若き日のリヒテルの生気あふれる演奏

2015年8月1日 (土)

バッハ：イギリス組曲第３番、カプリッチョ変ロ長調、ベートーヴェン：ピアノ・ソナタ第２２番、他
スヴィヤトスラフ・リヒテル

何と33歳のリヒテルによる演奏が蘇りました。彼が世界中を驚かせたソフィア・ライヴより10年前、1948年のモスクワ・ライヴです。物凄い生気のあふれるバッハで、実際演奏会を聴いた人々はどれだけ圧倒されたかと想像してしまいます。ソナタのみヴェネツィア盤で出たことがありますが、同日の他曲は初出。さらにそのひと月半後のイギリス組曲第３番も貴重。リヒテルは後年に素晴らしいバッハ録音をいろいろ残していますが、ここに聴く若さは他にかけがえがありません。
　11月のコンサートからベートーヴェンのピアノ・ソナタ第22番も収録されているのが驚き。ベートーヴェンのピアノ・ソナタの中で、何故か否定的な評価をされることの多いこの作品を選んでいるのもリヒテルならではのこだわり。素晴らしく魅力的な作品に聴こえます。
　さらに、1968年にアイルランドのダブリンで行ったコンサートからのフランス組曲第２番も貴重。さすがに円熟が見られますが、乗った時のリヒテルの魔術を聴くことができます。（キングインターナショナル）

【収録情報】
● J.S.バッハ：カプリッチョ変ロ長調 BWV.992『最愛の兄の旅立ちにあたって』
● J.S.バッハ：幻想曲ハ短調 BWV.906
● J.S.バッハ：ソナタニ長調 BWV.963
　録音時期：1948年10月14日
　録音場所：モスクワ

● J.S.バッハ：イギリス組曲第3番ト短調 BWV.808
　録音時期：1948年11月27日
　録音場所：モスクワ

● J.S.バッハ：フランス組曲第2番ハ短調 BWV.813
　録音時期：1968年11月16日
　録音場所：ダブリン

● ベートーヴェン：ピアノ・ソナタ第22番ヘ長調 Op.54
　録音時期：1948年11月27日
　録音場所：モスクワ

　スヴィヤトスラフ・リヒテル（ピアノ）

　録音方式：モノラル（ライヴ）