2015年5月1日 (金)
デビュー以来、シンプルなアコースティック楽器を主体としたサウンドでSSW然としたうたを歌う印象が強い湯川潮音。一年半ぶりにリリースされるアルバム『セロファンの空』は一転。エレクトリック・ギターやドラム、シンセや管楽器を大胆に導入、新たなサウンドにチャレンジしている。“一転”と言ったが、これまでの印象を全く覆したものかというとそうではない。聴いて貰うとお解り頂けると思うが、どの曲もやはり“湯川潮音”なのである。表現方法を一新した事がかえって、湯川潮音の音楽家としての個性を際立たせる結果となっているようだ。
先週公開したインタビューに続き、今週は湯川潮音本人による全曲解説を公開。アルバムを聴きながら是非お楽しみください!
インタビューはこちら
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Dustinのつくってくれた曲のエンディングにおまけとして青弦がつくってきてくれたもの。白昼夢のような、三途の川を渡るような?!
アルバムの導入にふさわしい雰囲気だと思いました。
birch
このアルバムをつくるにあたって最初に出来た曲。小さい頃から愛用の、バイオリンやフルートの音色の出るミニ鍵盤でリフやフレーズをつくっていきました。
少し趣向も変えたかったので、ギターもいつものガットギターからエレキギターに。
曲のアイデアを延本さんに話したところ「夢で見た話がある!」と言って、この木と人間が恋をする物語を話してくれて、ちょうどその時期読んでいたラ・フォンティーヌの寓話とも相まって世界が広がりました。
ルーシー
アコースティックギターを弾いていたときに、コード感が少しジョン・レノンっぽい!と思い「ルーシー」となんとなく唄っていました。壊れたオルゴールみたいな間奏が欲しかったので、デタラメにピアノを左手で弾いたフレーズがそのまま使われています。
生まれたときから、物に溢れていて、知りたい情報はすぐにでも手に入れる事が出来る、ということはどういう状況なんだろうというところに焦点をあてた曲です。
役者
あるCMで役者さんが「演じること」について話をしていて「日常の自分より演じている自分の方がリアルに感じるときがある」という言葉が印象に残りました。それは役者さんだけの話ではなく誰にでもある側面なんではないかと思いました。
どこかで私たちは自分という役を演じているんではないかと。
そしてそれは悪いことではないんじゃないかなと思ったことを歌にしました。
i I I i....
Dustinの音楽や人柄が大好きで、ライブで一緒に何曲か演奏させてもらったりしているうちに何かつくらせてもらいたいなと思うようになりました。下北沢の喫茶店でお喋りをしてアイデアを出し合っていたときに、Dustinから「タップダンスのステップをリズムにしたものがあるんだ」というのを聞いて、そこからやりとりをすること数週間、壮大なテーマへと曲が広がっていきました。
映画スタートレックの中で、ロボットに女性教官がダンスを教えるシーンの動画を繰り返し見ました!
私の中で新しいチャレンジとなった曲。
まさに「i I I i....」と自分の中を冒険しているようでした。
自由の冠
前作の「にじみ」という曲がとても気に入っていて、またおおはたさんとつくらせてもらいたいなと思いました。走り書きのようにメモしていた歌詞がポケットから出てきて、そのまま使いました。
メロディが送られてくると、書きかけの紙の上から鳥が羽ばたいていくような感じがしたので、途中にそういう音を入れました。
ハイエナのイエナ
歌詞を書いてくれた延本さんは前作に引き続きいつも、はっとさせられるような言葉を紡ぐ人です。長岡さんのギターの閃きが曲に躍動感を与えてくれました
言葉遊びのようなこの曲は「気高き狩人」への尊敬の意も込めて。
ジョーカー
仮タイトルは「サーフファンク」。意図せずにファンクっぽい曲ができました。
達久くんが何時間もいろいろ実験をしてこの独特のリズムをつくりあげてくれました。
これもミニ鍵盤でつくったもの。
ニュースで日々流れている劣悪な争いや事件、拳を振り上げれば相手も同じことをするのは火を見るより明らかなこと。
We’ll see
ブラスセクションからつくりはじめた曲。カーニバルのような星空のようなサウンドがシャガールの絵を彷彿とさせて、おおはたさんが画家を主人公にした言葉を乗せてくれました。
「嘘みたいな現実の中で日々を生きている」というフレーズはアルバム全体のテーマも表しています。
パリの動物園
一人旅が好きであちこちに行くのですが、初めて訪れた国で右も左もわからず。そういうときに限って失くし物をしたりという経験はよくあります。
「ミッドナイト・イン・パリ」「ポンヌフの恋人」という映画から着想を得ました。
パリは何度か訪れているのですが、いつも違う表情を見せてくれる街。
それだけに魔性でもある。
ワルツの亡霊
実直なラブソングが書きたくてこの曲が生まれました。うまくいくことがあればうまくいかないこともある。
永遠にそれは変わらないようです。
湯川潮音 『セロファンの空』[2015年5月2日]
『セロファンの空』は、前進し続ける音楽家・湯川潮音が作り上げた、これまでで最高に冒険的な傑作である。アコースティック楽器を主体とした『濡れない音符』から一転、エレクトリック・ギターやドラム、シンセや管楽器をかつてなかったほど大胆に取り入れ、新たなサウンドに挑戦する湯川潮音の姿がここにある。17世紀フランスの詩人ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの寓話にも影響を受け、動物や植物を擬人化した表現に取り組んだというリリック面での挑戦もあってか、エレクトロニックでありながらもノスタルジックで、どこか異国情緒も漂う他に類を見ない不思議な魅力に満ちた音世界を作り上げている。また、人生で初めてサーカスを観に行った日の帰り道に偶然、駅前でやっていた(マルク・)シャガール展に迷い込み、回転木馬のようにつづいているその印象が、ドラマティックでカラフルな音作りにつながったという。たしかに、「birch」や「ハイエナのイエナ」といった本作の中核を成す新機軸の楽曲のカラフルさは、これまでになかったものだ。こうした楽曲には、昨今のブルックリンの音楽からの影響が窺える。一方で、湯川の歌声が胸を打つ、叙情あふれるすばらしいバラード「ワルツの亡霊」や、前作『濡れない音符』の流れを汲むと言っていい軽快でスウィンギーな「パリの動物園」も収録されている。『セロファンの空』には、挑戦的な楽曲と、これまでの路線をより深化させた楽曲が、なんの違和感もなく同居しているのだ。
<参加ミュージシャン>
徳澤青弦(Throwing a Spoon、anonymass 等)(cello, etc)、長岡亮介(ペトロールズ)(g)、千葉広樹(Kinetic、サンガツ、蓮沼執太フィル等)(b)、山本達久(NATSUMEN、ジム・オルーク、石橋英子、真夜中ミュージック等)(ds)、藤原マヒト(ワールドスタンダード等)(p)、武嶋聡(EGOWRAPPIN’、ネタンダーズ等)(管楽器)、ゴンドウトモヒコ(蓮沼執太フィル、pupa、anonymass等)(tp)『セロファンの空』収録楽曲
- 01. ....
- 02. birch
- 03. 未来のルーシー
- 04. 役者
- 05. i I I i....
- 06. 自由の冠
- 07. ハイエナのイエナ
- 08. ジョーカー
- 09. We'll see
- 10. パリの動物園
- 11. ワルツの亡霊
湯川潮音 プロフィール
1983年東京出身。小学校時代より東京少年少女合唱隊に在籍、多くの海外公演などを経験。2001年ポップフィールドではじめて披露された歌声が 多くの話題を呼ぶ。翌年のアイルランド短期留学から帰国後、自作の曲も発表し本格的な音楽活動をスタート。以降、美しいことばの響きを大切にした歌詞、ク ラシックやトラディショナルを起点に置いた独自の世界観で音楽を紡ぎ続けている。湯川潮音 オフィシャルサイト
湯川潮音 ライブ情報
●“セロファンの空”release tour 2015■東京公演
公演日:2015年6月4日(木)
会場:渋谷 WWW
料金:前売 3,300円/当日 3,500円(税込/ドリンク代別/オールスタンディング)
チケット:ローソン(L:74834)
■大阪公演
公演日:2015年6月10日(水)
会場:梅田 Shangri-La
料金:前売 3,300円/当日 3,500円(税込/ドリンク代別/オールスタンディング)
チケット:ローソン(L:52467)
[東京・大阪公演 サポートミュージシャン]
徳澤青弦 (cello.syn)長岡亮介(guitar)千葉広樹(bass)山本達久(drums)
■福岡公演
公演日: 2015年6月29日(月)
会場:福岡 ROOMS
料金:前売 3,300円/当日 3,500円 (税込/ドリンク代別)
チケット:ローソン(L : 85487)
一般発売日:2015年4月15日(水)
■名古屋公演
公演日: 7/28(火)
会場:名古屋 Tokuzo
料金:前売 3,300円/当日 3,500円 (税込/ドリンク代別)
チケット:ローソン(L:47277)
一般発売日:2015年4月15日(水)
[福岡・名古屋公演 サポートミュージシャン]
徳澤青弦 (cello,syn)、itoken(ds,per,etc)
▼ こちらも未読の方は是非!
【HMVインタビュー】 湯川潮音 ニューアルバム 『セロファンの空』
これまでの作品から一転。新たなサウンドにチャレンジしたニューアルバム。表現方法を一新した事がかえって、湯川潮音の音楽家としての個性を際立たせる結果となっているようだ。
これまでの作品から一転。新たなサウンドにチャレンジしたニューアルバム。表現方法を一新した事がかえって、湯川潮音の音楽家としての個性を際立たせる結果となっているようだ。
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HMVの邦楽バイヤーによる、邦楽専門アカウントです。独自の視点でオススメ作品をご紹介!特集・連載企画などもバシバシUpしていきますよ。
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ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
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