【第24回】バイヤー寺町知秀のわくわくPOPSランド

2018年06月27日 (水) 18:25

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HMV渋谷をはじめ計13店舗の勤務を経て現在は本社にて洋楽バイヤーを担当する寺町知秀が洋楽の森からオススメ作品をピックアップするコーナー「わくわくPOPSランド」。社内外から信頼を集める生粋の洋楽バイヤーが、今月の洋楽の森からオススメする必聴の5枚とは?

【第24回】羽ばたけ、ワイ。


先日グレタ・ガーウィグ監督による映画『レディ・バード』を観たのですが、すごく良かったです。時代設定が’02年で、その前後のヒット曲を中心に収録したサントラのラインナップは一見イナたい。物語終盤に主人公レディ・バードが自分のCDコレクションを覗かれるシーンで「何これどれも平凡でつまんない」と言われ、「でも全部ヒット曲なのよ。文句ある?」とキレながら返すシーンがあるのですが、つまりは普遍的なモノの良さってのがあるやろってことで。それがこのサントラなのです。



プリンセス・ノキアのファースト・アルバム『1992』はミドルスクールな空気が詰まったナイスジャケットで、ラフでクセのあるラップもバッチリでしたが、今回の変化にちょいと驚きました。スリップノットのTシャツ着てファックサインキメてるもんだから、新作はハードコアラップを叩きつけるのかと思いきや、冒頭「Flowers & Rope」から咆哮でもラップでもなくキュートに歌ってて。これ名曲です。



モデルもこなすモード感満載なルックスに、うるわしくもスモーキ―な歌唱を聴かせる、UKソウル/R&Bの新星ジョルジャ・スミスのデビュー作。もう何もかもとびっきりに素晴らしい。しっかし、このストーンした瞳サイコーに魅惑的っすね。



簡素なコルグのリズム・マシーンになめらかなフェンダーローズを響かせ、メロウで浮遊感たっぷりな歌声を乗せるチャック・センリック、’76年幻の作品が発掘再リリース。宅録のくぐもった音質もあいまった稀有なサイケデリック・ソウル感は、今の時代に聴かれるべき。


最後はSupremeとコラボしたり、アパレルラインも手掛ける、NY新世代ストリート・ジャズ集団、オニキス・コレクティヴの処女作。路地の喧騒や匂いを強烈に放つハード・バップスタイルですが、フォーマットはジャズながら既存の枠を壊そうとする姿勢はラウンジ・リザーズを知った時に近い興奮を覚えます。それではまた来月お会いしましょう。




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寺町知秀(てらまち ともひで)

1999年にHMV渋谷入社。HMV立川など7店舗で店長を務め、計13店舗の勤務を経て現在は本社にて洋楽バイヤーを担当。

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