無人島 〜俺の10枚〜 【DYGL:Nobuki Akiyama 編】

2017年04月19日 (水) 15:00

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バンド・キャンプでの作品リリース『EP #1』(2015年)、そして昨年(2016年)リリースした初の全国流通盤EP『Don't Know Where It Is』、7inchシングル『Waste Of Time / Sightless』を通じ、たちまち耳の肥えたリスナーをロックし、コアな洋楽リスナーも黙ってはいられない程の存在感を示した DYGL(デイグロー)。その純度の高いロック・サウンドは、90年代生まれのバンドメンバーと同世代の若者はもちろん、90〜00年代の US&UKインディーに熱中したかつての若者世代をも再び音楽の渦に引き戻すほどのパワーをもって僕らを惹きつける。もっと言えば、国境なんか軽く飛び越え世界の早耳リスナーの注目を集めているのだ。

2012年に大学のサークル内で結成された DYGL は、2016年末をもって活動を休止した Ykiki Beat のメンバー3人が参加している4人組バンド。Ykiki Beat よりもインディ・ロックが持つむき出し感全開のサウンドが印象的だ。そんな彼らが結成5年目にして遂に1stフルアルバム『Say Goodbye to Memory Den』をリリースする。この作品が、プロデューサーに The Strokes の Albert Hammond Jr. を迎え、NYで制作されたというから驚きだ。盤石ではないか。

このアルバムリリースを契機に国内外を問わず大きな躍進を見せてくれるだろう DYGL が、ローチケHMVニュースの「無人島 〜俺の10枚〜」に登場。連載形式で毎週1名のメンバーが10枚の作品を紹介してくれる。さて、彼らが影響を受けたインディ・ロックとは?


無人島 〜俺の10枚〜 【DYGL:Nobuki Akiyama 編】
音楽好きには、超定番の企画“無人島 〜俺の10枚〜”。なんとも潔いタイトルで、内容もそのまんま、無人島に持って行きたいCDを10枚チョイスしてもらい、それぞれの作品に込められた思い入れを思いっきり語ってもらう。ミュージシャンとしてルーツとなるもの、人生を変えた一枚、甘い記憶がよみがえる一枚、チョイスの理由にはそれぞれのアーティストごとに千差万別。今回のお客様は、DYGL から Nobuki Akiyama(ボーカル・ギター)が登場。

各メンバーが選んだ10枚はこちら


The Clash 『London Calling』
無人島に持っていく10枚、今回は帰る手段を絶たれ、場合によってはそこで死ぬ可能性もあるという海外ドラマさながらな前提がなぜか自分の中にありましたので、さいあくこれがあれば生きて行ける…というような極限状態のシチュエーションに沿う、長く付き合っていけるアルバムをセレクトしました。「London Calling」「Lost in the Supermarket」「Spanish Bombs」...テーマもコンセプトもきっと無人島ではなく橙の街灯に照らされた街の寂れたストリートで聴く方が映えるのでしょうが、その辺はご愛敬で。手付かずの緑が鬱蒼と茂った無人島で聞いても、きっと素晴らしい。好きなアルバムです。


Oasis 『(What’s the Story) Morning Glory?』
このアルバムが何故素晴らしいのか理由を書けば書くほど馬鹿らしくなる、理屈抜きに素晴らしいアルバム。純粋な人生への愛と希望と酒の匂い(?)に満ちた、若きキッズに何処までも突き抜けるような地平を感じさせる、ロックの夢そのものの様なアルバム。説明不要な圧倒的名盤です。無人島がどんなに狭く寂しく息苦しくても、このアルバムがあればきっと大丈夫。きっと聴くたびに最高の友人を連れて来た気分になれる、無人島生活において最も大切なアルバムになることでしょう。頼もしい一枚。


The View 『Hats Off to the Buskers』
若かりし日にこのアルバムに出会わなかったら、今頃何処で何をしているのか見当もつかない...と多少言い過ぎてしまうくらい圧倒的に音楽への扉を開いてくれた、個人的には外せない記念碑的アルバム。14歳の頃の私はこのアルバムの2曲目「Superstar Tradesman」イントロのカッティングをCD屋の試聴機で聞いた瞬間に人生が決まったと確信したわけなのですが、いわゆる雷が落ちたあの衝撃から10年後自分もあのカッティングの様な魔法を求めて音楽を続けているのもひとえにこのアルバムのお陰であります。そしてこのバンドを発掘したA&Rマンは他でもない The Strokes や The Libertines を発掘した人物だとライナーで読み、そこから若き私はあれよあれよと言う間にロックの深淵にはまっていったとさ。ありがとう、ジェームス・エンデコット。


The Libertines 『Up the Bracket』
ロックというのは人生そのものなんだということを身を以て教えてくれたピート・ドハーティ(&もちろんカール・バラー)に憧れたキッズは数知れず。ミレニアル世代以降にロックないしパンクの炎を絶やさずに、しかもより魅力的に輝かせてくれた(しかも儚く)、稀有なバンド。聴く度にガッツポーズが出るアルバムというのはそう多くはありませんが、某Oasis に負けるとも劣らず、日本人の琴線にもバッチリ響く彼らのロックンロールマナーは今この時代にも燦然と輝くこと間違いなし。と断言させて頂くわけでございますが、無人島で聴く場合はちょっと友達と一緒に聴きたくなりそう。人間味、ヒューマン味溢れる大名盤。


Razorlight 『Up All Night』
そろそろイギリスっ子ロックンロールシリーズもしつこいかなと自覚しつつ、無人島でロンドンパンクはどないやねんというツッコミも聞こえつつ、ここまで来ては最早外すことの出来ない「俺的ロック演歌アルバム」をエントリー。痛いほどカッコつけすぎてもう大概にしてやと言いたくなるのですが、結果やっぱり「かっけーっす!」と生粋のロックっ子(2000年代)は漏れなく諸手を挙げて絶賛したであろう名曲粒揃いのアルバム。「VICE」。L, O, V, E は流石にキザ過ぎるっしょ。と、聴く人が聴けば田舎者のいなたいロックなのかもわかりませんが、僕の中ではロックバイブル的な作品です。何ヶ月かに一回、無性に聴きたくなること間違いなし?なので念の為ピックアップ。


The Velvet Underground 『The Velvet Underground』
ちょっと寂しげなアルバムもエントリー。と書きながらよく考えたら軽快でエネルギッシュな曲も普通にあるのですが。「Candy Says」など、静かな悲しみに浸る様な曲が特に印象的だからでしょうか、とても繊細で寂しく優しい印象があります。シンプルな言葉遣いながら鋭く物事を射抜く様な歌詞は、DYGL のアルバム制作のタイミングでもよく読んでいました。「The Murder Mystery」は無人島で一人で聴いていたらそのまま発狂してしまいそうな趣があり、要注意。夜焚き火をしながら、「Pale Blue Eyes」を、聴きたい。


Talking Heads 『Talking Heads 77』
個人的にアルバム全体を通して同じテンションで聴ける作品は結構好きなので、このアルバムに感じられる一貫してミニマルな多幸感が楽しい。若干精神が高ぶったまま身体と精神が別々で踊っている様な、歪な音が整列して延々と繰り返されている様な、都会的美意識と良い意味でのイカれ感が、独特のエネルギーを生んでいる作品。「Psycho Killer Qu'est-ce que c'est」…カラフルな民族衣装を着て、焚き火の周りを踊っている様を想像すると、我ながらなかなか凄い。繰り返される高揚感には宗教的な響きもありつつ、現代的。ある意味何処までも現実的なのかも知れません。無人島生活に知性と踊りをもたらしてくれるアルバムとしてチョイス。


The Smiths 『Hatful of Hollow』
無人島で一人 The Smiths を聴くというシチュエーション自体がなかなかどうして耐え難いので悩みましたが、孤独との戦いの中でむしろそれを受け入れ、戦う力を与えてくれる楽曲はきっといつか必要な薬になるに違いない。という訳で8枚目はザ・スミスのハットフルオブホロウです。個人的に好きな「Please, Please, Please Let Me Get What I Want」や「Heaven Knows I’m Miserable Now」などが内包され、きっとギターで練習して暇を潰すにはもってこいの歌ばかりなので最高です。無人島にはギターを忘れないように。孤独との戦いの中で余計に孤独を強調されてしまう不安もありつつ、やはり持っていたい The Smiths。とはいえそういえば無人島でどうやってレコード聴くんだ。まあ、いいや。


中島みゆき 『短編集』
ということで英詞の曲ばかりセレクトしておりましたが、そろそろ英語も聞き飽きたし耳馴染みの良い日本語を聞いてほっとしたい…という時の為の中島みゆき。やれ失恋だなんだの歌で重苦しい印象を持たれる事も多いそうで、特に70sハードロックよろしく長尺ギターソロが切り込んでくる様な楽曲は個人的にもちょっとやり過ぎかなと思うこともありますが、この『短編集』は比較的フラットな印象とメロディ、日本語の美しさが際立っていて、疲れた心にそっと寄り添い、かつ励ましてくれます。深夜バスで聴いた「帰省」には泣きました。旅はまだ終わらない。


夏川りみ 『南風』
これはまさにロンドンパンクがまるで全く役に立たなくなってしまった時の最後の砦。ネーネーズのカバー「黄金の花」で歌われる<黄金の花は いつか散る>...そうだ、大切なのは金じゃないんだ。と人間社会から隔離されもはや資本主義の対極にいながら現代人の癖でついついそんなテーマにぐっときてしまいながら、優しい歌声とメロディに癒されたい。そして何より島といえば島唄でしょという根源的な欲求への解答。レコードでリリースされているのかどうか分からないながら、島生活には欠かせない一枚です。代表的な沖縄民謡「てぃんさぐぬ花」も感涙必至。


連載まとめはこちら

無人島 〜俺の10枚〜 【DYGL 連載編】

プロデューサーに The Strokes の Albert Hammond Jr. を迎え、NYで制作。盤石の1stフルアルバムをリリースする DYGL(デイグロー)が、ローチケHMVニュースの「無人島 〜俺の10枚〜」に登場。連載形式で毎週1名のメンバーが10枚の作品を紹介してくれる。彼らが影響を受けたインディ・ロッ...

HMV&BOOKS online-邦楽・K-POP|2017年04月05日 (水) 15:00


作品情報


DYGL
1stフルアルバム『Say Goodbye to Memory Den』
2017年4月19日(水)発売



<Track List>
1. Come Together
2. Crazy
3. Let It Sway
4. Take It Away
5. Thousand Miles
6. Boys On TV
7. Don't Know Where It Is
8. Let It Out
9. Feel the Way
10. All I Want
11. Happy Life
12. A Matter of Time
13. Waste of Time
14. I've Got to Say It's True

ご購入はこちら

Say Goodbye to Memory Den

CD

Say Goodbye to Memory Den

DYGL

価格(税込) : ¥2,547

会員価格(税込) : ¥1,782

発売日: 2017年04月19日


ツアー情報


DYGL「"Say Goodbye to Memory Den "Release Tour」

【追加公演決定】
5月15日(月) 東京都 WWW X
※バンドオフィシャルサイトにて追加公演のチケット先行予約あり(4月12日12:00〜18日23:59)

5月13日(土)大阪府 Shangri-La
5月14日(日)東京都 WWW X
5月15日(月) 東京都 WWW X(※追加公演)
5月17日(水)台湾 台北 THE WALL
5月18日(木)台湾 高雄市 高雄LIVEWARE HOUSE
5月20日(土)香港(※TBA)
5月21日(日)タイ バンコク Rockademy Thailand
5月23日(火)マレーシア クアラルンプール Live Fact
5月24日(水)インドネシア ジャカルタ(※TBA)
5月26日(金)韓国 ソウル(※TBA)
6月8日(木)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
6月9日(金)石川県 vanvanV4
6月10日(土)愛知県 池下CLUB UPSET
6月17日(土)長崎県 Studio Do!
6月18日(日)福岡県 INSA
6月20日(火)熊本県 NAVARO
6月21日(水)香川県 高松TOONICE
6月22日(木)愛媛県 Double-u studio
6月23日(金)広島県 HIROSHIMA 4.14
6月24日(土)岡山県 PEPPERLAND
7月6日(木)京都府 京都MOJO
7月7日(金)兵庫県 神戸VARIT.
7月17日(月・祝)埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
7月28日(金)〜30日(日) FUJI ROCK FESTIVAL '17(※日割り未発表)
8月11日(金・祝)中国 上海 MAO Livehouse
8月12日(土)中国 北京 YugongYishan
8月13日(日)中国 成都市 Little Bar Space
8月15日(火)中国 西安市 Midie Livehouse
8月17日(木)中国 武漢市 VOX LIVEHOUSE
9月6日(水)岩手県 the five morioka
9月7日(木)宮城県 enn 2nd
9月8日(金)福島県 郡山 CLUB #9
9月10日(日)北海道 DUCE SAPPORO
9月29日(金)長野県 ALECX



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