【全曲解説】ナノ『I』

2020年03月26日 (木) 12:00

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Disc-1

1. Now or Never

なんて言ったって、この曲はナノのスタートとなった大きな曲です。初のシングル、初のアニメタイアップ。デビューしてからも間も無く、まだ自分の方向性や目標というものもまだ明確ではない中、ただ喜びと、希望と、がむしゃらな想いが詰まった作品。それまではクローズドで慣れ親しんだ環境で音楽をやっていた自分は、この曲のおかげで世の中の広さに気付かされました。「Now or Never」というタイトルも、そんな不安も抱える自分に対して込めたのかもしれません。アニメ作品の世界観に寄せて描いた歌詞ですが、今聞き返すと、まるで当時の自分へのメッセージにも感じます。


2. No pain, No game

この曲のデモ音源を聴いた時、完全に心を鷲掴みにされたのを覚えています。激しさと、元気と、何かくせになる魅力のある曲だと思いました。作詞をする時も、あまり考えすぎず、どんどんワードやフレーズがパズルのようにハマり込んでいく感じでした。Now or Neverのおかげで、色んな不安が無くなり、気合と期待感を感じる時期でした。この曲はそういう意味で、今でもLIVEで歌うたびにものすごくハッピーな気持ちになります。そしてありがたいことに、ファンにも特に愛されている曲だと感じます。


3. SAVIOR OF SONG

これまでの活動の中でも巨大なターニングポイントになり、デビューから走り出して、勢いよく突っ込んで挑んだ作品。MY FIRST STORYともコラボレーションをし、そのおかげで自分の概念とか常識が良い意味でぶっ壊されました。自分のその後のハードルも一気にガンと上がりました。ミュージックビデオもまさかのイージス艦の上での撮影。ぶっ飛んだ作品ですね。LIVEでやる度に、国内海外問わず、一番って言って良いほど盛り上がる曲です。


4. Born to be

この曲で一番印象に残っているのはやはりMVですね。とにかくゴリゴリで、炎に包まれて歌うのも魂までもが燃えあがって、「自分に負けたくない」という自分自身のパワーソングです。初めて歌詞にも少し「怒り」というものも感じます。ちょうどMVの撮影の前に、病気で1ヶ月活動休止をせざるをえなかったので、ある意味、この曲のおかげで無理やりにでも自分をまた立ち上がらせることができました。


5. INFINITY≠ZERO

キャストもとても豪華な映画「幕末高校生」の主題歌になった曲です。結構緊張しながらこの作品と向き合った記憶があります。MVには映画に出演した千葉雄大君にも出ていただけて。タイムスリップがテーマだった映画のストーリーを自分なりに、ものすごく深く、濃く解釈し、歌詞に描いてみました。過去も現在も未来も全部一筋の運命の糸で繋がってる。だから切ることも、変えることもできない。「過去を恐れずに、今をしっかり見つめて、未来を信じろ。」というメッセージを込めた曲です。


6. SABLE

「SABLE」は「INFINITY≠ZERO」のダブルA面シングルのもう一つのリード曲なんですが、「INFINITY≠ZERO」とは真逆と言っても良いタイプの曲ですね。全英詞で当時の「ナノらしさ」全開で作りました。アメリカでティーンエイジャー時期を過ごしたんですが、その頃のフレッシュなチャレンジ精神だったり、無敵な感覚を蘇らせて歌に込めました。たまには「自分ファースト」じゃないと乗り越えられない壁もある。そんなメッセージです。


7. Bull’s Eye

この曲はまずトラックの音が大好きです。ストリングスもピアノも壮大で、他の曲とは少し違う爽やかさがあります。個人的にはイントロを聴くと「来た!」って血が騒ぐ曲です。爽やかさとは裏腹に、孤独と葛藤する内心的な歌詞です。外の世界がとても鮮やかで、美しくて、それを孤独でモノクロの自分の世界から眺めていて、必死に届こうとする。MVでも二人の「自分」が描かれているんですが、外の自分と中の自分が向き合って、打ち合って、孤独に打ち勝つ、という願いの現れです。


8. DREAMCATCHER

これまでのナノに珍しい「バラード」タイプの曲です。これもまたナノ自身にとって一つのターニングポイントに感じました。色んな苦悩や葛藤を活動と共に乗り越えてきて、ようやくどこか自分の心に癒しを見出せた時期でした。デビュー5周年という時期でもありましたし、少しだけ自分を見つめ直したり、仲間やファンへの感謝の気持ちを歌にしたくて。結局、自分はなんだかんだ言って、本当に「ド」が付くほどポジティブ人間なんです。その心をこれからも忘れずに大切にしていきたいなと思いました。


9. MY LIBERATION

5周年イヤーの一番の転機は初めて公に自分の「顔」を見せたことです。それまで、シャドーの中で活動していた自分が不安、束縛、過去から自分を解き放った時に生まれた曲です。タイトルのまんまの思いですね。でもいざとなって解放された自分は、それまでと変わらないことがたくさんあって、失ったものも無くて、むしろこの一歩のおかげで、もっとストレートに、もっとパワフルに音楽やリスナーと向き合えるようになりました。自信、というか、確信にも繋がりました。「この道を突き進んで間違いは無いんだ」と。


10. PARAISO

この曲もありがたいことにアニメ「チェインクロニクル」の劇場版のテーマソングになったんですが、やはり映画館で自分の曲を聴くのは特別な感動があります。他のお客さんに紛れて作品を楽しんで、そして自分の曲がかかった瞬間に、嬉しくて思わずニヤけてしまったり。口ずさまないように必死に堪えたり。「チェインクロニクル」はストーリーも絵もとても美しくて、歌詞を書きながらもものすごく感情移入しました。この作品のおかげで、仲間との「絆」に改めて深く深く感謝しました。


11. ウツシヨノユメ

初めて「和ロック」にチャレンジした曲です。正直、まさか自分にそんな日が来るとは思っていなかったので、最初にこの曲と出会った時は向き合い方にかなり悩みました。身体は日本人ですが、アメリカで生まれ育っているため、やっぱり「和」の心は未知な部分がすごく多くて。だからこそ、自分の中で眠っている「和」を呼び起こしてみたいと、挑みました。実際にやってみると、全てが新鮮で、楽しくて、色んな新しい感覚が芽生えました。でも、「和」の中にも自分のルーツ、自分の個性を捨てたくなかったのでそこは大事にしました。


12. Star light, Star bright

「No pain, No game」以来の堀江晶太さんとのタッグで、とても嬉しかったです。やはりこの曲も彼独特のサウンドになっていて、歌っていて、どこか懐かしい気持ちになりました。自分は、「希望」を思うと何故か「星」や「星空」をどうしても連想するんですが、「DREAMCATCHER」も「Star light, Star bright」もその大好きな世界観を描きました。今思うと、「Star light, Star bright」はまるで「DREAMCATCHER」のアンサーソングみたいにも感じます。前作では遠くの夢を見つめて、後作では夢を掴む。それが可能なのも、諦めずに突き進み続けてこれた証なのかもしれない。


13. KEMURIKUSA

とてつもないマイルストーンになった曲です。「SAVIOR OF SONG」の時のように、この曲をきっかけに新たな世界へと飛び込んで行った気持ちです。「ケムリクサ」という作品のおかげでまた新たな自分の力や感覚を見つけられたし、色んな新たな出会いもありました。たつき監督からもものすごく大きな刺激を受けました。そしてこの作品のファンの方の期待に精一杯答えたいという高いハードルのおかげで、更に力が入りました。そしてLIVEでこの曲をやってみたら、とんでもない化物を生み出したと、実感が湧きました。何度歌っても体力的に少し死にかけますが、でも死ぬ気で歌うからこそ生きる曲だと思うので。


Disc-2

1. neophobia

自分の曲の中ではかなり洋楽というか、アメリカンなサウンドを突き詰めた曲です。2nd ALBUM「N」の(海外版)リードトラックでもあったので、とにかく心にガシガシ踏み込む、かっこいい曲を作りたくて。MVもこれが初実写でした。初のMV撮影は色んなことが目から鱗状態で、本当に楽しかった思い出がいっぱいあります。「neophobia」とは「新しい物事への恐怖」という意味で、誰しもが感じるかもしれない、未来への不安だったり、変わっていく自分への恐怖に真っ正面からぶつかっていけるようにと歌詞を書きました。


2. Nevereverland

「Nevereverland」は予想以上にリスナーからの反響が大きかった記憶があります。特に海外からの反響がすごくて。MVもオリジナルアニメーションで制作したんですが、それもとても好評でした。個人的にはこの曲のアレンジも大好きで。躍動感のあるピアノから始まって、ストリングス、そしてシンセとの絡み合い。全てが絶妙に調理されていて。どこかファンタジーのような要素も感じます。良い意味で、未だに謎多き曲です。


3. Rock on.

「Rock on.」は当時、自分の魂の全てを歌詞に、歌にぶち込んだ曲です。悔しさも、苦しさも、悲しさも、全部ここで報いたと、救いに、未来への光に変えたいと。それから、「Rock on.」というフレーズがずっと自分の座右の銘になっているくらい、想いが深いパワフルな作品に感じます。これからも、生きること、歌うことに自分の魂の全てを捧げていきたいと望みました。MVも奇跡的に軍艦島で撮影ができ、ある意味、歴史に足跡を残すことができ、感激です。


4. The Crossing

この曲は自分にとって「決心」の曲です。活動5年に入り、自分の中で気持ちの整理をしたかったというか、また進んでいくために一つ区切りもつけたくて。慣れてきた道のりを歩んでいて、この頃から先にある大きな変化の兆しを感じていたんだと思います。どんな変化かも分からないし、その手前にはまだ分厚く霧がかかっていて、止まるか進むかの決意が自分に開かりました。もちろん、進みたいと言う気持ちに一瞬の疑いも迷いも無かったけれど、「決意」と共に、どこか自分の中との「決別」にも感じました。


5. INSIDE MY CORE


ベストアルバムのリードトラック、そして最新曲です。作詞をしていて、レコーディングをしていて、自分のこれまでの変化、進化を強く感じました。この曲に挑んだおかげで、かつての自分にあった不安や悔しさが払拭されているんだなと実感しました。この瞬間をずっと望んで、戦ってきたんだなと。でももう戦いは終わりにしたいなと。これからまた未知の世界へ飛び込んで行くためにも、自分の全てを受け止めて、一滴の力も出し惜しみせず、踏み出したいと。これがこれからの「ナノ」です。そんな思いを込めて歌いました。


6. ロキ

今回のベストでは久々にカバー曲もやらせて頂きました。ベストだからこそ、原点を振り返り、やることに意味を感じました。ボーカロイド楽曲に触れるのはとても久しぶりだったので、まず選曲に当たってリサーチから始まりました(笑)。そしてすぐに浮上したのが「ロキ」でした。こういうスタイルの曲はカバーでもオリジナルでもあまりやったことが無かったので、挑戦してみたいなとセレクトしました。アコースティックギターのアレンジと英語歌詞ならではのファンキーさが出せて、すごく楽しかったです。当たり前すぎて忘れがちですが、音楽って純粋に楽しいなと、再確認させてくれました。


7. ECHO

2曲のカバーセレクトは、以前からファンの方から多くのリクエストを頂いていた楽曲です。数少ない、元からの英詞ボーカロイドだったので、原曲歌詞でそのまま歌わせて頂きました。個人的にはこの曲のアレンジが大好きで。そしてギターとカホンとの絡みがたまらないです。ぜひ楽器と歌とのケミストリーを楽しんで頂きたい1曲です。


8. magenta(BEST ALBUM ver.)

企画段階では今回のベストアルバムには「magenta」は収録する予定では無かったんですが、ナノ自身の強い希望で入れて頂けることになりました。自分のスタートとなった人生に欠かせない曲でもあるし、何年経ってもナノの芯となる支えでもあります。8年前に生まれて、そして今回はあえて原曲ではなくて、新たに生まれ変わった「magenta」を収録しました。この1曲だけで、シンプルに自分のこれまでの変化を噛みしめられました。でも、だからこそ、どんなに時間が経っても変わらない大切なものにも気付けました。


ナノ『I』

GENRE:LOUDROCK
ラウド且つ攻撃的なサウンド&エモーショナルな歌声が詰まった、ナノ初のベスト盤
2012年にデビューしてからのシングルと、アルバムのリード曲、新曲「INSIDE MY CORE」やカバー曲を収録した、ナノ初のベスト・アルバム。アグレッシヴで洋楽的なアプローチによるサウンドと、アメリカで生まれ育ったネイティヴな英語でのエモーショナルで力強いヴォーカルのナノ。これまで多くのアニメ作品のテーマ曲を手掛け、骨太なロックからピアノやストリングスのアレンジが効いたドラマチックな曲、ラウドやパンクな曲でとそれぞれの作品を音楽で彩った。国内外のアニメ・ファンの認知が高いのはもちろん、近年は対バンでのライヴやイベント出演も増え、さらにボーダレスな活動に広がっている。そのタイミングでのベスト盤で、ナノの人となりや表現力、歌や音楽への想いが込められた作品になった。
吉羽 さおり 【ライター推薦】


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