激ロック×HMV&BOOKS online vol.86

GENRE：METAL
新フロントマン、R!Nのヴォーカル七変化を閉じ込めた再録ベスト第2弾
火を噴くような強靭なヘヴィ・メタルから明るく開けたポップ・ナンバーまで、前作同様にAldiousの豊潤なサウンドを凝縮した決定版と言える。今年3月に出たリレコーディング・ベスト・アルバム『Evoke 2010-2020』の第2弾作品が完成。3代目ヴォーカリスト、R!Nが既存曲に新たな息吹を加え、よりライヴ仕様にアップデートされた楽曲がずらりと並んでいる。コロナ禍の状況もあり歌とコーラス・ワークのみ録り直した形式になったものの、R!Nの多彩な表現力は水を得た魚のようであり、激しい曲はより激しく、聴かせる曲はより聴かせとグラデーション豊かに聴き手を翻弄してくれる。前作と併せて、これからAldiousを聴いてみようという方にも入門編にピッタリだ。早くも新作に期待がかかる。
荒金 良介 【ライター推薦】

GENRE：METAL, LOUDROCK
新旧アニソンを詰め込んだ、アニメ、原曲、リスナーへの愛溢れる初メタル・カバー・アルバム
アニメへの愛。原曲への愛。そして、リスナーへの愛。このアルバムはそんな三つ巴の愛に溢れた作品に仕上がっている。様々なアーティストたちが作り上げてきた新旧の有名アニソンを計11曲も詰め込んであるだけに、今作は日本のサブカルチャーをMary's Blood流の解釈でまとめあげた、超プロフェッショナルな同人音楽として聴くこともできそうだ。“あの曲がこうなるのか！”、“この曲を姐さんたちが表現するとこんなことに！？”と、多くの納得や驚きを得られるという意味で、ここにはオリジナル・アルバム以上の面白みが満ちているとも言える気が。中でも「魂のルフラン」で聴けるEYEの母性ダダ漏れ具合は秀逸すぎて思わず“還りたくなった”ほどだ。姐さんたちの推しへの愛は、やはり激しく熱かった！！
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：SYMPHONIC ROCK
lynch.とはひと味違う“ソロ・ヴォーカリスト 葉月”の表現力で魅せる初作品
燃える氷と呼ばれる物質が世の中には実在しているというが、今作は、言うなればどこかそれにも似た不思議な質感を持った音に仕上がっているように感じる。PTPの「Another day comes」をはじめとしてBUCK-TICK、Cocco、柴咲コウ、LUNA SEA、黒夢のカバー曲、lynch.の楽曲のセルフ・カバー、そしてオリジナルの新曲で構成されたこの1枚は、ピアノやストリングスを軸とした生楽器の音を背景にしつつ、葉月がソロ・ヴォーカリストとしての類い稀なる表現力を存分に発揮したものとして堪能できるはずだ。lynch.とはまた異なるアプローチで迫ってくる、極めてエモーショナルにしてどこまでも美しい歌に心ゆくまで耽溺していただきたい。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：MELODIC PUNK
結成21年目を迎えたホスコが逆境の中で見いだした成長する歓び
深化したパンク・ロックが響く強力な新作完成
昨年結成20周年を迎えたHOTSQUALLが、ライヴができないというコロナ禍を逆手に取り、じっくりと時間をかけ磨き上げた7曲を収録したアルバム。Hi-STANDARDに加え、THE BEATLESやサザンオールスターズもバックグラウンドに持つ唯一無二の音楽性は、さらに進化を遂げ、今回ここまで成長できたなら次回はどんな曲を聴かせてもらえるんだろうかと、ここからの彼らがさらに楽しみになることは必至。7曲それぞれに魅力が異なるHOTSQUALL流のパンク・ロックの奥深さを思えば、進化ではなく、深化と言うべきか。グルーヴィなリズムの上で、彼らならではのグッド・メロディが冴えわたる「High -On The Winding Road-」からは、確実にひと皮剥けた印象も感じられる。
山口 智男 【ライター推薦】

GENRE：HARD ROCK
多彩なアレンジをGRANRODEOカラーで彩る
アニメ“「バキ」大擂台賽編”OPテーマを表題に据えたニュー・シングル
15周年イヤーに突入したGRANRODEOの最新作は、アニメ“「バキ」大擂台賽編”のオープニング・テーマ「情熱は覚えている」。2018年にも同作品の主題歌を手掛けており今回で2度目だが、前回がヘヴィでアグレッシヴなサウンドと、KISHOW（Vo）の伸びやかなハイトーンを生かした曲だったのに対して、今回はエキゾチックな音色やビート、モチーフを使ったアレンジとメロディが冴える。ドライヴ感のある骨太なハード・ロック・サウンドに遊びが乗っかった癖になる1曲に。これまで数々の人気アニメで主題歌を手掛け、アニメ同様に国内外にファンを持つふたりだが、ひと癖、ふた癖ある今作もまたアニメを彩り、印象深くしてくれそうだ。c/wのド派手なLAメタル感も本人たちが楽しんでいるのがわかる。
吉羽 さおり 【ライター推薦】

GENRE：ROCK
様々な感情がせめぎ合う、青春の1ページ
ブルエン印のピュアなエモ・ロックがここに
今作の表題曲「ユメミグサ」は、“君の膵臓をたべたい”で日本中を感動させた住野よる原作の映画“青くて痛くて脆い”の主題歌だ。キラキラと響くギター・リフには淡い光のような輝きがあり、ほろ苦い、ピュアな青春を描いた作品の世界観を受け止めた歌詞と、情景が目に浮かぶようなメロディは、まさにブルエンのなせる業、といったところ。さらにカップリングとして、また違った雰囲気の楽曲「1%」が収録されているが、こちらは疾走感たっぷりのポジティヴな応援歌。ライヴでも盛り上がりそうな、キャッチーなナンバーだ。また、初回生産限定盤にはライヴ映像とドキュメンタリーを収録した映像作品が、通常盤にはライヴ音源が1曲収録されている。どちらもライヴに行けず物足りない日々に活力を与えてくれるはず。
山本 真由 【ライター推薦】

GENRE：MELODIC PUNK
個性豊かなショート・チューンでライヴ感が増幅した
SHANK渾身のニューEPをドロップ
SHANKの5曲入りEPがとにかく素晴らしい。もともと短い曲が多かったけれど、今作は2分前後にギュッとまとめられたショート・チューンばかり。スルッと聴けるにもかかわらず、その中にフック抜群のフレーズや展開を織り込み、一曲一曲のキャラ立ちも手伝って濃厚なリスニング体験が味わえる。韻を踏んだ英語詞を含め、シンガロングしたくなる合唱パートも増え、どの曲もライヴ感は格段にアップ。オープニングに相応しい名曲「Rising Down」を筆頭に、唯一2ビートを用いたTHEメロコアと言える「Bright Side」、王道スカ風味の「Slip and Slide」とバラエティに溢れる楽曲が勢揃い。また、15周年記念ワンマンを収録したライヴDVD＆Blu-rayも同時発売なのでそちらもぜひ！
荒金 良介 【ライター推薦】

GENRE：HARDROCK, HEAVYMETAL
話題の覆面ユニット、ザ・リーサルウェポンズ
古き良き時代の“成人式”に特攻む（ぶっこむ）ハード・ロックを堪能せよ
1980年代〜1990年代のカルチャーを背景とした作品が話題となり、今年2020年8月に1stシングル『半額タイムセール』でメジャー・デビューを果たした謎の覆面ユニット、ザ・リーサルウェポンズの2ndシングル。表題曲「特攻！成人式」（※“特攻！”の読みは“ぶっこみ”）は、古き良き時代のツッパリが一生に一度、人生最後の晴れ舞台として臨む成人式を題材とした歌詞と、アナログ感のあるシンセの乗ったハード・ロック調のサウンドとの融合がたまらない。漢字が書けない、書いても間違えてしまう学力低めの歌詞も最高だ。ダウンロードやストリーミングで聴くのもいいけれど、せっかくこういう音楽を聴くのだったら郷に入っては郷に従えで、歌詞カード片手に聴いてほしいと個人的に思う1枚。
宮�ｱ 大樹 【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK
“バンドリ！”第3のリアル・バンド、RAISE A SUILEN
今の彼女たちのすべてが詰まった、記念すべき1stアルバム
“バンドリ！”プロジェクトのバック・バンドとしてスタートしたRASが、オリジナル曲のみ収録した1stアルバムを完成させたということがまず感慨深い。凄まじいまでのライヴ力を誇る彼女たちらしく、本作にはライヴで強い曲がこれでもかと揃っている印象だ。新曲は4曲。ヘヴィで疾走感のあるサウンドに乗せてヴォーカル、ラップ、コーラスが躍動する「SOUL SOLDIER」、Raychell（レイヤ／Ba/Vo）の歌唱から力強さの中に愛情も見いだせるRASなりのバースデー・ソング「Beautiful Birthday」、新たなキラーチューンの誕生を予感させる「!NVADE SHOW!」、そしてバンドを象徴する新たなる1曲「REIGNING」が収められた。今の彼女たちのすべてが詰まった1枚。
宮�ｱ 大樹 【ライター推薦】