映画『実りゆく』公開記念、まんじゅう大帝国スペシャルインタビュー

「初めて僕らを観る人は俳優だと思うかもしれないね。」芸人とそのマネージャーが作る正統派日本映画『実りゆく』とは。

『実りゆく』は、存在しない映画の予告編だけを制作するコンテストから生まれた異色作品。監督は、“爆笑問題”や“日本エレキテル連合”が所属する芸能事務所タイタンのマネージャー・八木順一朗。主演はお笑い第7世代として注目を集める“まんじゅう大帝国”の竹内一希。長野県のりんご農家を舞台に、芸人になるか、家業を継ぐかで葛藤する青年の青春が描かれる。芸人×マネージャーという異色の組み合わせがどんな映画を作り上げたのか？
“まんじゅう大帝国”のふたりに話を聞いた。

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――『実りゆく』は“予告編”から生まれた映画だそうですね。

竹内　僕らのマネージャーである八木（順一朗）さんが、“MI-CAN　未完成映画予告編映画大賞”というコンテストに応募したいから、「まんじゅうも協力してくれない？」と誘ってくれたのがきっかけです。
田中　最初は映画になるとは思っていなくて、雑談の延長で「いいっすよ」くらいのノリでOKしたんです。

――それが“堤幸彦賞”と“MI-CAN男優賞”を受賞し、本編製作への道が拓けたわけですね。

竹内　映画のときは、プロの俳優さんがやると思っていたので、八木さんから「一緒にやりましょう！」と言われてびっくりしました。
田中　“八木監督”の人生を賭けた一本なので、「脚本は良かったけど俳優がいまいちだったよね」と言われないように頑張りました。


――りんご農家が舞台の物語というのも新鮮です。

竹内　このお話は、事務所の先輩芸人である松尾アトム前派出所さんの人生がモデルです。そこに八木さんが映画的な視点を加えたことで、松尾さんの自虐ネタの面白さに加え、父子の関係や、お笑いへの情熱をプラスした感動作になっています。

――竹内さん演じる主人公の松尾実（みのる）は、りんご農家を継ぐか、夢であるお笑い芸人になるかで悩む青年です。かなり難しい役だったのでは？

竹内　いちばん大きかったのは実（みのる）が吃音だということです。普段は吃音だけど、漫才のネタをするときだけは普通に喋れる。そこを理解するために、吃音の方が集まっている集会に行って、いろいろなことを教えてもらいました。そこから実（みのる）だったらどういう喋りにな るのかを自分なりに考えました。

――田中さんが演じるエーマも芸人です。

田中　僕と同姓同名なんですけど、人間性がまったく違うんです。始まる前に八木さんからエーマはどういう人間かを箇条書きで渡されて、自分なりに一生懸命やりました。

――ロケ地となった松川町はどんな場所でしたか？

竹内　僕は撮影に入る前に松尾アトム前派出所さんのご実家であるりんご農園で研修をさせてもらいました。そのときは梨の季節だったんですけど、ちょっとびっくりするくらいの規模の梨の収穫をしました！

――いつでも農園で働けるんじゃないですか？

竹内　面白かったですね。もぎたての梨をお父さんからもらって食べたんですけど、美味しくて美味しくて。その研修のおかげで農園の息子になったつもりで撮影に入ることができました。
田中　町の至るところにりんごがある風景は特別な光景でした。ところどころ赤色があるのは不思議な感じでしたね。
竹内　僕はずっと東京暮らしなので、夜が暗すぎてびっくりしましたけどね。
田中　撮影中、竹内を誘って星を観に行きました。ふたりでただ夜空を見ながら「ああー」って言うだけでしたけど（笑）。
竹内　「すごーい」って言うだけの時間（笑）。

――完成した今、思われていることは？

竹内　映画を作りたくて、作りたくて仕方がない監督が撮っている正統派の日本映画です。父子のぶつかり、お笑いへの情熱、将来に対する悩み……。いろいろな要素があるので、どんなきっかけでもいいので観てほしいです。
田中　初めて僕らを観る人は俳優だと思うかもしれないね。漫才が上手い新人俳優だなって。
竹内　本物の漫才もできるんじゃないか？って。
田中　で、パンフレットを見て、コンビかいって！
竹内　じゃあ普通だって（笑）。
田中　でもそこからまんじゅう大帝国のネタにも興味を持ってもらえれば嬉しいですね。

――ありがとうございました！

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