2014/15年シーズン予定が発表

 4月24日、年間記者会見の席で、ベルリン・フィルの2014/15年シーズンの予定が発表されました。来シーズンのハイライトは、シベリウス、シューマン&ブラームスの2つのツィクルス。サー・サイモン・ラトルの指揮で、3人の作曲家のすべての交響曲が演奏されます。シベリウス・ツィクルスは、この作曲家の生誕150周年を記念するものでもあり、ラトルの60歳の誕生日を記念するロンドン・ツアーでも演奏されます。またラトルは、ベルリンの壁開放25周年演奏会で、ベートーヴェン「交響曲第9番《合唱付き》」を指揮する予定です。
 客演指揮者は、ベルナルド・ハイティンク、ロリン・マゼール、ヘルベルト・ブロムシュテット、ダニエル・バレンボイム、マリス・ヤンソンス、ペーテル・エトヴェシュ、リッカルド・シャイー、ヴァレリー・ゲルギエフ、ドナルド・ラニクルズ、クリスティアン・ティーレマン、パーヴォ・ヤルヴィ、アラン・ギルバート、エマニェル・アイム、キリル・ペトレンコ、トゥガン・ソヒエフ、アンドリス・ネルソンス、グスターボ・ドゥダメル。またジャナンドレア・ノセダが、ベルリン・フィルに初登場します。またダニエーレ・ガッティが14年ぶり、リッカルド・ムーティが5年ぶりに客演する予定です。
 ソリストでは、メナヘム・プレスラー、マルタ・アルゲリッチ、エマヌニュエル・アックス、クリスティアン・ツィメルマン、イェフィム・ブロンフマン、エレーヌ・グリモー、ラン・ラン、フランク・ペーター・ツィンマーマン、イザベル・ファウスト、レオイダス・カヴァコス、パトリシア・コパチンスカヤ、ハーカン・ハーデンベルガーが登場します。アルゲリッチの定期登場は、1996年のアバドとの共演以来、実に18年ぶり。アーティスト・イン・レジデンスは、クリスティアン・テツラフが務めます。またユジャ・ワンが、ベルリン・フィル・デビューを飾ります。
 このほかにも、ベルリン・フィル団員による数々の室内楽演奏会が、室内楽ホールを中心に行われる予定です。外来の弦楽四重奏団、ピアニスト、歌手によるリサイタルにもご注目ください。夜10半より行われるレイト・ナイト・シリーズも、強力なソリストを迎えて続投されます。

ベルリン・フィル公式ウェブ(英語)
演奏会リスト(DCH中継分/日本語)

カラヤンのユニテル映像が、DCHでハイビジョン公開。35ミリフィルムからデジタル化!

 デジタル・コンサートホールでは、ヘルベルト・フォン・カラヤンの没後25周年(2014年7月16日)を記念して、1966年から79年に制作されたユニテルの映像をアップします。内容は、ベートーヴェンおよびブラームスの交響曲全集、ワーグナー《ラインの黄金》、ヴェルディ《オテロ》他、計30本以上にわたるもの。これらはほとんどが35ミリフィルムで撮影されたものですが、今回初めてデジタル化され、HDフォーマットで公開されることになりました。
 カラヤン・アーカイブは6月末よりスタートする予定。曲目の詳細は、近日「ベルリン・フィル・ラウンジ」でもご紹介いたします。

ベルリン・フィル公式ウェブサイトの記事

2014年ヨーロッパ・コンサートはバレンボイム指揮

 ベルリン・フィルのヨーロッパ・コンサートは、1991年より毎年楽団が創設された5月1日に、ヨーロッパ各地のホールや建築物で開催されています。今年は、ベルリン・フィルの本拠地であり、昨年10月に開場50周年を迎えたフィルハーモニーで行われます。ダニエル・バレンボイムは、1964年6月、ピエール・ブーレーズ指揮でバルトーク「ピアノ協奏曲第1番」を弾きベルリン・フィル・デビュー。その6年後には、指揮者として初登場し、半世紀にわたりベルリン・フィルとの密接な関係にあります。
 プログラムは、前半は今年生誕450周年となるシェークスピアに因んだ作品が2作(ニコライ:《ウィンザーの陽気な女房たち》序曲、エルガー:交響的習作《ファルスタッフ》。後半には、チャイコフスキーの「交響曲第5番」が演奏されます。

 最新のDCHアーカイブ映像

バーデン=バーデン・イースター音楽祭より中継。ガベッタがベルリン・フィル・デビュー
2014年4月20日

【演奏曲目】
リゲティ:《アトモスフェール》
ワーグナー:《ローエングリン》第1幕への前奏曲
エルガー:チェロ協奏曲
ストラヴィンスキー:《春の祭典》

チェロ:ソル・ガベッタ
指揮:サー・サイモン・ラトル

 バーデン=バーデン・イースター音楽祭から、サー・サイモン・ラトル指揮の演奏会が生中継されました。
 注目は、ソル・ガベッタのベルリン・フィル・デビュー。ガベッタは、ドイツで特に高い人気を博していますが、これまでベルリン・フィルでは演奏したことがありませんでした。エルガーのコンチェルトは、ジャクリーヌ・デュプレの伝説的名演以来、女性チェリストが好んで取り上げる作品ですが、ガベッタの録音したCDも、既に高く評価されています。
 プログラムの冒頭に演奏されるリゲティとワーグナーは、ラトルによれば「神秘的な雰囲気」を音化したもの。リゲティにはほとんど和声、旋律がなく、いわば空間のなかに浮遊するような作品ですが、ラトルは「ワーグナーのイ長調の和声が続けて演奏された時、聴き手にショックを与えるだろう」と語っています。《春の祭典》は、ラトル&ベルリン・フィルのいわば名刺代わり。2013年来日公演での演奏も記憶に新しい作品です。

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第3回レイト・ナイトは、ヘンツェへのオマージュ
2014年4月25日

【演奏曲目】
ヘンツェ:レクイエム

トランペット:ガボール・タルケヴィ
ピアノ:オハッド・ ベン=アリー
指揮:サー・サイモン・ラトル

 2012年10月27日、作曲家ハンス・ヴェルナー・ヘンツェは、86歳でドレスデンで亡くなりました。それは、現代でもっとも影響力のある作曲家の死だったと言えるでしょう。今回のレイトナイト・コンサートでは、サー・サイモン・ラトルとベルリン・フィル団員がヘンツェの《レクイエム》を演奏し、この作曲家にオマージュを捧げました。「ピアノ、トランペット、大規模な室内管弦楽のための9つの宗教的協奏曲」と題されたこの作品は、1993年、ロンドン・シンフォニエッタの指揮者だったミヒャエル・ワイナーの死去に際して書かれました。叙情的な瞑想から、破滅的なまでの音の密集、そして攻撃的な軍隊調のリズムに至るまで、作曲家の率直な感情表現が表れています。

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コンサート形式による《マノン・レスコー》
2014年4月26日

【演奏曲目】
プッチーニ:歌劇《マノン・レスコー》

マノン:エヴァ=マリア・ウェストブレーク
デ・グリュー:マッシモ・ジョルダーノ
レスコー:レスター・リンチ
ジェロンテ:リャン・リー
歌手:マグダレーナ・コジェナー
指揮:サー・サイモン・ラトル

 プッチーニのオペラ《マノン・レスコー》は、アベ・プレヴォーの小説『騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語』を元にした作品です。真実の愛と贅沢への欲望との間を揺れ動くマノン・レスコーの生き様は、作曲家の創作意欲に火を付けました。当時35歳のプッチーニは、1893年に初演されたこの作品で、同時代の代表的なオペラ作曲家への仲間入りを果たしたのです。同じ原作を基にしたマスネによるオペラがすでに大きな成功を収めていましたが、あふれんばかりの情熱とドラマ、うっとりするようなメロディーと色彩的なオーケストレーションによって、プッチーニはその独創性を開花させました。
 サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルによる今回の演奏会形式上演は、直前に行われたバーデン・バーデンのイースター音楽祭と同じプロダクションです。マノン・レスコー役を歌うのはエヴァ=マリア・ウェストブレーク。オランダ出身の彼女は、ワーグナーの《ワルキューレ》のジークリンデ役で、2005年と12年にベルリン・フィルに登場。さらに2007年と08年には、エクサン・プロヴァンスとザルツブルクでも共演し、抒情とドラマ性を兼ね備えた歌唱で評価を得ました。マノンの恋人デ・グリュー役は、ナポリ生まれのマッシモ・ジョルダーノ。現代を代表するスピント・テノールのひとりです。強力な顔ぶれによるプッチーニを、どうぞお楽しみください。

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 これからのDCH演奏会

ブンデスユーゲント管&ブンデスユーゲントバレエが来演
日本時間2014年5月5日(月)午前3時

【演奏曲目】
B・A・ツィンマーマン:《アラゴアーナ》(ブラジル風狂詩曲)
デュカス:《魔法使いの弟子》 (振付:ウブキィエ・クインデルスマ)
マクミラン:《Exsultet》(振付:サシャ・リヴァ&マルク・ユベーテ)
ハイドン:交響曲第30番ハ長調《アレルヤ》 (振付:ジョン・ノイマイヤー)

ブンデスユーゲント管弦楽団
ブンデスユーゲントバレエ
指揮:アレクサンダー・シェリー

 ドイツ・ユース・オケの代表的存在であるブンデスユーゲント管弦楽団が、アレクサンダー・シェリー指揮のもと、フィルハーモニーに客演します。ディズニー映画の《ファンタジア》に使用されたことで世界的に有名になったデュカスの《魔法使いの弟子》は、ゲーテ作のバラードの情景を細部に至るまで精密に描いた傑作です。ハイドンの交響曲第30番《ハレルヤ》は、第1楽章の主題が聖土曜日に歌われるグレゴリオ聖歌に因んでいることから、この愛称で呼ばれています。これに対し、ジェームズ・マクミランの《Exsultet》はキリストの復活の預言を扱ったファンファーレ作品。金管楽器の低い響きで始まり、やがて力強いクライマックスに向かっていきます。ベルント・アロイス・ツィンマーマンの初期の作品《アラゴアーナ》を含め、ブンデスユーゲントバレエとの共演にも注目が集まります。ドイツで音楽を学ぶ15〜19歳の若者によるエネルギッシュな演奏にご期待ください。

生中継:日本時間2014年5月5日(月)午前3時

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チョン・ミョンフンが、13年ぶりにベルリン・フィルに客演
日本時間2014年5月11日(日)午前3時

【演奏曲目】
ウェーバー:《魔弾の射手》序曲
チン・ウンスク:チェロ協奏曲
ブラームス:交響曲第2番ニ長調

チェロ:アルバン・ゲルハルト
指揮:チョン・ミョンフン

 「私から音楽を遠ざけることはできませんでした。何しろ、私の音楽教育は生まれる9ヶ月前からすでに始まっていたのですから」とチョン・ミョンフンは語ります。韓国の著名な音楽一家に生まれたチョンは、幼い頃からピアノを学び、わずか7歳でソウル・フィルと初共演を果たしました。ニューヨークのジュリアード音楽院を卒業した後、姉のキョンファ(ヴァイオリン)、ミョンファ(チェロ)とピアノ・トリオを結成。1979年にはロサンジェルス・フィルのカルロ・マリア・ジュリーニのアシスタントとして指揮者としての研鑽を積み始めます。1984年、チョンはザールブリュッケン放送交響楽団の首席指揮者に就任、翌85年5月30日にはベルリン・フィルにデビューを果たしました。その後の活躍はよく知られている通りで、パリ・オペラ座の音楽監督、ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団の首席指揮者を歴任。2000年からはフランス放送フィルの音楽監督、2012年からはドレスデン・シュターツカペレの首席客演指揮者を務めています。
 ベルリン・フィルとは2001年12月にヘンツェの交響曲第8番、マーラーの交響曲第1番を指揮して以来、今回が久々の共演となります。プログラムに並ぶのは、ウェーバーの《魔弾の射手》序曲、ブラームスの交響曲第2番のほか、ベルリン在住の韓国人作曲家チン・ウンスクのチェロ協奏曲。チェロ協奏曲は2009年にBBCの委嘱によって書かれた作品で、初演と同じくアルバン・ゲルハルトが独奏を務めます。

生中継:日本時間2014年5月11日(日)午前3時

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 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

ヤンソンスがロイヤル・コンセルトヘボウ管を勇退
 マリス・ヤンソンスが、ロイヤル・コンセルトヘボウ管の首席指揮者のポストを、2014/15年シーズンの終了をもって勇退することを発表した。
 コンセルトヘボウ管は、この決定をヤンソンスと共同で議論した結果、相互理解と協調のもとに下したとコメントしている。なおヤンソンスは、バイエルン放送響の首席指揮者も務めているが、この契約は現在2018年夏まで更新されている。

カレーラスがオペラの舞台にカムバック
 ホセ・カレーラスが、クリスティアンコロノヴィッツ作曲のオペラに出演し、舞台にカムバックする。作品は、今年の8月9日にオーストリアのエアル・チロル・フェスティヴァルで初演される。
 物語は、フランコ政権時代のスペインで修道院に収容された子供たちの運命を扱っている。作品は、すでにビルバオで試演されており、カレーラスは大きな成功を収めた。なお演出は、スペインの名演出家エミリオ・サジが担当している。
 カレーラスは2009年に『タイムズ』紙への談話で、オペラを引退しコンサートに専念する意志を示していた。

ウィーン・フィルがビルギット・ニルソン賞を受賞
 2009年より音楽界で功績を残した人物・団体に贈られるビルギット・ニルソン賞が、ウィーン・フィルに贈られることになった。この賞は、ニルソン本人が生前に発案したもので、3年に一度授与される。賞金が1万ドルと、クラシックに特化した賞としては世界最高であり、大きな注目を集めている。
 2009年の初回はニルソン自身の遺志により、プラシド・ドミンゴが受章。2011年の第2回は、リッカルド・ムーティに贈られている。第3回の授賞式は、10月8日にストックホルムで行われる。

次号の「ベルリン・フィル・ラウンジ」は、2014年5月16日(木)発行を予定しています。

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