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「ベルリン・フィル・ラウンジ」第97号:ベルリン・フィル自主レーベルが始動!特別プレゼント付き ベルリン・フィル・ラウンジへ戻る

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2014年6月13日 (金)

ベルリン・フィル&HMV提携サイト
 ベルリン・フィル関係ニュース

ベルリン・フィルが自主レーベル「ベルリン・フィル・レコーディングス」をスタート!
 この初夏、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が、自主レーベル「ベルリン・フィル・レコーディングス」をスタートいたします。これについて6月3日、東京のザ・キャピトル・ホテル東急で発表記者会見が行われました。
 ベルリン・フィルでは、ネット映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」で新時代のコンサート体験を提供してきましたが、「ベルリン・フィル・レコーディングス」では、本格的なレコード制作を、新しい視座で行ってゆく予定です。
 これは商品仕様にも反映され、初回タイトルの「シューマン 交響曲全集」(サー・サイモン・ラトル指揮)には、CD(2枚)のみならず、全曲の96kHz/24bit高品位音声トラック、ハイビジョン映像を収録したブルーレイ・ディスク(1枚)が含まれています。さらに、全曲の192kHz/24bit超高品位(ハイレゾ)音声トラックをダウンロードできるコードを封入。また、デジタル・コンサートホールの7日間チケットも添付され、当楽団の演奏を、多面的にご体験いただける内容となっています。パッケージは、ハードカバー型の美麗で豪華な装丁。この仕様は、今後も原則的に継続されます。ハイレゾ音声や映像が存在する場合には、通常のCD+これらのメディアというかたちで発売される予定です。
 収録は、2013年の2月と11月、ベルリン・フィルハーモニーにおいてライブで行われました。また今回の全集では、交響曲第4番は通常の改訂版ではなく、1841年の初稿により演奏されています。ラトルはこの版を特に評価し、「軽快さ、可憐さ、美しさに満ちている」と呼んでいます。彼はレーベルのスタートにあたり、「シューマンの交響曲は、ベストセラーではないかもしれません。しかし我々にとっては、非常に重要なレパートリーです。それゆえこれらの作品でレーベルをスタートすることは、とても素晴らしいアイディアだと思います。我々は、これらの作品に独自の考えを持っているのです」と述べています。
 「ベルリン・フィル・レコーディングス」では、今後、年に数タイトルをリリースしてゆく予定です。レーベル運営にあたるベルリン・フィル・メディア(ベルリン・フィルのメディア子会社)の取締役オラフ・マニンガー(ベルリン・フィル・ソロチェロ奏者兼メディア代表)は、背景を次のように説明しています。「ベルリン・フィルは100年以来レコード録音を行ってきました。ベルリン・フィル・レコーディングスの設立は、楽団のメディア史上で、新しい章を開くものとなります。今後は、我々自身が考えるやり方でレパートリーを選択し、商品の仕様を決定しながら、販売することができるからです。録音クオリティや、商品としての質を自ら管理することにより、最も厳しい聴衆をも満足させられるでしょう。我々は、自主運営のデジタル・コンサートホールで、世界の聴衆と直接触れる喜びを体験しました。レーベルでも、同様に皆様とダイレクトなコンタクトを取ることを追求していきたいと思います」
 また2014年8月には、同様の音源がLPで販売されます。オーディオファイルの方々には、さらにスペシャルな音質でお楽しみいただけます。
写真上:記者会見でレーベル発足について説明する首席チェロ奏者兼メディア代表のオラフ・マニンガー(右から2人目)
写真下:ベルリンでの記者会見(4月24日)でのラトルとマニンガー

ベルリン・フィル・レコーディングスのウェブサイト(日本語)

【リリース第1弾】
シューマン交響曲全集
サー・サイモン・ラトル指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団


シューマン:
CD1
交響曲第1番変ロ長調作品38 [31:07]
交響曲第4番ニ短調(1941年版) [24:57]
CD2
交響曲第2番ハ長調作品61 [38:04]
交響曲第3番変ホ長調《ライン》作品79 [30:38]

ブルーレイ・ディスク
@交響曲第1〜4番(ブルーレイ・オーディオ)
96 kHz/24 bit 2.0 PCM Stereo
5.0 Surround DTS-HD Master Audio
収録時間:125 分
A交響曲第1〜4番(ブルーレイ・ビデオ)
Full HD 1080/60i – 16:9
48 kHz/16 bit 2.0 PCM Stereo
5.0 Surround DTS-HD Master Audio
ボーナス映像:「ラトル、シューマンを語る」、「収録の舞台裏」他
収録時間:175分

ダウンロード・コード
最大192kHz/24bit 2.0 Stereoないし5.0 Surroundのハイレゾリューション音源がダウンロード可能なコードが封入されています。

デジタル・コンサートホール
ベルリン・フィルのネット映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」が7日間無料でご利用になれるチケットが封入されています。

布張りハードカバー仕様
日本語ブックレット付き(国内盤の場合)

交響曲全集 ラトル&ベルリン・フィル(2CD+ブルーレイ)

CD 輸入盤

シューマン:交響曲全集 ラトル&ベルリン・フィルハーモニー(2CD+ブルーレイ)

通常価格(税込) : ¥10,681

セール価格(税込) : ¥8,640

発売日: 2014年06月30日

送料無料 ポイント 2 倍

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交響曲全集 ラトル&ベルリン・フィル(2CD+ブルーレイ)

CD

シューマン:交響曲全集 ラトル&ベルリン・フィルハーモニー(2CD+ブルーレイ)

通常価格(税込) : ¥9,720

発売日: 2014年06月30日

送料無料 ポイント 2 倍

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【今後のリリース予定】
2014年8月発売予定:
シューマン交響曲全集
LPヴァージョン(180g重量盤)

バッハ「ヨハネ受難曲」
ラトル指揮・セラーズ演出
ブルーレイ・ビデオ+DVD

バッハ「マタイ受難曲」(新デザイン)
ラトル指揮・セラーズ演出
ブルーレイ・ビデオ+DVD

2014年10月発売予定:
シューベルト交響曲全集
アーノンクール指揮
CD+ブルーレイ・オーディオ+ダウンロード

HMVだけの特別キャンペーン:HMVオンラインでシューマン交響曲全集をお求めの方に、抽選で10名様に非売品DVD「ラトル指揮マーラー交響曲第3番」をプレゼント

 レーベル・スタートを記念して、HMVオンラインでシューマン交響曲全集(輸入盤・国内盤不問)をお求めの方から、抽選10名様にベルリン・フィルの特別DVD「ラトル指揮マーラー交響曲第3番」をプレゼントいたします。

【演奏曲目】
ブラームス:《ハープが豊かに響きわたる》
ヴォルフ:《妖精の歌》
マーラー:交響曲第3番

ソプラノ:アンケ・ヘルマン
アルト:ナタリー・シュトゥッツマン
ベルリン国立大聖堂少年合唱団
ベルリン放送合唱団女声団員
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:サー・サイモン・ラトル

2011年2月11日、ベルリン・フィルハーモニーでの収録
演奏時間:162分

 この録音は、2011年2月にマーラー全曲演奏ツィクルスの一環として行われた演奏会の収録映像で、これまで一般に発売されたことがない貴重なDVDです。ラトルの指揮のもと、ナタリー・シュトゥッツマン(アルト)、ベルリン放送合唱団女声団員、ベルリン国立大聖堂少年合唱団が参加。ラトルの曲目解説映像も付いた、ファン垂涎のタイトルとなっています。
 この演奏について、『レコード芸術』誌海外レポートでは、「ベルリン・フィルは、ラトルを信頼して素直に身を任せた結果、自らの能力を最大限に出し切っていた。さり気ないフレーズに込められる表現密度が並ではなく、聴いていて“まぎれもなく世界一のオケだ”と震撼させられる。その演奏精度、響きの豊麗さは、両者が1段上の次元に達したことを伝えていた」と評されています。
 応募方法は以下の通り。メールにお客様の住所、氏名、またシューマン交響曲全集(輸入盤・国内盤不問)をご購入になった際の注文番号をご明記の上、hmv@berliner-philharmoniker.deまでお送りください。必ず実名でご応募いただけるよう、お願いいたします(お預かりした個人情報は、当キャンペーンのためだけに使用され、他の目的には当てられません)。締切は、8月31日。皆様のご応募をお待ちしております。

応募はこちらから

ラトル、「ベルリン・フィル・レコーディングス」発足について語る
 右のビデオでは、ラトルが自主レーベルの発足の背景について語っています。その要点は、@今日のレコード業界では、ベルリン・フィルでさえ、自らが望むようなCDリリースはできないこと、Aそれゆえに自己責任で録音活動を行ってゆくほかないこと、の2点でしょう。さらに人々の音楽生活が、今後よりネットに移行し、今後は音楽ソースもオンディマンドで提供されるだろう、と論じている点が、注目されます。

サー・サイモン・ラトル(談):
 ここ何年かで、レコード業界は変わりました。今後、どのように発展するのか、見通しがつきません。誰も、予測ができないのです。メジャー・レーベルの社員の顔は、毎週のように変わっています。レコーディング・ビジネスの今後は、とても不透明です。例えばニューヨークに行くと、誰でもタワーレコードがなくなったことに気がつくでしょう。根本的な変化が起こっています。
 そうした時に、何をしなければいけないか考えました。そして、他の場面と同様に、我々自身が舵を取らなければならないと思うようになったのです。つまり、自ら録音をリリースする。もちろんシューマンの交響曲は、ベストセラー候補とは言えないでしょう。しかしベルリン・フィルにとっては、ずっと弾いてきた中核的レパートリーです。これを録音することが、オーケストラにとって重要なのです。こうすることが、我々にとって大きなチャンスだと考えました。シューマンにおいて、我々のアプローチは、特異だと言えるでしょう。ちょっと変わっていて、独特の演奏だと思います。独自の主張があります。だから皆とシェアしたいと考えました。このようにオーケストラ主導で、たくさんの録音が発売できればと思います。
 今回我々は、自分ら責任を担うことに決めました。自分たちが考え通りのやり方をするわけですが、リスクも伴います。シューマンは、経済的側面から見たら、難しいかもしれない。しかし我々は、「このレパートリーが我々にとって大事だ」という思いから、出すことに決めたわけです。非常にエキサイティングな冒険だと思います。レーベルの設立は、デジタル・コンサートホールの論理的帰結、自然な発展形と呼べるでしょう。
 今後は音楽は、デジタル・コンサートホールに見られる通り、どんどんネット経由になると思います。映画をオンディマンドで観ることが普通になったように、一般化してゆくのです。家に水道や電気があるように、人々が当然と思う必需品になるでしょう。もちろん我々は、演奏が水道や電気よりも良いものになることを、願っています。

 最新のDCHアーカイブ映像

ブンデスユーゲント管&ブンデスユーゲントバレエが来演
2014年5月4日

【演奏曲目】
B・A・ツィンマーマン:《アラゴアーナ》(ブラジル風狂詩曲)
デュカス:《魔法使いの弟子》 (振付:ウブキィエ・クインデルスマ)
マクミラン:《Exsultet》(振付:サシャ・リヴァ&マルク・ユベーテ)
ハイドン:交響曲第30番ハ長調《アレルヤ》 (振付:ジョン・ノイマイヤー)

ブンデスユーゲント管弦楽団
ブンデスユーゲントバレエ
指揮:アレクサンダー・シェリー

 ドイツ・ユース・オケの代表的存在であるブンデスユーゲント管弦楽団が、アレクサンダー・シェリー指揮のもと、フィルハーモニーに客演しました。ディズニー映画の《ファンタジア》に使用されたことで世界的に有名になったデュカスの《魔法使いの弟子》は、ゲーテ作のバラードの情景を細部に至るまで精密に描いた傑作です。ハイドンの交響曲第30番《ハレルヤ》は、第1楽章の主題が聖土曜日に歌われるグレゴリオ聖歌に因んでいることから、この愛称で呼ばれています。これに対し、ジェームズ・マクミランの《Exsultet》はキリストの復活の預言を扱ったファンファーレ作品。金管楽器の低い響きで始まり、やがて力強いクライマックスに向かってゆきます。ベルント・アロイス・ツィンマーマンの初期の作品《アラゴアーナ》を含め、ブンデスユーゲントバレエとの共演にも注目が集まります。ドイツで音楽を学ぶ15〜19歳の若者によるエネルギッシュな演奏をお楽しみください。

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チョン・ミョンフンが、13年ぶりにベルリン・フィルに客演
2014年5月10日

【演奏曲目】
ウェーバー:《魔弾の射手》序曲
チン・ウンスク:チェロ協奏曲
ブラームス:交響曲第2番ニ長調

チェロ:アルバン・ゲルハルト
指揮:チョン・ミョンフン

 「私から音楽を遠ざけることはできませんでした。何しろ、私の音楽教育は生まれる9ヶ月前からすでに始まっていたのですから」とチョン・ミョンフンは語ります。韓国の著名な音楽一家に生まれたチョンは、幼い頃からピアノを学び、わずか7歳でソウル・フィルと初共演を果たしました。ニューヨークのジュリアード音楽院を卒業した後、姉のキョンファ(ヴァイオリン)、ミョンファ(チェロ)とピアノ・トリオを結成。1979年にはロサンジェルス・フィルのカルロ・マリア・ジュリーニのアシスタントとして指揮者としての研鑽を積み始めます。1984年、チョンはザールブリュッケン放送交響楽団の首席指揮者に就任、翌85年5月30日にはベルリン・フィルにデビューを果たしました。その後の活躍をよく知られている通りで、パリ・オペラ座の音楽監督、ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団の首席指揮者を歴任。2000年からはフランス放送フィルの音楽監督、2012年からはドレスデン・シュターツカペレの首席客演指揮者を務めています。
 ベルリン・フィルとは2001年12月にヘンツェの交響曲第8番、マーラーの交響曲第1番を指揮して以来、今回が久々の共演となりました。プログラムに並ぶのは、ウェーバーの《魔弾の射手》序曲、ブラームスの交響曲第2番のほか、ベルリン在住の韓国人作曲家チン・ウンスクのチェロ協奏曲。チェロ協奏曲は2009年にBBCの委嘱によって書かれた作品で、初演と同じくアルバン・ゲルハルトが独奏を務めています。

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アバド追悼演奏会。ツィンマーマンのモーツァルトとラトルのブルックナー
2014年5月17日

【演奏曲目】
シューベルト:《ロザムンデ》より第3幕への間奏曲
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番
ブルックナー:交響曲第7番

ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン
指揮:サー・サイモン・ラトル

 今年の1月20日、クラウディオ・アバドが80歳で亡くなりました。アバドは当楽団の前首席指揮者であり、ベルリン・フィルにとっては絶大な喪失でしたが、この演奏会は、本来彼の指揮で予定されていたものです。ベルリン・フィルでは、これをプログラムを変更してラトル指揮による追悼演奏会に振り替えることになりました。
 プログラム前半は、アバドに敬意を表して指揮なしの演奏。彼自身が数年前に感動的な演奏を行ったシューベルトの《ロザムンデ》より、有名な間奏曲を演奏しています。指揮台の上には、白いバラが置かれていますが、ベルリン・フィルはここで、まるでアバド自身が指揮しているかのような静謐さを見せています。一方、続くモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番は、予定されていたフランク・ペーター・ツィンマーマンがソロを担当しています。オケとの室内楽的な対話ぶりは、まさにアバドの精神を伝えるものと言えるでしょう。
 後半のブルックナー「第7」は、パユ(フルート)、マイヤー、ヴォレンヴェーバー(オーボエ)、フックス(クラリネット)、ダミアーノ(ファゴット)、ドール(ホルン)というアバド時代を代表する管楽ソリストが顔を揃え、壮観。オケ全体が一体となった演奏は、近年のベルリン・フィルのブルックナーのなかでも、一、二を争う出来となっています。

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ウルバンスキがベルリン・フィル・デビュー
2014年5月24日

【演奏曲目】
スメタナ:《わが祖国》より〈モルダウ〉&〈シャールカ〉
マルティヌー:チェロ協奏曲第1番
ドヴォルザーク:交響曲第7番

チェロ:ソル・ガベッタ
指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ

 ポーランドの指揮者クシシュトフ・ウルバンスキがベルリン・フィルの定期演奏会にデビューを果たしました。有望な若手指揮者としての呼び声が高いウルバンスキは、現在インディアナポリ交響楽団とノルウェー・トロンヘイム交響楽団の音楽監督を務めています。その彼が今回の公演に選んだのはチェコの作品群。1824年に生まれチェコの国民楽派の創始者として知られるスメタナは、芸術音楽と民謡とを独自の形で統合させました。有名な連作交響詩《わが祖国》から、ボヘミアの自然の美しさを表現した第2曲〈ヴルタヴァ〉(モルダウ)とチェコの伝説をテーマにした第3曲〈シャールカ〉をお届けします。
 スメタナより17歳若いドヴォルザークは、スメタナが敷いた道を先へと進めました。イギリス滞在中に作曲した交響曲第7番は、ボヘミアを偲ばせる要素は少なく、メランコリックな雰囲気が全体を支配しています。もう1曲、前半に演奏されるマルティヌーのチェロ協奏曲第1番は、チェコの国民音楽と20世紀の音楽イディオムとの融合に成功した作品と呼べるでしょう。先のバーデン=バーデン・イースター音楽祭でベルリン・フィル・デビューを果たしたばかりのソル・ガベッタをソリストに迎えています。ガベッタは、2004年にクレディ・スイス・ヤング・アーティスト賞を受賞して以来、国際的に豊富なキャリアを築いているチェリストです。

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 これからのDCH演奏会

ヤンソンスの代役でドゥダメルがマーラー「第3」を指揮
日本時間2014年6月14日(月)午前3時

【演奏曲目】
バートウィッスル:《ディナとニックの恋歌》
マーラー:交響曲第3番

アルト:ゲルヒルト・ロンベルガー
ベルリン放送合唱団女声団員
ベルリン国立大聖堂児童合唱団
指揮:グスターボ・ドゥダメル

 マーラーの交響曲第3番は、交響曲の歴史において真に記念碑的な大作と呼べるでしょう。演奏時間はマーラーの交響曲の中でも最長に属し(約100分)、全6楽章から成ります。1895年から96年の主に夏の期間、マーラーはアッター湖畔のシュタインバッハで集中的に作曲に取り組みました。自然そのものを描いたような雄大な曲想を持っており、96年夏に弟子のブルーノ・ワルターがシュタインバッハを訪れた際、岩山の素晴らしさに見とれているワルターに対しマーラーが「そんなに眺めなくてもいい。あの風景は僕が全部音楽にしてしまったから」と語ったといわれています。アルト独唱の第4楽章、児童合唱と女性合唱が加わる第5楽章にはニーチェの思想の影響が見られ、単なる自然描写に留まらず、その背後にある抽象的な神の存在を意識して書かれたことが伺えます。深い感動にあふれたフィナーレも大きな聴きものです。
 本来この公演を指揮するはずだったマリス・ヤンソンスは病気でキャンセルとなり、代わりにグスターボ・ドゥダメルが指揮を務めることになりました。ソリストに登場するのは、ドイツのメゾソプラノ、ゲルヒルト・ロンベルガー。マーラーの前には、英国の作曲家ハリソン・バートウィッスルの《ディナとニックの恋歌》が演奏されます。3つのメロディ楽器とハープのために書かれた、豊かな雰囲気をたたえた5分ほどの小品です。

生中継:日本時間2014年6月14日(土)午前3時

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真打ち!バレンボイムとラトルの共演
日本時間2014年6月19日(木)午前3時

【演奏曲目】
アイヴズ:《答えのない質問》
ブラームス:交響曲第2番ニ長調
R・シュトラウス:《メタモルフォーゼン》
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番

ピアノ:ダニエル・バレンボイム
指揮:サー・サイモン・ラトル

 ブラームスが、完成までに約20年の時を要することになる交響曲第1番を着想したのは1862年ことでした。しかしその8年前、彼は2台のピアノのためのソナタを交響曲の第1楽章に書き直そうとする試みをしています。それは挫折したものの、ブラームスはこの「不幸な交響曲」からピアノ協奏曲を作曲することを夢見て、最終的にそれを成し遂げました。4年の歳月を経て完成したピアノ協奏曲第1番ニ短調は、それまでの協奏曲の概念とは大きく異なり、ピアノと管弦楽が交響曲的に融合する極めてヴィルトゥオーゾ風の作品です。今シーズン、ベルリン・フィル・デビュー50周年を迎えたバレンボイムが、この記念碑的な作品の独奏を務めます。
 それに先駆けてサイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルが演奏するのは、アイヴズ作曲の《答えのない質問》。1906年に完成したこの作品の中で、作曲家はトランペットを通して「存在への永遠の問い」を7回提起します。毎回答えを探し求める度に音楽は騒然となり、やがて孤独の中に沈黙が訪れます。もう1曲は、1945年に書かれたR・シュトラウスの23の独奏弦楽器のための《メタモルフォーゼン》。ベートーヴェンの英雄交響曲の葬送行進曲のモチーフが発展してゆき、最後にその主題はシュトラウス自身の和声によって、コントラバスに完全な形で引用されます。総譜ではこの箇所に「In Memoriam!追悼」と記されており、作曲家はこの作品を自身の生涯とも照らし合わせていたのでした。

生中継:日本時間2014年6月19日(木)午前3時

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 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

バルトリがスカラ座に再登場
 チェチーリア・バルトリは、2012年12月に12年ぶりにスカラ座に登場したが、この際、天上桟敷の聴衆から激しい攻撃に合い、スキャンダルとなった。しかし、次期スカラ座総監督アレクサンダー・ペレイラの仲介により、来シーズン、ヴィヴァルディのプログラムで同劇場に再登場することが決定した。明確な日程は、まだ発表されていない。
前回の客演時にバルトリは、前半のヘンデルとモーツァルトでは喝采を得たが、後半ロッシーニを歌った際には、「正統的な演奏でない」とする聴衆から、口笛や罵声を浴びたという。カムバックにヴィヴァルディを選んだのは、スカラ座の伝統と無関係な作曲家であるためと報道されている。
 なおバルトリは、先頃行われたザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭でロッシーニの《オテロ》と《チェネレントラ》を歌い、絶賛されている(写真:《オテロ》より。© Salzburger Festspiele / Silvia Lelli)。

スラトキンがリヨン国立管の首席指揮者契約を延長
 レナード・スラトキンが、2011年より現職にあるリヨン国立管との契約を延長するという。期間は3年で、2017年まで。ちなみにリヨン国立管は、大野和士が音楽監督を務めるリヨン歌劇場のリヨン歌劇場管とは、別の団体である。
 なおスラトキンは、2008年からデトロイト響の首席指揮者も務めている。


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