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2015年4月9日 (木)
ベルリン・フィル関係ニュース
実証実験:4月11日、ラトル指揮ベルリン・フィルの演奏会が、DSD5.6MHzでハイレゾ配信 ハイレゾ(ハイレゾリューション・オーディオ)は、クラシック界のみならず、一般でも大きな話題を呼んでいますが、その一形式であるDSD5.6MHzによるライブ・ストリーミングの実証実験が、4月5の東京・春・音楽祭、11日のベルリン・フィルの演奏会で行われることになりました。 実験を実施するのは、ソニー、KORG、Saidera Paradiso、IIJの日本企業4社。DSD5.6MHzとは、CDの128倍のサンプリング周波数を持つ録音形式で、大量のデータを必要とするため、これまでストリーミングは困難とされていました。今回の公開実証実験では、これを実現するために、上記4社が技術を提供し合います。当ライブ・ストリーミングは、無償のプレイヤーを特設サイトよりダウンロードし、DAC(デジタル・アナログ変換機)に接続することで、一般の方にもお楽しみいただけます。 ストリームされるのは、@4月5日に東京・春・音楽祭2015で行われる「東京春祭マラソン・コンサート vol.5 《古典派》〜楽都ウィーンの音楽家たち」と(終了)、A日本時間12日02:00よりベルリン・フィルハーモニーで行われるサー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルの演奏会「ベルリオーズ《ファウストの劫罰》」です。 ベルリン・フィル演奏会ストリーミング情報: 演奏曲目:ベルリオーズ《ファウストの劫罰》全曲 ベルリン放送合唱団(合唱指揮:サイモン・ハルシー) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮サー・サイモン・ラトル 独唱:チャールズ・カストロノーヴォ(ファウスト)、ジョイス・ディドナート(マルグリート) リュドヴィク・テジエ(メフィストフェレス)、フローリアン・ベッシュ(ブランデル) 配信日時:ドイツ時間 2015年4月11日(土曜日) 19:00〜(終了予定:21:40) 日本時間 2015年4月12日(日曜日) 2:00〜(終了予定:4:40) なお、ライブ配信後には、4月19日までオンデマンド配信が行われます。ストリーミング受信方法等の詳細は、特設サイト「DSD Live Streaming」( http://dsd.st/ )をご覧ください(写真:3月11日、ベルリン・フィルハーモニーでのテスト・セッションの模様© ソニー、IIJ、KORG、Saidera Paradiso)。 ※DSD5.6MHzストリーミングを受信するためには、DACと特設サイトで無料提供されるソフト(プレイヤー)が必要となります。対応機器については特設サイトをご参照ください。 ※特設サイトは、ストリーミング時には混雑が予想されます。予めプレイヤーをダウンロード&インストールし、動作確認をお済ませになることをお薦めします。 DSDライブ・ストリーミング特設サイト バーデン=バーデン・イースター音楽祭が終了 3月27日から4月6日にかけて、ベルリン・フィルのバーデン=バーデン・イースター音楽祭が行われました。2013年にザルツブルクから移転したこのフェスティヴァルも、今年で3年目。オペラ公演の《ばらの騎士》では、ベルリン・フィルが初めてこの作品に取り組みました。サー・サイモン・ラトルの指揮のもと、アニヤ・ハルテロス(元帥夫人)、マグダレーナ・コジェナー(オクタヴィアン)、アンナ・プロハスカ(ゾフィー)、ピーター・ローズ(オックス男爵)という一流キャストが勢揃い。演出は往年の名メゾ、ブリギッテ・ファスベンダーが担当しました。 ファスベンダーの演出は、元帥夫人の悲しみに重点を置いた従来の解釈から、やや距離を取ったもの。コメディーとしての軽やかさを打ち出し、装置や衣装も現代ともロココともつかない中間的なスタイルを示しています。元帥夫人を現代的な女性として表現したハルテロスの名演技、名唱に支えられて、胸を打つ舞台となっていました。ラトル&ベルリン・フィルの演奏も、華麗さ、豊麗さに溢れ、このオケで「ばらの騎士」を聴く醍醐味を感じさせています。(3月27・30日、4月2・6日)。 ベルリン・フィルは、この他コンサート3プログラムを演奏。ラトル指揮の《ファウストのごう罰》は、ジョイス・ディドナート(マルグリート)、チャールズ・カストロノーヴォ(ファウスト)、リュドヴィク・テジエ(メフィストフェレス)という一流の配役。ディドナートの艶やかな舞台姿、歌声が強い印象を残したほか、ラトルのベルリオーズへの適性が際立っていました(3月29日、4月5日)。 またベルナルド・ハイティンク指揮のコンサートでは、ベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲」と《田園》が演奏されています。ハイティンクが入魂の指揮を披露し、感動的なひと晩となりました(ソロ:イザベル・ファウスト。3月28日)。またリッカルド・シャイー指揮の演奏会では、残念ながらマルタ・アルゲリッチがキャンセル。しかし、イゴール・レヴィットが代演し、健闘を見せています(4月4日)。 この他にも、ベルリン・フィル団員による15回の室内楽演奏会、青少年プログラムが開催され、期間中は町中に音楽が溢れました(会場は市内の美術館や教会等。写真は樫本大進、エマニュエル・パユ、ヴェンツェル・フックス、ルートヴィヒ・クヴァント、エリック・ルサージュによる演奏会)。未来のオペラ歌手、演出家のためのワークショップも開かれ、その終了公演《小さなばらの騎士》も上演されています。 来年のフェスティヴァルでは、《トリスタンとイゾルデ》がラトルの指揮で新演出上演されるほか、ベートーヴェン《第9》等のプログラムが並ぶ予定です。コンサートのソリストには、内田光子、ヨーヨー・マが登場します(写真:© Monika Rittershaus)。 バーデン=バーデン・イースター音楽祭についてのページ ベルリン・フィルの公式ツアー・ブログ(フォト・ギャラリー) ドイツ銀行がベルリン・フィルとのパートナーシップを延長 ドイツ銀行がベルリン・フィルとのパートナーシップを延長することが発表されました。現在の契約は2015年までのものでしたが、これが20年まで継続されます。 延長についてサー・サイモン・ラトルは、「音楽は贅沢ではなく、誰でも享受できるものであるべきです。我々は、ドイツ銀行の協力により、それを言うだけでなく、実際に示すことができます。我々の教育プログラムは、彼らのサポートなしには不可能でした。我々の発想をさらに5年支えてくれるドイツ銀行に、心からの感謝を述べたいと思います」と述べています。 ドイツ銀行は、1989年よりベルリン・フィルのパートナーを務めています。2002年からは教育プログラム、また09年からはデジタル・コンサートホールを実現し、サポートしています(写真:左からベルリン・フィル・インテンダント、マルティン・ホフマン、ラトル、ドイツ銀行CEOユルゲン・フィッツチェン。3月30日、バーデン=バーデンにおける記者会見より。© Monika Rittershaus)。
最新のDCHアーカイブ映像
カラヤンの「第9」(1977年版) 1977年12月31日収録 【演奏曲目】 ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱付き》 ソプラノ:アンナ・トモワ=シントウ アルト:アグネス・バルツァ テノール:ルネ・コロ バス:ジョゼ・ファン・ダム ウィーン楽友協会合唱団 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィルがヘルベルト・フォン・カラヤンの指揮で初めてベートーヴェンの第9交響曲を演奏したのは1957年4月、当団の創設75周年の演奏会においてでした。1963年10月には、ベルリン・フィルハーモニーのオープニングをこの作品で飾っています。「すべての人々は兄弟となる」というそのメッセージゆえに、特に東西が分断されていたベルリンで「第9」は長らく特別な意味を持っていたのでした。 カラヤンとベルリン・フィルは、1967年、1970年、1977年の大晦日の演奏会でもこの曲を取り上げ、同時にライブ中継されました。ここで聴くことができる1977年末の実況映像は、「特にフィナーレ冒頭の弦楽器のレチタティーヴォにおいて、オーケストラが新しい力と豊かな音量を獲得した」という実感をカラヤンが抱いたことから実現したもので、1975/76年の冬に脊椎の大病を乗り越えたカラヤンは、新たな気分で仕事に取り組むことになりました。 監督は、イギリス人プロデューサーのハンフリー・バートン。カラヤンはカット割に関して細かな注文を付けたものの、「そこに自己中心性は感じられませんでした。カラヤンは音楽だけを問題にしていたのです」とバートンは後に回想しています。クラシック音楽の傑作を世界中の人々に届けることを生涯願い続けたカラヤンは、この「第9」の上演後にオーケストラの前で、この演奏がヨーロッパ、日本を始め1億人以上の視聴者に届けられる喜びを述べたといいます。カラヤンが遺した「第9」の映像の中でも、特に評価の高い1977年の演奏をぜひお聴きください。 カラヤンの「第9」をDCHで聴く カラヤンのミサ・ソレムニス 1979年4月7日収録 【演奏曲目】 ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス ソプラノ:グンドゥラ・ヤノヴィッツ アルト:ルジャ・バルダーニ テノール:エリック・タピー バス:ジョゼ・ヴァン・ダム ウィーン楽友協会合唱団 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン 1935年、ヘルベルト・フォン・カラヤンが弱冠27歳でアーヘン市立歌劇場の音楽監督に就任すると、彼は合唱付きの大作を手がけるようになります。この時代に指揮し始めたバッハのロ短調ミサと《マタイ受難曲》、ハイドンの《天地創造》、ベートーヴェンのミサ・ソレムニス、ブラームスのドイツ・レクイエム、ヴェルディのレクイエムは、カラヤンにとって終生大切なレパートリーであり続けました。1937年11月、カラヤンがアーヘンで初めてベートーヴェンのミサ・ソレムニスを指揮したのは、彼にとって初となるワーグナーの《指環》ツィクルスの3日前のこと。この公演は大成功を収め、後にブリュッセルとベルリンでも再演しています。1949年1月には、ウィーン楽友協会合唱団との共演で戦後初めてミサ・ソレムニスを振り、その1年後、楽友協会の音楽監督に就任。以降40年間、カラヤンはもっぱらこの合唱団と共演しました。1967年、第1回のザルツブルク・イースター音楽祭で、カラヤン指揮ベルリン・フィルはウィーン楽友協会合唱団と共にミサ・ソレムニスを上演しました。ここで聴くことができるのは、1979年の再演の際に収録された映像です。 バッハのロ短調ミサ同様、ミサ・ソレムニスにおいても、カラヤンはキリストの受肉、受難、復活のメッセージを伴うクレドで一際緊張感の高い瞬間を作り出しています。コンサートでの彼の指揮ぶりが時々聴衆にまったく異なる印象を与えたとしても、ここではカラヤンの深い信仰心に裏打ちされた音楽を聴くことができるでしょう。 カラヤンのミサ・ソレムニスをDCHで聴く
これからのDCH演奏会
ラトルの《ファウストのごう罰》 2015年4月12日(日)日本時間午前2時 【演奏曲目】 ベルリオーズ:《ファウストのごう罰》 独唱:チャールズ・カストロノーヴォ(ファウスト)、ジョイス・ディドナート(マルグリート) リュドヴィク・テジエ(メフィストフェレス)、フローリアン・ベッシュ(ブランデル) ベルリン放送合唱団(合唱指揮:サイモン・ハルシー) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:サー・サイモン・ラトル ベルリオーズの《ファウストの劫罰》は、作曲家自身がテキストを書き、シェークスピア的な手法で登場人物の情熱と奇怪さに焦点を当てて完成させた大作です。「私はゲーテの原作の枠組みに忠実に従おうとは思わなかった」とベルリオーズが語ったように、ゲーテの原作にはない創作も盛り込まれ、ジャンルの上ではオペラと合唱交響曲の間を揺れ動く作品と呼べるでしょう。ベルリオーズの創作のファンタジーは、バイロン風のメランコリックな人物として描かれたファウストよりも少女マルグリートに向けられており、メフィストフェレスや悪魔たちが絡んでの劇的効果は比類がありません。 後世に大きな影響を与えたベルリオーズの理論書『近代の楽器法と管弦楽法』(1843年)を著した直後に完成されたこの作品は、オーケストレーションの色彩の豊かさにおいて際立っています。通常はなおざりにされがちな金管楽器の低音域にメフィストフェレスの身の毛のよだつような不吉な音が与えられ、バレエ音楽における極めて優美な木管楽器の音楽も聴きものです。サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルによる今回の上演では、英タイムズ紙に「比較不可能な神の声」と評されたメゾソプラノのジョイス・ディドナート(マルグリート)、テノールのチャールズ・カストロノーヴァ(ファウスト)、リリックバリトンのリュドヴォク・テジエ(メフィストフェレス)らのソリストのほか、ベルリン放送合唱団を加えた理想的な布陣でお届けします。 なおこの公演の音声は、ソニー、KORG、Saidera Paradiso、IIJの4社によりハイレゾ・フォーマット「DSD5.6MHz」でライヴ・ストリーミングされます(本ページ冒頭参照)。 ラトルの《ファウストのごう罰》をDCHで聴く 無料中継!ブンデスユーゲント管がテツラフと共演 2015年4月13 日(月)日本時間午前3時 【演奏曲目】 バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番 チャイコフスキー:交響曲第4番 ヴァイオリン:クリスティアン・テツラフ ブンデスユーゲント管弦楽団 指揮:カール=ハインツ・シュテフェンス ドイツの若手の音楽家で構成されるブンデスユーゲント管弦楽団が、ベルリン・フィルハーモニーに客演します。今回指揮をするカール=ハインツ・シュテフェンスは、2007年までベルリン・フィルのソロ・クラリネット奏者を務めた後、指揮者に転向しました。2008年から13年までハレ歌劇場の音楽監督、2009年からはラインラント=プファルツ国立フィルの音楽監督を務め、2013年には古巣のベルリン・フィルに指揮者としてデビューを果たし、成功を収めています。 今回のベルリン公演では、今シーズンベルリン・フィルの「アーティスト・イン・レジデンス」の任にあるクリスティアン・テツラフをソリストに迎え、バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番とチャイコフスキーの交響曲第4番が演奏されます。バルトークのヴァイオリン協奏曲は、1937年から38年にかけて同じハンガリー人のヴァイオリニストで、当時右派系の新聞からの中傷にさらされていたゾルターン・セーケイの依頼で書かれました。チャイコフスキーの第4交響曲は、作曲家の個人的な危機の頃に生まれたもので、運命的なファンファーレにより幕を開けます。 ブンデスユーゲント管の演奏会(無料映像)をDCHで聴く
ドイツ発最新音楽ニュース
本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。 パッパーノがローマ・サンタ・チェチーリア管の契約を延長 アントニオ・パッパーノが、ローマ・サンタ・チェチーリア管の契約を、2019年まで延長することが発表された。パッパーノは、2005年より現職にある。 ローマ・サンタ・チェチーリア管は、2002年よりレンツォ・ピアノ設計のパルコ・デッラ・ムジカを本拠としている。パッパーノは、ダニエーレ・ガッティ、チョン・ミョンフンに続く首席指揮者である。なお彼は、ロイヤル・オペラ・ハウスの音楽監督も務めている。 ルスティオーニがリヨン国立オペラの常任指揮者に イタリアの指揮者、ダニエーレ・ルスティオーニが、リヨン国立オペラの常任指揮者に決定した。就任は、2017年9月。このポストは、現在大野和士が務めている。 ルスティオーニは、年間2本のオペラ・プロダクションと、シンフォニー・コンサートを指揮する予定だという。 次号の「ベルリン・フィル・ラウンジ」は、2015年4月25日(土)発行を予定しています。 ©2015 Berlin Phil Media GmbH, all rights reserved. フェイスブック:ベルリン・フィル日本語版公式アカウント ツイッター:ベルリン・フィル日本語版公式アカウント |