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【連載コラム】Akira Kosemura 『細い糸に縋るように』 第56回 細い糸に縋るように Akira Kosemuraへ戻る

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2014年7月11日 (金)

profile

[小瀬村 晶 / AKIRA KOSEMURA]

1985年生まれ、東京出身の作曲家・音楽プロデューサー。
作曲家として国内外の音楽レーベルからコンスタントに作品を発表する一方、企業広告や、アパレルブランド、公共施設、舞台、映画、TV、ウェブコンテンツなど、特定の分野に限定されることなく様々なコラボレーションを行っている。
近年では、シンガーソングライター・やなぎなぎのアルバム「エウアル」への楽曲提供や、キミホ・ハルバート演出/振付によるコンテンポラリーバレエ公演「MANON」の劇伴音楽、東京スカイツリータウン(一部施設)の音楽や、ドキュメンタリー映画「はじまりの島」エンディングテーマ、「ANA LOUNGE」の音楽監修などを担当。
コンサート活動にも定評があり、これまでに「音霊 OTODAMA SEA STUDIO」、「中州ジャズフェスティバル」への出演や、自身のピアノ演奏による全国ツアー / 中国ツアーも成功させている。
また、作曲家のみならず、2007年にSCHOLE INC.を設立、プロデューサーとして音楽レーベル「schole」を運営、数多くの作品に携わっている。




蒸し暑い梅雨の真っ只中、みなさま、いかがお過ごしですか?
最近の日本は、ヒョウが降るようになったり、ゲリラ豪雨ですか、突然の雷雨があったりで、すっかり東南アジア化してきている気がしますね。それに加えてこの梅雨空。むむむ、気持ちだけでも青空を目指したいところですが、日々、割と鬱々としています・・・。

そういえば、コラムを一回お休みしている間に、また一つ歳を取りまして、晴れて?29歳を迎えました。20代最後の年ですね。先輩方からすれば、きっとまだ若い、中高生からすれば、すっかりおじさん、といったところでしょうか。最近、段々と月日が過ぎるのを早く感じるようになり、それに加えて、なんだか年齢の、なんというのかな、雰囲気というか、イメージというか、つまり実感のようなものが湧かなくなりました。29歳、はて、それはいったいどんな感じなのだろう、というか。自分のなかに、29歳についてのリファレンスがないせいかもしれません。29歳になった、と言われても、なんだかぴんとこないんですよね。
まあ、それはさておき、29歳も変わらず音楽を作っています。20代になってから多かった誕生日の過ごし方は、映画館に入り浸る、というのが定番化しつつあったのですが、今年はコンサートの移動日でした。確か、三年前のツアー時もそうだったので、たまにそういうことがあるみたいですね。なので別段、誕生日についてのこれといったお話は特にないです、はい。移動して、リハーサルして、終わり。29という微妙な数字同様、過ごし方まで微妙でした。とはいえ、誕生日翌日に出演したイベント自体は、とても楽しいひと時でした。たまにはこういったフェス的なイベントに出演するのも刺激があっていいなぁと思います。数年に一度くらいの頻度で、自分のいまの力量を見定めるという意味でも、同じ舞台で別の音楽家の方と共演するというのは良い機会なのかなとも思いました。というのも、僕は基本的に、自分で自分の音楽を自分が納得する形できちんと発表したい人間なので、なにからなにまですべてを自分達で管理できるよう、自社企画による単独コンサート、という形で演奏会を開催する形を取っているので、普段、他の会社の音楽家の方と共演することは滅多にないんですね。なので時々、気が向いたように出演するこういった他の会社のイベントというのは、刺激的といえば刺激的です。普段、旅行もまったくしない人間なので、そういう意味でも仕事であればどこか遠くへも行きますしね・・・。
ただ、やはり基本的に、僕にとっての音楽というのは、完全な自己表現なので、いまのスタンスで、できるだけ理想に近い形での演奏会を作っていきたいとは思いますね、はい。

さて、続いて、なにをお話しましょうか。最近あったこと、そうだなぁ。映画ばっかり観てるからなぁ。最近はよく朝に行くんですよ、劇場に。これは意外といいなと思いますね。ちょっと得した気分になれます。だって平日の朝一の映画館って、本当にがらがらですからね。なので、朝一で優雅に映画を鑑賞してから仕事をする、これが最近のマイブームです。もちろん、夜の映画館も好きですが。

仕事は、今年はけっこう面白い企画や、やりがいのある企画が多くて嬉しいですね。とにもかくにも、短い音楽ばかりを作っています。まず年始めに、ずっとやりたかった映画の音楽の仕事があって、まずそこで短い音楽をたくさん作ったのですが、春から夏にかけては断続的に広告の音楽を作っていて、それは映画とはまた勝手が違いますが、やはり短い音楽ばかりです、はい。
ただ、この‘短い’というのが、実はけっこう面白い。それが今年になって分かってきたのは、個人的に嬉しい発見だなぁと思います。

さて、そろそろ自分のオリジナルアルバムも作り上げたいところですね。もうかれこれ三年は作っていますからね、さすがに長いなぁ。長い。でも、少しずつですが、着々と進んではいるので、年内中になんとか形にしたいな。うん、20代のうちに、いま手掛けているこの作品を、なんとか仕上げたい。他にも作りたい作品のアイディアがいろいろあって、そのせいで、あっちへいったりこっちへいったり、しばらく道に迷っていたのですが、20代総括的なアルバムを、20代のうちに発表したいなと、やはり思いますね、うん。これが終われば、ようやく次にいける気がするのでね。よし、29歳。微妙な年を、頑張り抜こう。



  http://www.akirakosemura.com/
  http://www.scholecultures.net/





Akira Kosemura 今月のオススメ

Dakota Suite / Quentin Sirjacq 『There Is Calm To Be Done』  [2014年06月22日 発売]

Chris HoosonとDavid Buxtonのユニットdakota suiteと、SCHOLEより作品を発表するフランス人作曲家・ピアニストのQuentin Sirjacq による共作アルバムをSCHOLEよりリリースします。
これまで数多くの作品を発表してきているdakota suiteですが、その中でChrisが一貫して表現してきた悲壮美や人生の過酷さをリアルに感じさせる哲学、妻(Johanna)への愛情はそのままに、静寂や、穏やかな時間に捧げる音楽を探求することに重きを置いた作品です。
Quentin Sirjacqは作曲、ピアノ演奏、楽曲アレンジを担当しています。ギター、ベース、ドラム、クラリネット、トランペット、フルート、サックス、トロンボーンなど多様な楽器が登場し、楽曲の持つ世界観を見事に表現しています。インストの楽曲と、必要とされる物語を時折語るボーカルが入った楽曲がバランスよく折り込まれています。 意識的に沈んだ精神状態から浮かび上がるために書かれたラブソングや穏やかな時間のために書かれた楽曲とが合わさる、悲愁を描き続けた従来のダコタスイーツの象徴的な楽曲とは一線を画すアプローチです。 ジャジーなリズム、クラシックやアンビエントの要素が織り交ざりつつも、シンセサイザーやエレクトリックギターなどが登場する、これまでの両アーティストが見せてきたポストクラシカルなスタイルを踏襲した作品です。

静寂から訪れる一筋の光と、静寂へと向かう一時の安らぎに捧ぐ音楽を。
自分だけの安らげる一時のBGMに。



Akira Kosemura 最新作

Akira Kosemura 『Grassland+』  [2014年05月24日 発売]

2010年に発表された小瀬村晶の4作目のオリジナルアルバム「grassland」を追加楽曲収録 + リマスター盤として再発します。
本作は、2010年発表時に限定盤(CD + DVD)/ 通常盤(CD)の二種類で発売された作品でしたが、限定盤は発売と同時にソールドアウト、通常盤もその後に完売し、長らく廃盤となっていた作品です。当時特典として制作された、「grassland b-side」より4曲が追加され、仕様も新しくなりリイシューされます。
ジャケットデザイン、写真は 菊地 慎 が担当。ミニフォトブックレットも追加されています。

「grassland = 草原」と名付けられた本作は、まさに透き通るような青い空の下、草木の間を吹き抜ける風の匂い、瑞々しく息吹く生命の輝きを心向くままに描き出したかのような、儚くも美しく、そして凛とした強さをも感じさせるエレクトロニカの傑作となりました。
aspidistrafly、haruka nakamura、me:mo、the misfortunes of gerald、paniyolo、当真伊都子がゲスト参加。



次回へ続く…。






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