ギャウロフ／ロシアのアリア・歌曲・民謡を歌う（２ＣＤ）

2015年1月19日 (月)

ニコライ・ギャウロフ／ロシアのアリア・歌曲・民謡を歌う（２ＣＤ）

ブルガリアの名歌手、ギャウロフが歌ったロシア語による歌を収めたお買得な2枚組アルバム。国際的に活躍をはじめて間もない若き日に録音した2枚のアリア集のロシアもの抜粋と、名声を確立した1970年代に入って録音された歌曲アルバムと民謡アルバムの組み合わせです。
　ブルガリアはソ連とは同じスラヴ系言語ということで緊密な関係にあり、ギャウロフも声楽の本格的な勉強はモスクワで長期間おこなうなど、ロシア語作品は最重要なレパートリーとして積極的に取り組んでいました。
　ちなみにここでのアリア集は「髭なし」、歌曲集＆民謡集は「髭あり」のギャウロフによる歌唱ということなので、参考までにもともとのジャケット画像を表示しておきます。

【ギャウロフ】
ブルガリア山間部の温泉地、ヴェリングラトの生んだ20世紀を代表するバス歌手の一人、ニコライ・ギャウロフ[1929-2004]は、幼少時にはピアノ、ヴァイオリン、クラリネットを習っていましたが、20歳から声楽に転向、ブルガリア国立音楽院で1年間勉強し、その後はモスクワ音楽院で1955年までの5年間学んで実力をつけます。
　ギャウロフが注目を集めるのは1955年のパリ国際音楽コンクールでの優勝がきっかけで、すぐにプロとしてのキャリアをスタート、スカラ座やウィーン、コヴェントガーデン、ボリショイ劇場などにも出演するようになります。

【オペラ・アリア集】
このセットに収められたオペラ・アリアは、そうした若き日のギャウロフが国際的な舞台に出るようになって間もないころ、1960年代前半の歌唱を収めたもので、若々しく艶やかな美声を聴くことができます。ちなみにもともとこれらの音源は2枚の別々のアルバムに収められていたもので、それぞれロシア＆イタリア・オペラ、ロシア＆フランス・オペラのアリアで構成、レパートリーの広さを売り込む意図もあったものと思われますが、今回の2枚組CDは、ロシアがテーマのため、その中のロシア・オペラのアリアを収録することとなっています。

【歌曲集】
ロシア歌曲集は、ギャウロフの最初の妻でピアニスト、息子の指揮者ヴラディーミルの生みの母でもあるズラティーナ・ミシャコワの伴奏で1971年にデッカでセッション録音したアルバムを丸ごと収めたものです。チャイコフスキーの「ドン・ファンのセレナード」では、ドン・ジョヴァンニ役でも高評価のギャウロフらしい粋な歌を聴かせます。

【民謡集】
ここでのロシア民謡集は、ブルガリアのアタナス・マルガリトフ指揮カヴァル管弦楽団と合唱団の伴奏で1973年にデッカにセッション録音したアルバムを丸ごと収録したものです。ギャウロフはこの後、1978年にはフレーニと再婚、西側であるイタリアに移住し、ソ連に替わってイタリアを第2の祖国としたこともあってか、ロシア民謡アルバムは制作していないので、「ステンカ・ラージン」など有名曲も入ったこれらの録音は貴重です。（ＨＭＶ）

【収録情報】
【オペラ・アリア集】
● グリンカ：歌劇『皇帝に捧げた命』〜Chuyut pravdu … Ti vzoyidyosh
● ルビンシテイン：歌劇『デーモン』〜Ja tot, katoramu vnimala
● チャイコフスキー：歌劇『イオランタ』〜Gospod moi, yesli greshen ya
● ボロディン：歌劇『イーゴリ公』〜Zdorov-li, Knaz?
● ボロディン：歌劇『イーゴリ公』〜Greshno tait, ya skuki ne lyublya
● リムスキー＝コルサコフ：歌劇『サトコ』〜A skaly groznyje drab'atsa s r'ovem volny
● ムソルグスキー：歌劇『ボリス・ゴドゥノフ』〜Smirenniy inok ... Odnazhdy, v vecherniy chas
● チャイコフスキー：歌劇『エフゲニ・オネーギン』〜Lyubvi vsye vozrasti pokorni
● ラフマニノフ：歌劇『アレコ』〜Ves' tabar spit

　ニコライ・ギャウロフ（バス）
　ロンドン交響楽団
　エドワード・ダウンズ（指揮）

　録音時期：1962年、1964年、ロンドン
　録音方式：ステレオ（アナログ／セッション）

【歌曲集】
● チャイコフスキー：Nyet, tolko tot, kto znal
● チャイコフスキー：Ni slova o drug moy
● チャイコフスキー：Serenada Don-Zhuana
● チャイコフスキー：To bylo ranneyu vesnoi
● チャイコフスキー：Sryed shumnovo bala
● チャイコフスキー：Blagoslavlyayu vas, lesa
● ボロディン：Dlya beregov otschizni dal'noi
● グリンカ：Nochnoy smotr
● ルビンシテイン：Melodya
● ダルゴムイシスキー：Chervyak
● ダルゴムイシスキー：Nochnoi defir stroont efir
● ダルゴムイシスキー：Starij Kapral

　ニコライ・ギャウロフ（バス）
　ズラティーナ・ギャウロフ（ピアノ）

　録音時期：1971年、ウィーン、ゾフィエンザール
　録音方式：ステレオ（アナログ／セッション）

【民謡集】
● Utyos
● Ei, Ukhnyem
● Dubinushka
● Bandura
● Stenka Razin
● Vdolj po Peterskoy
● Vtyomnon lesye
● Ochi chornye
● Nochenka
● Dvenadsat' razboynikov
● Proshchai radost

　ニコライ・ギャウロフ（バス）
　カヴァル管弦楽団＆合唱団
　アタナス・マルガリトフ（指揮）

　録音時期：1973年
　録音方式：ステレオ（アナログ／セッション）