リッチ＆アルゲリッチ／レニングラード・リサイタル１９６０

2015年5月18日 (月)

リッチ＆アルゲリッチ／レニングラード・リサイタル１９６０
アルゲリッチ、ブール＆南西ドイツ放送響／ラヴェル：ピアノ協奏曲

「Doremi」アルゲリッチ・シリーズ、第５弾の登場。今回はすべて初出音源なうえ、アルゲリッチ唯一の録音レパートリーも多く含まれています。
　注目は1961年４月21日に旧ソ連レニングラードのフィルハーモニー大ホールで行なわれたルッジェーロ・リッチとのリサイタル。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第３番が予想以上の素晴らしさ。この作品は主役がピアノと言っても過言でありませんが、若きアルゲリッチの天衣無縫なピアノを存分に堪能できます。典型的な乗った時のアルゲリッチで、その推進力、緊張感は息をつく暇もない凄さ。43歳のリッチも触発され、エネルギーを発散しています。プロコフィエフとバルトークのソナタは彼ひとりの演奏ですが、当時絶頂期だったリッチの録音もメチャメチャ貴重。本当に凄いです。
　さらに嬉しいがサラサーテの『序奏とタランテラ』。伴奏とはいえ、アルゲリッチのサラサーテはこれしか聴くことができませんが、自然なスペイン色の表出が見事。あらためてサラサーテがスペインの作曲家であったことを認識させてくれます。
　ラヴェルのピアノ協奏曲は、往年の指揮者エルネスト・ブールとの共演。アルゲリッチの十八番ですが、当時19歳の若さはこの時期の魅力ですが、ピアノの音色が七色なアルゲリッチ・マジックに驚嘆。ピアノ音楽史の宝と申せましょう。（キングインターナショナル）

【収録情報】
●　ベートーヴェン：ヴァイオリン・ソナタ第3番変ホ長調 Op.12-3
　ルッジェーロ・リッチ（ヴァイオリン）
　マルタ・アルゲリッチ（ピアノ）

●　プロコフィエフ：無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Op.115
　ルッジェーロ・リッチ（ヴァイオリン）

●　バルトーク：ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ（ジェルトレル編）
　ルッジェーロ・リッチ（ヴァイオリン）
　マルタ・アルゲリッチ（ピアノ）

●　バルトーク：無伴奏ヴァイオリン・ソナタ
　ルッジェーロ・リッチ（ヴァイオリン）

●　サラサーテ：序奏とタランテラ Op.43
　ルッジェーロ・リッチ（ヴァイオリン）
　マルタ・アルゲリッチ（ピアノ）

　録音時期：1961年4月21日
　録音場所：レニングラード、フィルハーモニー大ホール
　録音方式：モノラル（ライヴ）

●　ラヴェル：ピアノ協奏曲ト長調
　マルタ・アルゲリッチ（ピアノ）
　南西ドイツ放送交響楽団
　エルネスト・ブール（指揮）

　録音時期：1960年2月4日
　録音場所：バーデン・バーデン
　録音方式：モノラル（放送用セッション）